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225 チェリンからの通信

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 プルルルル


 通信機が鳴っている。

 慌てて番号を調べると、チェリンからの通信だった。


「あいよ~、こちら小烏丸。ガラスハウスの件か?」

『残念、ハズレよ!』

「なにッ!?ってことは・・・、ん~何だろ?」

『遊んでる場合じゃないのでサクッと言っちゃうけど、また聖帝の使者が現れたわ!今度は12人も』

「マジか!?で、どうなった??」

『前の時とまったく同じ要求だったわ。メルティーを差し出せってね』


 ってことは、前任が殺されたとは気付いてないんかな?
 イケイケの聖帝軍だから、歯向かう存在など存在しないとでも思ってるのかね。


「懲りない奴らだな。つっても、前回あった出来事を知らんのだから懲りるわけねえか。むしろ奴らにバレてない証明と考えるならば悪くない反応だ」

『ああ、なるほど!気付いていたならば違う方法を取るわよね』

「ってことは、奴らのその後の行動も一緒か?」

『そうね。メルティーなんか知らないって言ったんだけど、嘘をつくな!その体に聞いてやるグヘヘヘって感じよ。頭に来たので、その場で斬ったわ』

「完全に尾張を見下してやがんな。そんな奴らは生かして帰す必要ナシだ」

『じゃあ、私の判断は間違ってなかったと思って良いのかしら?その直後に門を閉めて、逃げ道を完全に塞いでから使者12人を殲滅したんだけど』

「なるほど、良い作戦だ。それならば今回も敵に知られることはあるまい」

『念の為、門の上から他に誰もいないか確認したから、今回も大丈夫だと思う』

「完璧な対応だ!これでまた戦争までの時間は稼げたな。さすがに次はもう聖帝軍も異変を感じてやって来る状態になるだろうから、こちらも大人数で対処した方がいいだろう。下手したら突然戦争が始まる可能性も無くはないんで、警戒は怠るなよ?」

『わかったわ。じゃあ隊長に報告よろしくね~』

「あいおう!」


 2回目ともなると、そう遠くないうちに異変に気付くだろうな。

 次のアクションまで半年から1年といった所か・・・。
 そろそろ戦争に備えておく必要がありそうだ。



 ・・・・・



 事の顛末をミスフィートさんに説明した。


「そうか。次来たらもう戦争は避けられないな・・・」
「そうですね。まあそれでも最低半年くらいは猶予があると思います。時が来たらシェルフィーユに兵士と実力者を何人か配備しましょう」
「確かにチェリンだけでは厳しいかもしれんな。わかった、考えておく」

 今すぐに送る必要は無いだろう。何か不穏な動きがあるならば別だけど、何も無い状態でビビってたってしょうがないからな。

「ミルドナーガからシェルフィーユに線路を作ってる所なんですが、やっぱり早く動いて正解でした。半年後には余裕で完成しているハズなので、そちらからの援軍も素早く送ることが出来ます」
「機関車も作っているのか?」
「勿論です!軍専用の機関車なので、使いたい時にすぐ発車することが出来ますよ。その路線のレールが完成したら、一般の機関車も毎度トラネコを経由しなくてもよくなりますので、現在の非効率な部分が改善されます」
「なるほど・・・、ぐるっと回れるようにするのだな!」

 行ったり来たりって感じじゃなくなるから、前よりも色んな面でスムーズになると思うんよね。

「とりあえず報告はこんな所です」
「ご苦労だった!そう言えば・・・、ああ、話が変わるのだが、イズミがアイスクリームというのを作るらしいぞ!」
「マジっスか!!」
「えーと確か・・・、バニラとかいう植物を発見したとか聞いたな」
「バニラアイスだと!?確かバニラって発酵させて乾燥しないと匂いが出ないハズ。もうその段階まで行っているというのか!」

 和泉すげーな!食い物に関してなら本当に隙が無い。

「それって、そんなに凄いことなのか?」
「まずその植物が尾張にあったのが驚きです!それに植物その物にはバニラ特有の匂いなど無いので、植物の知識を持ってなきゃ見過ごしてしまうでしょうね。その辺は流石和泉だと言わざるを得ません」

 流石は料理の達人だ!バニラアイスとか、むっちゃテンション上がるわ!

 ただ時期がちょっと良ろしくないな。どうせなら夏に食うのがベストなんだが。
 あれ?そういやバニラの収穫期って寒い時期だったのか・・・。

「おおっ!ならば期待していいのだな?」
「食べた人全員がアイスクリームの虜になりますよ!ただ冷たい食べ物なので、本当は夏に食べたいお菓子なんですけどね」
「冷たいお菓子なんて初めてだな!」
「ってことは・・・、アイス専用の冷凍庫も必要になるかな?」


 詳しい話を聞くために、厨房へと向かった。


「和泉!!バニラを見つけたってのは本当か!?」

「ええええ!?何で知ってるのよ!驚かせようと思ってたのに」
「あー、それはスマンかった!ミスフィートさん情報だ」
「知ってしまったモノはしょうがないわね。でもまだ準備段階よ?人数分作るとなると、準備も大変なのよ」
「それもそうか・・・。あーそうそう、専用の冷凍庫とか必要か?」
「んーーー、冷凍室があるから作るのは大丈夫だけど、お店に置いてあるようなアイス専用のなら欲しいかも。表面がガラスで中が見えるやつ!」


 おー、なるほど!中が見えるってのは良いかもしれん。いっちょ作りますか!
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