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227 三河にもお裾分け
しおりを挟む「すげーーーっ!味も完璧にバニラアイスじゃん!」
「美味しいにゃーーー!!」
「こんなアイスクリームはアリアでも食べたことがないわ!」
「マジで凄いな。バニラなんて外国の植物という認識だったぞ」
ここは三河の城だ。
和泉がバニラアイスを三河の人達にもご馳走したいと言うので、寸胴鍋いっぱいに作って持って来たのだ。
虎徹さんと清光さんだけじゃなく、ちょうどニーニャさんとシルヴァラさんも城内にいたので、新作のガラスの器に入れて皆に振舞った。
「バニラを見つけたのはラッキーだったけど、何より牛乳が手に入ったのが大きいよ。お陰でお料理の幅がぐーんと広がったもの」
「食材が揃って和泉が全力を出せるようになって来たから、最近ミケネコ城の食事はむっちゃ豪華ですよ。まあ、それでも足りない物だらけなんですけどね」
「だろうな。俺も久々にカレーが食いたいんだが、ウコンが見つからねえ」
「ガチャからもカレーって出ないもんな~」
「あ、やっぱりそうなんですか?俺もカレーのルーはガチャから出したこと無いんだけど、そもそも用意されてないのかもしれませんね」
あんだけ調味料が入ってるのにカレーが無いとは、女神様も詰めが甘かったか。
「この寸動鍋は置いてくので、皆さんで好きな時に食べて下さい。見た目は寸動鍋ですが、実は冷凍庫の魔道具なので、その辺に置いといてもアイスは溶けません。あと今使ったディッシャーもお付けします。どちらも返却の必要は無いので好きに使って下さい」
「何ッ!?これ全部貰っていいのか?そいつは有難い」
「やったにゃ~~~!」
「ありがとうございます!」
「地味にこの冷凍庫も有能だな!コンパクトで使いやすそうだ」
それから1時間ほど、みんなで世間話なんかで盛り上がった。
・・・・・
「さて、んじゃそろそろ俺らは帰ります。これから和泉をダンジョンで鍛えなきゃならんのですよ」
「ん?ダンジョンって、ああ、さっき言ってた尾張のダンジョンか。でも魔物の強さはそれほどじゃないんだろ?」
「まあそうですねえ。かなり深く潜ればそれなりの魔物はいそうですが」
「そいつぁ面倒そうだな。・・・よし、アリアのダンジョンに連れてってやろう。アイスの礼だ!あー、そうだな、期限は3日間でどうだ?」
「え!?いいんですか!?」
「礼だと言ったろ。まあ3日もありゃ、それなりのレベルまで上がるハズだ。・・・ふむ、ミスフィート殿も一度連れてってみるか?」
「ミスフィートさんも連れてっていいの!?彼女なら絶対喜びますよ!」
マジかよ!アイスでダンジョンが釣れたぞ!!和泉の超ファインプレイだ!
しかも3日間ってのが逆に丁度良い。長い間城を空けるわけにゃイカンからな。
「出発の日はそっちで相談して決めてくれ。んじゃコテツ、送迎頼むわ」
「あいお~!」
虎徹さんに城まで送ってもらった。
そして、行く日が決まったら連絡すると伝え、虎徹さんと別れた。
トントントントトントントトン
「何だ!?この有頂天なトントンは。入っていいぞ」
ガチャリ
「ただ今三河から戻りました。そして吉報です!」
「誰かと思ったら小烏丸だったのか!おかえり。で、吉報とな?」
「三河の城で清光さん達にアイスを振舞った後、アイスの詰まった寸胴鍋ごとプレゼントしたのですが、そのお礼に3日間、アリアのダンジョンに連れてってもらえることになりました!しかも今回はミスフィートさんも連れてって良いそうです!」
一瞬キョトンとした後、ミスフィートさんの瞳が輝きを放つ。
「・・・アリアのダンジョンって、小烏丸が言っていた高難易度のか!?」
「そうです!ゴブリンが死ぬほど強いダンジョンですよ!」
「行く。絶対行くぞ!!そこへ行けば、小烏丸が短期間でどういう修行をして強くなったのかもわかりそうだなっ!」
「あ~~、確かにそうですね。3日間ですので魔石はそれほど集められないとは思いますが、ガチャも回せますよ。あと、全然減ってないけど聖水の補充も出来ますね」
聖水的にはもうちょい減ってからの方がって思ったけど、手持ちの聖水をどこかに置いて行けばいいだけの話なので、良く考えたら全然問題ないやん。
「すごいじゃないか!!すごく楽しみだなッ!あれ?そういえば、いつ行くのだ?」
「こちらで決めて良いそうです。なので、ミスフィートさんの予定に合わせますよ」
「おお、こっちで決めていいのか!とはいえ3日間城を離れるだけだろう?明日からでも問題無さそうだぞ?」
確かに今は差し迫った用事は無さそうな気がする。
むしろ俺の方がやることあるかもしれんな。
「えーと、それじゃあ行くのは明後日にしませんか?明日はその為の準備をするということで。ああ、言い忘れてましたが、今回の話ってのは和泉のレベルを上げる為という名目なのです。だから和泉にも準備させなきゃいけません。なんせ3日間おやつ無しってのは、城のみんなが泣きそうですからね」
「あ~、なるほど!そういう理由があったのか。ならば3日分のおやつを前もって用意せねばならんな!私も城を留守にしても大丈夫なように、細々とした仕事を片付けておこう」
「じゃあ出発は明後日の朝と虎徹さんに連絡しときます」
「了解だ!」
よし、俺も明後日までにやることやっとかんとな。
聖水チャンスは絶対に逃すわけにイカンから、巾着に入っている聖水は、現在使ってない来客用の浴槽にでも全部入れるかな?
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