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326 レイリアの戦い ~vs聖帝軍~
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『我こそが聖帝ハウザーである!』
聖帝の姿が見えないので、声を増幅させる魔法なのだろう。
しかし目の前にいるかのような迫力で、聖帝の声が防壁上まで聞こえて来た。
『貴様らが我が使者を斬ったのは到底許されぬ行為!その代償は高くついたぞ?』
マジックバッグから拡声器を取り出し、ミスフィートさんに手渡した。
「私が尾張大名ミスフィートだ!今は伊勢も統治しているがな!」
そういえば、何ヶ国も支配してる状態でも尾張大名って言うんかな?
清光さんは三河大名で通してるし、まあ別に問題はないのか。
「交渉相手を見下し、高圧的な態度で恫喝して来る使者など、斬られて当然ではないか!まず使者の教育からやり直すといい!」
プッ!
『メルティーヌなど知らん!』って言うのかと思ったら、もうそれはどうでもいいのですね・・・。まあ確かに戦争確定って状況になった以上、メルティーヌ様の存在を隠す意味もないか。
「わははははははは!」
「クスクスクス!」
ミスフィートさんの切り返しで、周りの兵達もウケている模様。
『小癪な女だ。小国の大名となったくらいで図に乗るな!!この大軍を前にしての、その度胸は褒めてやっても良いがな。ただし降伏勧告などはせぬ!これより蹂躙を開始する。死んで自らの愚かさを知れ!』
いや~、流石は大大名。すげー貫禄あるな!
なんつーか・・・、言動が重たい感じ?
「愚かさを知るのは何方であろうな?貴様には、今まで経験したことのない痛みを教えてやろう。かかって来るがいい!」
―――この世界で未来永劫語り継がれることとなる、伝説の戦が幕を開けた。
************************************************************
―――――訝しむ聖帝視点―――――
「門が三つか。なぜ弱点を増やすような作りなのか・・・?」
ここを通過するだけならば、門は一つで十分な筈。三つにする理由は何だ?
・・・二つは罠か!?
門を破った先に落とし穴でも掘ってあるか、もしくは油で満たして火炙りというのも考えられる。
まあ、何方にせよ雑兵で埋めて押し通るまで!
門の先が小部屋になっていて、上から大岩が降って来るというのも考えられるな。
だがそれも雑兵を数名突っ込ませれば、どの様な罠か把握出来よう。
ヒューリック如きの策など我には通用せぬ。
大方、左右に伸びる森にも伏兵を忍ばせてあるのであろう?
舐めるなよ?小僧。
「防壁を攻める前に森を調べろ!伏兵を処分してから戦を開始する」
「「ハッ!!」」
「ルメルス、お前は部隊を引き連れ、防壁の側面から抜けないか調べて来い。10㎞先までだ」
「了解しました」
ミスフィートと言ったな。ヒューリック如きの策に頼らば、死ぬぞ?
************************************************************
―――――急に鼻がムズムズし始めたヒューリック視点―――――
「ぶえーーーっくショイ!!」
「わはははは!ヒューリック様、この状況でくしゃみとは余裕ですな?」
「あ”~~、誰かが我の噂でもしているのだろう。・・・聖帝か?」
「おや?聖帝軍が森に入っていきますぞ?」
聖帝軍の兵士がぞろぞろと森へ入って行くのが見える。
「なるほど。伏兵でも探しに行ったのかの?確かに我が総大将なら、あの森に伏兵を配備するな」
「しかし作戦を考えたのは軍師の小烏丸様ですからな!まさか伏兵が、見通しの良い原っぱに隠れているなど考えもしますまい!」
「うむ。実に奇想天外というか・・・、考えつく範囲の外側に罠を仕掛ける所が味方ながらに恐ろしいわ!小烏丸様を相手にするならば、絶対に準備期間を与えてはならぬ。攻めるなら急襲しか無いであろうな」
「まともな力のぶつかり合いなど、絶対させてもらえないですからの」
これがミスフィート軍でなければ、森を探るのは正解なのだがな。
「金輪際敵には回したくない人物だ。小烏丸様はまず相手の行動を先読みして思惑を全て潰す。そうなるともう正攻法でしか戦う術がなくなる」
「軍師泣かせですな。正攻法しかないのでは、敵方の軍師の存在意義も無し!」
「我らはまだミスフィート軍の防衛戦しか見ておらぬが、たとえ総力戦になろうとも、ホレ、この武器だ」
「鎧すら着ていない我らを見たら、聖帝軍の奴らは間違いなく驚くでしょうな!いや、その前に弓兵の強さに驚愕するぞ!」
我が軍と尾張軍との国境での戦い。
弓矢でバタバタと倒されて行く兵達を見ながら、別動隊が勝つことだけを祈っていたあの辛さ。
聖帝軍も同じ目に合うと思うと、多少親近感が湧かなくもない。
ミスフィート軍に入った今なら良くわかる。この防壁を抜くのは絶対に不可能だ。
極大魔法を何発もぶつければ壁を破壊出来る可能性はあるが、それをするには弓の射程内に入らねばならない。しかし距離が離れれば防壁を破壊出来るほどの威力は出ぬ。それにエルフ達が持つ弓ならば、離れた位置にすら矢が届く。
6万の軍勢?
残念だったな聖帝よ!その程度ではこの防壁を落とすこと叶わん。
お前の時代もこれまでだ。尾張にだけは手を出してはいけなかったのだ。
時代は一気に変わるぞ。その障害となるモノは我らが全て打ち砕いてみせよう!
