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268 最強の弓
しおりを挟む―――――伊勢・ヒューリック視点―――――
「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ヒュ、ヒューリック様!大変です!!」
「ん?お前は確か・・・、偵察に行かせていたのだったか?」
「その通りで御座います!」
「で、どうした?」
「聖帝の使者200名が、国境の門を抜けて尾張に入ったのですが、しばらくすると戦闘が始まりました!」
「な、なんだと!?尾張の奴らは使者を斬ったのか!?」
なんて愚かなことを!聖帝軍と戦争になるのがわからんのか!?
「間違いないと思われます!戦闘開始直後に仮面の男が防壁の上に現れ、謎の飛び道具で偵察兵を次々と殺し始めました!」
「馬鹿なッ!!!・・・ん?お前は大丈夫だったのか?」
「いえ、当然私も狙われました。しかしあの男の武器が光を発したと同時に、危険を感じて横へ飛んで回避しました。逃げなければ確実に殺されていましたね・・・」
「ほほう!!流石はジルだ!聖帝軍の間抜けな偵察兵とは違うな!」
「恐悦至極に存じます。ただ、すぐにまた攻撃されましたので、偵察は続行不可能となり、結果を見ずに逃げ出すしかありませんでした・・・」
「ふむ、まあしょうがあるまい。後で別の偵察兵を送り確認させよう」
ジルを偵察に行かせて正解だったな!
しかし偵察兵まで全て殺そうとするとは、尾張の新大名は危険すぎる。
「しかし、どうしましょう?すぐにでも聖帝様に報告しますか?」
「馬鹿者!聖帝軍と尾張が戦争になったら、まず我らが捨て駒にされるだろうが!!どうせいつか戦争になるとしても、もう少し兵の練度を上げてからだ!」
「で、出過ぎた真似を致しました。今日の出来事は他言しないと誓います!」
「それで良い。まあどちらにしても、200もの使者が戻らなければ気付く。それまでにあの壁の攻略法を考えねばなるまい」
猶予は数ヶ月って所か。
壁のせいで尾張の強さがまったくわからんのが厳しいな。
ジャバルグならばよく知っているのだが、奴らはあのジャバルグを倒して成りあがった新興勢力。どんな戦い方をするのか完全に未知数。
だが少なくとも、尾張が極大魔法を使って来るのは確かだ。
その備えはすでに出来ているとはいえ、極大魔法を何発も撃たれたら守り切れるかどうか・・・。
まあとにかくあの壁を破壊せねば話にならん!
魔法じゃ壊せない可能性を考慮して、物理的に破壊できる兵器を作る必要があるだろうな。
くそう、忌々しい奴らだ!聖帝も非常に腹ただしいし、本当に気分が悪い!
美濃の連中が動けば、両面から攻撃出来るのだがなあ・・・。
ふむ、一度使者を送ってみるか。
************************************************************
―――――小烏丸視点―――――
「完成だ!」
一つくらいは最強の弓があってもいいだろうと思い、弓ゴブリンから手に入れた弓を最大強化してみた。もちろん防衛戦で俺が使う予定だぞ。
[ルナティックゴブリンの弓]
:ルナティックゴブリンが愛用している弓。評価SS
:素材は一切不明。
:矢威力強化(極)矢速度強化(極)命中強化(極)貫通強化(極)
:自動修復(強)衝撃耐性+++ 汚れ耐性+++ 精神耐性+++ 魔法耐性+++
防水機能
どうよ?これ以上の弓など他に存在するまい。
もちろん弓は赤く塗った。元は鮮やかな青い弓だったんだけど、赤い流星専用の弓なのだから当然この色じゃなきゃイカンでしょ。
それと、持ってるゴブリン弓をいくつか強化しといたんで、エルフ達が来たら持たせてやろうかなって思ってる。俺の弓ほどじゃないけど、それらもかなりの強さだ。
最初は貸すだけだけど、戦争で大活躍した暁には、恩賞として自分の所有物にできるようにしようか・・・。間違いなく国宝クラスの弓なので、これを喜ばない奴なんて絶対いない。
後は急ピッチで作らせている帽子の強化をせんとな~。
今までは頭に布を巻いていたんだけど、戦ってるうちにずり落ちたりして、そうなると縛ったりしている時にすごく無防備になってしまうのですよ。
でも帽子ならかぶり直すだけでいいからな!
帽子案を閃いてからすぐ、ミケネコ城・トラネコ城・クロネコ城にも帽子を作るよう伝えといたんで、戦争が始まるまでにはたぶん全員分揃うと思う。
そうそう!和泉の付与レベルが結構上がったみたいで、耐性++まで強化可能になったとの報告を受けた。なので、ミルドナーガで作った帽子はルーサイアに送ってもらい、全部和泉に強化してもらうつもり。
今まで全部俺の仕事だったんで、和泉が付与魔法を使えるようになったのは本当に有難い!次回の論功行賞では、圧倒的貢献度で出世間違いないだろうな。料理でも大貢献してるから。
・・・・・
ビュン
ガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッ
「すっげええええええええええええ!!!」
鉄の鎧何個貫通したよ!?
俺はとんでもない弓を作ってしまったのかもしれない・・・。
強いのは知ってたけど。
「今の音は何です!?」
「ああルシオか。強化した弓の威力を試してたんだ」
もう一度矢をつがえて撃って見せた。
ガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッ
「ぶっ!!ハッキリ言って異常ですよその弓!!!」
「うむ。俺もあまりの強さに驚いてた所だ・・・」
これはエルフ達に持たせる予定の弓も相当やばい気がするぞ・・・。
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