上 下
269 / 803

269 恩賞を考察してみる

しおりを挟む
 
 ガンッガンッガンッガンッガンッガンッ


 うわぁ・・・、最大強化じゃない弓も十分やべえわ。

 特別な弓の試射会ということで、訓練場ではなく城から少し歩いた場所に、ルシオ・チェリン・アイヴィー・ソフィア・お嬢・フローラという主力メンバーを招集した。


「その弓ちょっとおかしいよ!!」
「味方だからって、こんなのをばら撒くのは、いくらなんでもやりすぎ!」
「や、やっぱりそうか?」
「その青い弓はミスリル刀に匹敵する性能じゃない?最低でも、足軽大将以上の功績をあげなきゃ渡すべきじゃないわ。いや、侍大将以上かな?」
「ワタクシもそう思いますわ!といいましても、防衛戦でやれるべきことをやらないでただ損害を増やすのは愚かだと思いますし、ここにいる主力だけに貸与するというのは如何いかがかしら?」

「「異議なし!」」


 ちょっと考えが浅はかだったか。
 俺は心のどこかで、自分の付与を過小評価しているのかもしれんなぁ。


「わかった。じゃあ、とりあえずはココにいる皆に貸し出すということで」


 ルナティックゴブリンの弓を皆に渡して行く。


「じゃあこの弓は侍大将に昇格した時、正式に恩賞として授けることにする!侍大将以上の者はこの時点でもう自分の所有物だ。最強クラスの弓で存分に働いてくれ!」

「「ハッ!」」

「足軽大将になって功績を積めばミスリル刀も手に入るからな!チェリン・お嬢・フローラはすでに帯刀しているけど、マジで無茶苦茶つええから!その斬れ味もさることながら、汚れ耐性が付与されているのが大きな違いかな?」

「そうそう!汚れ耐性が本当に有能よね~!」
「血の付着を気にせず戦えるのは最高ですわ!」


 あ、そうだ!アレも渡しとくか。侍大将のチェリンとお嬢には資格がある。


「チェリンとお嬢はすでに侍大将だから、こいつも渡しておくぞ」


 二人にルナティックゴブリンから手に入れた矢筒を渡す。


「ん?これは矢筒ね!?」
「わあ~~~!なんて精巧な矢なのかしら!!」

「その矢筒はな、この弓の持ち主のルナティックゴブリンが所持していたモノだ。すなわち弓と同じ数しかない貴重品だ。中に入ってる矢を全て使い切ってしまうと、それで終わりってことになる」

「それを聞いてしまうと、もったいなくて使えないんだけど!?」
「ぐぬぬぬ、矢って全部で100本くらい?大一番でしか使えない矢・・・」

「その矢を参考にして、気兼ねなく使える矢を量産するのが良いのかな?街の武器屋に1本見本として渡して、同じモノを作ってもらうってのはどうだ?」
「それだっ!!」
「この街って何軒も武器屋あったかしら?」
「なんせ刀の国になってしまったからな。一応、剣・槍・弓なんかを作ってる店はあるみたいだけど、何軒もあるかは微妙なとこか・・・」


 100本限定の高級な矢とか、俺でも使えないかもしれん。
 拾い集めるのを前提として使うのって、どう考えても不便なんだよなあ。


「しかしそうなると、エルフ達に渡す弓はどうすっかなあ・・・」
「他に弓は無いの?」
「ヴォイドスケルトンアーチャーから手に入れた弓がごっそりある」
「ならそれで良いじゃない」


 ダンジョン9階の雑魚敵から手に入れた弓なんだけど、長ったらしい名前なんで、ミスフィートさんと骨弓って呼んでた魔物だ。
 ゴブリンの弓には劣るけど、この弓も地味に凄く良い弓だと思う。

 問題なのは、どこまで強化するのかだ。


「じゃあそうするか。ルナティックゴブリンの弓より、ワンランク落とした性能にすりゃ良いよな?同じ強化をしたらほとんど変わらん性能になっちまいそうだし」
「そうね~。勝つ為には強いに越したことは無いのでしょうけど、国宝になりえる武器を簡単に渡すのは駄目ね。そのエルフ用の弓にしても、しっかり結果を出した人に恩賞として渡すこと」
「最初は貸与にするべきですわ。ワタクシの月読命の時のように、一度その凄さを味わえば絶対に欲しくなるから、弓を手に入れる為に必死に頑張ると思いますわ!」
「チェリンとお嬢の言う通りだ。まずは貸与にして取得条件は足軽大将にしようか。足軽大将で更に結果を残せばミスリル刀。ウム、良い感じに纏まって来たぞ!」


 こういう目標があれば、出世意欲も向上するもんな。

 ・足軽大将になれば服と骨弓。
 ・そこから功績を積めばミスリル刀。
 ・侍大将になると青弓と領地。
 ・そして家老にまで出世すればオリハルコン刀だ!ついでに服も付けようか。

 いいんでない!?こんなん俺だって出世したくなるぞ!

 ・・・いやまてよ?手持ちのゴブリン武器は色々な種類がある。
 侍大将になった時に、本人に一つ選ばせるってのはどうだ?


「みんなちょっと集まってくれ!」


 俺の周りに全員集合したので、ゴブリン武器を全種類出した。


「さっきは侍大将に昇進したら青弓って言ったけど、この中から一つ選択できるってのはどうだ?もちろん性能は青弓と同格にする」

「「な、なんですってー!?」」

「赤ゴブリンの槍もあるじゃないですか!僕の部屋にずっと飾ってありますよ!」
「アレはルシオが自力で手に入れた武器だからな。恩賞とは別物だ。侍大将になった時どれが欲しいか考えといてくれ」
「ハイッ!」


 ゴブリン達を倒して手に入れた武器は、こん棒・槍・短剣・爪・斧・大剣・弓・大鎌の8種類だ。
 皆それぞれの武器を振り回して、じっくり吟味し始めたのだった。
しおりを挟む
感想 419

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します) ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。 神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。 もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ 楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。 ※基本的に主人公視点で進んでいきます。 ※趣味作品ですので不定期投稿となります。 コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

処理中です...