聖帝の姿が見えないので、声を増幅させる魔法なのだろう。
しかし目の前にいるかのような迫力で、聖帝の声が防壁上まで聞こえて来た。
『貴様らが我が使者を斬ったのは到底許されぬ行為!その代償は高くついたぞ?』
マジックバッグから拡声器を取り出し、ミスフィートさんに手渡した。
「私が尾張大名ミスフィートだ!今は伊勢も統治しているがな!」
そういえば、何ヶ国も支配してる状態でも尾張大名って言うんかな?
清光さんは三河大名で通してるし、まあ別に問題はないのか。
「交渉相手を見下し、高圧的な態度で恫喝して来る使者など、斬られて当然ではないか!まず使者の教育からやり直すといい!」
プッ!
『メルティーヌなど知らん!』って言うのかと思ったら、もうそれはどうでもいいのですね・・・。まあ確かに戦争確定って状況になった以上、メルティーヌ様の存在を隠す意味もないか。
「わははははははは!」
「クスクスクス!」
ミスフィートさんの切り返しで、周りの兵達もウケている模様。
『小癪な女だ。小国の大名となったくらいで図に乗るな!!この大軍を前にしての、その度胸は褒めてやっても良いがな。ただし降伏勧告などはせぬ!これより蹂躙を開始する。死んで自らの愚かさを知れ!』
いや~、流石は大大名。すげー貫禄あるな!
なんつーか・・・、言動が重たい感じ?
「愚かさを知るのは何方であろうな?貴様には、今まで経験したことのない痛みを教えてやろう。かかって来るがいい!」
―――この世界で未来永劫語り継がれることとなる、伝説の戦が幕を開けた。
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―――――訝しむ聖帝視点―――――
「門が三つか。なぜ弱点を増やすような作りなのか・・・?」
ここを通過するだけならば、門は一つで十分な筈。三つにする理由は何だ?
・・・二つは罠か!?
門を破った先に落とし穴でも掘ってあるか、もしくは油で満たして火炙りというのも考えられる。
まあ、何方にせよ雑兵で埋めて押し通るまで!
門の先が小部屋になっていて、上から大岩が降って来るというのも考えられるな。
だがそれも雑兵を数名突っ込ませれば、どの様な罠か把握出来よう。
ヒューリック如きの策など我には通用せぬ。
大方、左右に伸びる森にも伏兵を忍ばせてあるのであろう?
舐めるなよ?小僧。
「防壁を攻める前に森を調べろ!伏兵を処分してから戦を開始する」
「「ハッ!!」」
「ルメルス、お前は部隊を引き連れ、防壁の側面から抜けないか調べて来い。10㎞先までだ」
「了解しました」
ミスフィートと言ったな。ヒューリック如きの策に頼らば、死ぬぞ?
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―――――急に鼻がムズムズし始めたヒューリック視点―――――
「ぶえーーーっくショイ!!」
「わはははは!ヒューリック様、この状況でくしゃみとは余裕ですな?」
「あ”~~、誰かが我の噂でもしているのだろう。・・・聖帝か?」
「おや?聖帝軍が森に入っていきますぞ?」
聖帝軍の兵士がぞろぞろと森へ入って行くのが見える。
「なるほど。伏兵でも探しに行ったのかの?確かに我が総大将なら、あの森に伏兵を配備するな」
「しかし作戦を考えたのは軍師の小烏丸様ですからな!まさか伏兵が、見通しの良い原っぱに隠れているなど考えもしますまい!」
「うむ。実に奇想天外というか・・・、考えつく範囲の外側に罠を仕掛ける所が味方ながらに恐ろしいわ!小烏丸様を相手にするならば、絶対に準備期間を与えてはならぬ。攻めるなら急襲しか無いであろうな」
「まともな力のぶつかり合いなど、絶対させてもらえないですからの」
これがミスフィート軍でなければ、森を探るのは正解なのだがな。
「金輪際敵には回したくない人物だ。小烏丸様はまず相手の行動を先読みして思惑を全て潰す。そうなるともう正攻法でしか戦う術がなくなる」
「軍師泣かせですな。正攻法しかないのでは、敵方の軍師の存在意義も無し!」
「我らはまだミスフィート軍の防衛戦しか見ておらぬが、たとえ総力戦になろうとも、ホレ、この武器だ」
「鎧すら着ていない我らを見たら、聖帝軍の奴らは間違いなく驚くでしょうな!いや、その前に弓兵の強さに驚愕するぞ!」
我が軍と尾張軍との国境での戦い。
弓矢でバタバタと倒されて行く兵達を見ながら、別動隊が勝つことだけを祈っていたあの辛さ。
聖帝軍も同じ目に合うと思うと、多少親近感が湧かなくもない。
ミスフィート軍に入った今なら良くわかる。この防壁を抜くのは絶対に不可能だ。
極大魔法を何発もぶつければ壁を破壊出来る可能性はあるが、それをするには弓の射程内に入らねばならない。しかし距離が離れれば防壁を破壊出来るほどの威力は出ぬ。それにエルフ達が持つ弓ならば、離れた位置にすら矢が届く。
6万の軍勢?
残念だったな聖帝よ!その程度ではこの防壁を落とすこと叶わん。
お前の時代もこれまでだ。尾張にだけは手を出してはいけなかったのだ。
時代は一気に変わるぞ。その障害となるモノは我らが全て打ち砕いてみせよう!
応援ありがとうございます!
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