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273 弓の威力と強化服の強度実験

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 ビュン  カッ


「っしゃああああああ!!流石俺が鍛えた服!強化弓如き屁でもないわ!」
「やったーーーーーーーーー!!」
「これに耐えられるなんて凄いです!鉄の鎧を貫通していたのに」
「一般兵にこれを見せれば、戦争でも安心して戦えるんじゃない?」
「それよ!自分の装備に絶対の自信があれば、恐怖心も薄れるわ!」


 なるほど!一般兵にこれを見せるってのは名案だ。
 鎧も着ないで戦場に行くのって、冷静に考えたら怖いもんな。


「そうだな、後で兵達の前でも実演して見せようか。さてさて、次はいよいよお待ちかねのヴォイドスケルトンアーチャの弓だ!」


 ヴォイド弓に持ち替え、鎧目掛けて矢を放つ。


 ビュン  ガンッガンッガンッガンッ


「うわ~~~~!つっよ!!!」
「えええ!?足軽大将で貰える弓に、これほどの威力があるのですか・・・」
「ぬぬぬ・・・、ちょっとこれは服も貫きそうですよ?」


 そう、問題はそこなんだよ!敵がこんな弓を持ってたら非常に怖い。
 剣で斬られて死ぬのなら納得も行くが、弓でポテッと殺されるのは絶対嫌だ。


「とりあえず、やってみないことにはな」


 強化服を着た鎧に狙いを定める。


 ビュン  ガンッ


「・・・・・・刺さってしまったか」
「惜しい!!でもこれって貫通しない分、逆に辛いことにならない?」
「矢が刺さったままだと、聖水飲んだ時に押し出してくれるのでしょうか?」
「なんか滅茶苦茶痛そうなんだけどッ!!」


 これはまいったぞ・・・。たぶん体に刺さった矢を抜かないと、矢が刺さった状態で体が修復されてしまうのではないだろうか?

 試しにもう一枚服を着せてみるか。


 鎧の所まで歩き、強化服を二枚着せてみた。



 ビュン  ガンッ


「くっそ!やっぱり同じ結果かよ」


 そんな気はしてたんだ。
 重ね着で防御力が上がるならば、着膨れ状態だと無敵ってことになる。
 神様が作った細かいシステムなんてわからんけど、強化服を何枚着ても一着でカウントされるのだろう。


「みんな聞いてくれ!!今実験してわかったんだけど、服の重ね着じゃ耐性の上乗せ効果は無いみたいだ。なので、もし矢が腹に刺さった場合、腹を掻っ捌いてでも矢を抜くんだ!生きてさえいれば、どんな重症でも聖水で治るからな。異物が体に残ったまま聖水を飲むと、異物が残ったまま怪我だけ治ってしまう可能性があると覚えといてくれ!」

「・・・なるほど~。やっぱりそれしかないわよね」
「まあ、腹を斬ったとしても即死はしないでしょうし」
「死ぬほど痛そうだけど、そうなったらしょうがないよ!」
「逆に聖水という最後の手段があるので、全然有利かと思われます」


 そうなんだよ。聖水なんてたぶん他の国には無いからな。
 尾張における一番のアドバンテージって、間違いなく聖水だと思う。
 兵がなかなか死なないってのは相当な脅威のハズだ。
 聖水が敵の手に渡るのだけは絶対に防がないとな。


「強化服の重ね着は効果が無かったけど、即死しない為に鉄の胸当てだけ装備するのはありだと思う。強化は無しで、単純に鉄の硬さで心臓を守る感じかな。それと頭を守る為の鉢金も有効だな」


 その後、防具について皆で話し合った。



 ・・・・・



「さーて、最後にルナティックゴブリンの弓の威力も見せるぞ」


 いつもの位置についてから、鎧目掛けて矢を放った



 ビュン  ガンッガンッガンッガンッガンッガンッ


「えええっ!!」
「何よこれ!?強すぎじゃない??」
「コレが伝説のゴブリン武器・・・」
「弓がこの強さってことは、他のゴブリン武器もこの強さ?」

 青弓の威力を初めて見た四人が驚いている。

「ヴォイド弓でも十分強いけどさ、更にルナティックゴブリンの弓を選択するのも十分ありだろう?」
「全然アリよ!ん?そういえばお嬢はどれを選んだの?」
「ワタクシはこの青弓に決めましたわ!」
「戦闘には刀があるので、弓を選択するのが一番効率的でしょうね」
「でも破壊武器も捨て難い」
「他の武器も試してみたいのだけど?」
「もちろん良いぞ!もう弓の試し打ちは終わったから、そこに並べてある鎧は壊しても構わん」


 マジックバッグから、強化したゴブリン武器を取り出して並べる。


「うっひょーーー!どれもこれも格好良いじゃん!!!」
「壮観ですね。目移りしてしまいます」

 リタとリナも、騒ぎはしないが目をキラキラさせて武器を吟味している。


 集まった他の人達も、強化済みのゴブリン武器には興味があるみたいで、一通り鑑定して騒いだ後に試し斬りを開始した。なので鎧が足りないと思い、この前倒した使者が着ていた鎧をそこら中に置く。

 斬り裂かれた鎧は、鉄として再利用可能なので全然問題ない。胸当てや鉢金を作らんといかんしな。
 というか弓実験の結果を見てしまうと、服だけじゃ防御に不安を感じるようになってしまった。

 胸当てと言ってもウチは機動性が売りなので、戦闘に影響がない範囲で心臓を守れるピンポイントな防具を作るべきだろなあ。
 全兵士分を作るのは正直キツイので、足軽組頭以上限定で配布する感じにしよう。
 それ以下の身分の者達は、自分の判断で自分の為に用意してもらう。


 そういやカーラって部将だから、服を強化する権利があるのか・・・。
 すぐには出来ないから、一旦服を預かって代わりの服を渡さんとな。
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