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234 ミスフィートvs赤いゴブリン

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 その魔物と戦った瞬間、ミスフィートさんの目が輝いた。


「なんて綺麗な剣の使い手だ!」

「リザードマンは俺の師匠ですからね!俺の構えと、どことなく似てませんか?」

「なるほどっ!言われてみると確かに似ている」

「遊びたい気持ちはわかるのですが、次はリザードマンが3体出て来るんで、とりあえずソイツはサクッと行きましょ~」

「3体か!了解だ。そっちの方が楽しそうだな」


 彼女がそう言った瞬間、リザードマンはあっけなく倒された。
 まあこの程度の魔物で苦戦はしないわな。


「赤ゴブリンに敗北した後、ココに来て刀の修行をしたのです。まあ得物が違うので、丸々技を盗むってわけには行きませんでしたが、あの剣筋は非常に参考になりました」
「わかるぞっ!同じ境遇ならきっと私も参考にしただろうな」
「私には剣筋の美しさなんて全くわからなかったわ!」


 そして3体のリザードマンが出現し、ミスフィートさんは目をキラキラさせながら、少し時間をかけて倒した。


「楽しかったーーー!これは良い修行になるぞ!」
「ハハッ!俺も結構長い間ココに通いましたもん。さて、次はいよいよ赤ゴブリンの登場ですよ!」
「ひいいいぃぃぃ!大丈夫かしら・・・、私の心臓」
「おおっ!ようやく強敵と戦えるのだな!」


 円卓がある部屋に到着。


「なんで円卓があるのよ?しかも椅子がいっぱいあるし」
「虎徹さんと清光さんの仕業だよ。俺と同じく、リザードマンで修行するのにココを使ってたらしい」
「なるほど。わざわざ1階まで戻らなくてもいいようにしたのだな」


 椅子に座って少し休憩した後、赤ゴブリンのいる通路の方へ歩く。


「このすぐ先に赤ゴブリンがいます」

「なにッ!すぐ近くにいたのか!」
「1階の部屋もだったけど、作りが色々とおかしいよね!?なんで部屋の横に凶悪な魔物がいるのよ!」
「仕様としか言えん!さて、4階も近いしすぐにでも戦いますか?」
「もちろんだ!」
「マジで強敵なんで、気を付けて下さいね」
「怖いのわかってるから見たくないけど、でもやっぱり気になるっ!」


 三人は慎重に通路へと入って行く。



「グギャアアアアアアアアア!!」

「なにッ!もう気付かれたぞ!」
「3階からのゴブリンは、みんなやたらと敏感なんですよ!」
「ぎゃーーーーー!来てる!来てるってぇ!!」


 ミスフィートさんが前へ飛び出して、赤ゴブと対峙した。


 ガギンッ!


 迫る赤ゴブの槍をミスフィートさんが弾いた。


「速いっ!?」

「グギャアアアアアアアア!!」
「くっ!」


 相変わらず凄まじい攻撃だ。
 今まで苦戦知らずだったミスフィートさんが圧されている。


「本当に強いな!昔の小烏丸が負けたのも頷けるぞ!」


 キンッ! ドゴオオオン!


「動いてる・・・、私の心臓はまだ動いている!」
「良かったな和泉、死ななくて」


 向こうの派手な激闘をよそに、こっち側は平和なもんだ。


 そして10分ほど経過し、戦闘に大変満足したミスフィートさんが決めに入った。


「ハッ!!」

「グ、グギギギ・・・」


 ミスフィートさんの渾身の突きが、赤ゴブリンを貫いた。


「よーーーし!勝ったああああああああああ!!」


 パチパチパチパチ


「おめでとうございます!」
「強いのは知ってたけど、ミスフィートさんってホントに滅茶苦茶強かったのね!」

「とても楽しかったぞ!!何度かヒヤリとした攻撃があった!本当に凄いなこのダンジョンは!」


 知ってたけど、完全にバトルジャンキーだよね。
 まあ、それくらいじゃなきゃ大名になんてなれないか。


「さて、じゃあ待望の4階へと進みますか!」

「ようやく私の出番が来るのね!」
「4階が今日の目的地だったな。お?この槍って、かなり良い武器じゃないか!」


 魔石をゲットしたミスフィートさんが、今度は槍を振り回して遊んでいる。


「ルシオは赤ゴブリンを倒した記念に、その槍を部屋に飾ってるみたいですよ?ミスフィートさんも、記念に取っておいて良いんじゃないですかね」
「いいなそれ!倒したゴブリンの武器を全部部屋の壁に並べよう!」


 上機嫌なミスフィートさんを連れて、三人で階段を降りる。


「うわぁ~、すごい湿気ね・・・」
「海産物ゾーンだからか、4階はいつもこんな感じなんだ」
「でも魔物が弱いのではつまらんな。この階層はイズミに任せよう!」
「えーーー!?私で大丈夫なの??」
「マジで楽勝だぞ。ただし奥まで行くとドラゴンが出るけどな」
「そんなのが出たら死ぬじゃないの!!」
「その時はまた私の出番だなっ!」


 なんかこの二人といると全然飽きないな。
 なんせ最強と最弱なので、言ってる内容が真逆だ。


「おっ、いたぞ!さあ和泉、行って来い!」
「カニだ!!!」


 スタタタタタタ

 ザクッ


「カニ召し取ったりぃーーーーーー!!!」

「もっと躊躇するのかと思ったら、脇目も振らず特攻しおった」
「カニも無茶苦茶美味いんだよな!」

「見て見て!でっかいカニ!!」
「クッソ弱かったろ?」
「あっ!そういえば弱かったね~」
「わははっ!食べ物としてしか見てなかったようだな!」

 気持ちはすげーわかる。俺も最初見た時、真っ先に特攻した覚えがある。

「獲って来た食材は、魔石だけ取り出してどんどんマジックバッグに入れてくから、好きなだけ倒してくれ。魔石は後で纏めて渡す感じで構わんよな?」
「うん!じゃあ食材の管理は任せたわね!」


 和泉はすぐさまダッシュして行った。
 なんかもう完全に、レベル上げだということを忘れてそうな気がするな。
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