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316 付与を頑張るつもりが、急遽海へ!

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 一夜明け、今日もまた服の強化をしに作業部屋に入る。


「お?もう来てたのか。おはよう和泉、それと兵粮奉行に昇格おめでとう!」
「おはよー!ありがとー!!同じ役職の人がいないから、何をしていいのかさっぱりわからないけどね!」
「ん-ーー、兵粮奉行って名前なんだし、まあ食いモンに関すること全部だな。料理を作るだけってんじゃなくて、最前線で戦っている兵士達を飢えさせないようにするんだ。農家や漁師などから、仕入れルートを作っておくといいぞ」
「ルーサイアならいいけど、ココって何も無いじゃない!」
「そうなんだよな。とりあえずは服の強化と料理作ってるだけでいいぞ。俺がルート作っとくから、その後和泉が引き継ぐ感じにしよう。伊勢にも漁港作らんとな」

 まあ聖帝との戦争が終わるまでは無理なんだけどさ。

 港を作るだけならば、エルフがちょちょいのちょいで作ってくれるだろうけど、漁船を作るのが大変なのですよ。

「伊勢と言ったら伊勢海老!急いで作って!!」
「伊勢海老か!そりゃあ是非とも食いたいが、ちゃんと伊勢にいるんかなあ?普通に考えたら伊勢以外でも獲れると思うんだけど、尾張じゃ一匹、いや一尾って言うんだっけ?とにかく一度も網にかかったことがないんだ」
「どうなんだろね?神様が気付いてくれたかどうかが問題かなあ」
「マグロとかもいるから、たぶん作り忘れたってことは無い気がするけどな。伊勢でしか獲れない可能性はあるけど、長い年月でエビが伊勢から移動した可能性もあるし、何とも言えん」

 やべえ・・・、伊勢海老を思い浮かべたら今すぐにでも食いたくなったぞ!
 アリアダンジョンに、タコ・イカ・カニ・ホタテはいたんだけど、エビだけはいなかったんだよな。そうか!俺はエビに飢えていたのかもしれん。

「あっ!!よく考えたら、マジックバッグに最初に作った小船が入ってるの思い出した。正直遊んでる暇なんて無いんだけど、一度漁に出てみるかな?」
「今すぐ行って来て!!服の強化は私一人で頑張ってるから、小烏丸は伊勢海老優先よ!」
「うーーーん、1日サボったのを後悔することにならんといいが・・・。まあ根を詰めすぎるのも逆効果かもしれんし行ってくっか!」


 今日の遅れは明日取り戻せばいい。なぁに、ちょっと聖水ドーピングすりゃいいだけのことよ。ダンジョンでは3日寝なかったんだから、俺なら出来るハズ!


 というわけで、バイクの後ろにルシオを乗せ、海へカッ飛ばして行った。





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 半日かけて海へ辿り着いた俺とルシオは、ちょうど良い感じの岩場から船に乗って大海原へと出発した。


「よーし、そろそろ網を引き揚げてみるか!」
「伊勢海老でしたっけ?どんな見た目なのですか?」
「ん-とな、魚とは違って・・・、ちょっと虫っぽい見た目だな」
「む、虫ですか!?」
「虫ともちょっと違うんだけど、他に例えようがねえんだわ。とにかく美味いのは間違いない!よし、網を上げるぞ!」
「アイアイサー!」

 そういや昔、海ではこの掛け声だって教えたんだった。
 ちゃんと覚えていてくれたとはな!

 網を引き揚げる。

「大漁ではあるが、肝心な伊勢海老は・・・、いたーーーーーっ!!」
「ああ、これですか!確かに魚っぽくは無いですねえ。小烏丸さんが美味いって言ってなかったら、気持ち悪くて捨てていたかもしれません」
「見た目がちょっとな~、しかし思ったより獲れてないな。確か漁師はみんな刺し網漁してた記憶があるから昼間じゃダメなのかもしれん。伊勢海老が活発に動くのは夜中だったか・・・」

 パッと見た感じ、網にかかってるのは5匹ってとこか?
 ウーム・・・、これじゃあ和泉に怒られるな。

「一旦沖で魚を箱に入れて来てから、少し場所を変えてもう1周しよう。この袋型の網は最新型だから、魚をイチイチ網から外さないでも大丈夫なヤツなんだ。しかも予備の網も持ってるから、折りたたむ作業は後回しにしてすぐ2週目に行けるぞ!」
「なるほど!でも持ち帰るのは大丈夫なんですか?その不思議な鞄に、生き物は入らないとか言ってませんでした?」
「ウム、入らん。でもこんな時の為にリアカーを作ってあるんで、バイクのスピードは落ちるけど持ち帰れるぞ」
「リアカーですか?」
「まあそれは帰りに見せるよ。バスで帰ってもいいんだけどさ、バスの上に二人で魚たっぷりの箱を乗せたり降ろしたりするのは大変過ぎるからな」

 リアカーのタイヤはゴムではなく魔物の皮を使った代用品なんで、無茶はできないけどゆっくりなら城までは耐えてくれると思う。リアカーは2台作ったんだけど、ちゃんと連結が出来るか少し心配だな。


 そしてもう1周底引き漁をして、大量の魚と伊勢海老が11匹という戦果でレイリア城へと帰還した。





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 面白いイベントを嗅ぎつけて来たルーシーやピピン達に箱を運ぶの手伝ってもらい、厨房まで持って来た。

「伊勢海老だーーーーー!!!」
「なんっスか、この気持ち悪い奴!」
「スマン!11匹しか獲れんかった。伊勢海老漁は昼間じゃたぶんダメっぽいな。エサに釣られて入ったら箱から出られなくなるような罠を作ったりした方が効率いいのかもしれん」
「なんかそれ知ってるかも?あんまり詳しくは覚えてないけど」
「これくらいの量じゃ満足に食えんかもしれんけど、明日の夕食にでも刺身にして出してくれ!」
「今日食べたいくらいだけど、もう夕食終わっちゃったしね。そういえば二人ともお腹空いてるでしょ?ちゃんと取っといたから食べて行きなさいな」
「サンキューな!ちなみにルーシー、その気持ち悪いのは伊勢海老という名前で、むっちゃ美味いんだぞ?」
「そんなに美味いっスか!?」


 明日の夕食がすっげー楽しみだ!人数増えたからそれほど食えないだろうけどな。
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