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200 牛乳を買いに三河の牧場へ

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「うひょーーー!めちゃめちゃ速いっス!!」
「機関車って凄いね~!!」
「バスも凄いけど、ワタシは機関車の方が好きかもしれない!」


 うん。ご存じの通り、ルーシー・ピピン・エレンの三馬鹿トリオだ。
 新しいイベントが発生すると、確実に匂いを嗅ぎつけて来る習性があるのだ。


「コレは素晴らしい乗り物じゃわい。尾張の線路作りが終われば、好きな時にミルドナーガなんかに行けるようになるんじゃろ?」
「小烏殿が新しいことを始めると、いつも天地がひっくり返るのう」
「しかも今回のは三河の大名まで絡んでいますからね。尾張はどんどん加速度的に発展して行きますよ!」


 今日の目的は牛乳を買うことなので、機関車を乗客で満員にはしていない。
 車両を増やせば解決する話なんだけど、今回は試運転も兼ねているのであまり無茶はしない作戦にした。


「完璧じゃねえか!これに寝台や食堂の車両をくっつければ、更に居心地の良い旅が出来るな」
「ああ~、良いですね!ココでは次の街まで移動に2日かかったりしますから、機関車から一度も出ること無く、快適に過ごせるようにするのは全然アリです」
「一般人に開放するなら、それだけでも結構稼げるな!」
「そうですね~、レール作りに結構金がかかってますから、どこかで元を取りたい気持ちはあります」
「ほ~、機関車の中でも稼ぐのか。小烏丸はなかなか抜け目がないな」


 清光さん、虎徹さん、ミスフィートさんと会話しながら運転中。
 運転と言っても、止まる時以外は全自動で放置なんだけどね。

 なぜか『牛乳が欲しい』って話から、機関車が出来上がってしまった。

 本当に突発的だったので、全然予想してなかった出費が痛かったりもする。
 まあ、ガラス工場や健康ランドで儲けてるんで、今やこの程度の出費でたじろぐ尾張ではないけどな。

 突発的だろうが、チャンスは最大限に生かす!それが私の主義だ。


 口には出していないが、今日もノルマ達成!


「あれ?標識がありますよ?」
「あーそうそう!尾張に行く前に標識立てといたんよ。あと分岐器の切り替えな」
「ここでブレーキを踏み始めれば、大体丁度良く止まれるハズだ」


 言われた通りにエンジンを切って、ブレーキをかけ始める。

 そして上手い具合に牧場前に停車することが出来た。
 自分のテクに惚れ惚れしながら、皆と一緒に機関車を降りる。


「おおーーーー!アレが牛っスか!?」
「いっぱいいるね~」
「買いに来たのは、あの動物のお乳なのよね?」

「俺の知ってる牛とは少し違うけど、たぶんこれが牛なんだろな~」


 少し離れた小屋の方から、気の良さそうなおっちゃんが歩いて来た。


「これはこれは、ようこそいらっしゃいました!私は当牧場を任されてるジャンです!」
「尾張軍師の小烏丸です。俺が来るのは今回限りかもだけど、ミスフィート軍の誰かがこの先何度も牛乳を買いに来ると思うんで、その時はよろしく頼みますね」
「尾張の軍師様!?わ、私ごときに敬語なんて必要ありません!お願いします、部下に話しかけるように、普通でお願いします!」

 そういや軍師って結構偉い立場だったな。他国で偉そうに話すのもどうかと思ったけど、それなりの態度で接しないと逆効果でもあるのか。

 ジャンさんと握手する。

「貴方を困らせるつもりは無かった!自分の立場を失念していたな。清光さんから話は聞いてると思うけど、今日は牛乳を買いに来たんだ。そしてこれからも定期的にずっと購入するつもりでいる」
「ありがとうございます!話は詳しく聞いております。お売りできる牛乳は小屋に置いてありますので、どうぞご確認下さい」
「牛乳はココでしか買えないからな~。買えるだけ全部買うぞ!」

「あっ!私も一緒に行くわよ!」


 和泉を連れて小屋に移動すると、牛乳の入った大きな入れ物が何個も鎮座してあった。

 コップに牛乳を汲んで2人で飲んでみる。


「うんめえ!!これは間違いなく俺の知っている新鮮な牛乳だ!」
「おいしーーーー!!これで料理の幅がグンと広がるわ!」
「ハッハッハ!喜んで貰えて何よりです!」


 牧場長と交渉し牛乳を購入した。

 今日持って帰る牛乳の入れ物は、次回来る時に持ってくることとなった。これから定期的に買うことになるので、その辺の話もキッチリしておいたぞ。

 普段なら牛乳はそのままマジックバッグに入れる所だけど、これから牛乳を買いに来るのは俺じゃないので、俺以外の人が購入したパターンを把握するために、機関車まで普通に運んだ。

 なるほど・・・、これを機関車まで一人で運ぶのは厳しいな。しかし二人で運ぶにしても転んだりすると大惨事だから、機関車の近くまでレールを敷いて、台車に乗せて運べるようにした方が良さそうだ。

 牧場長に説明し、ミニレールを敷く許可を貰った。



 ・・・・・



「ララ~~~、待つのじゃあ~~~~!」
「あははははははっ!」


 用事を終わらせて皆の所に行くと、メルティー様とララの声が聞こえて来た。
 牧場なんて初めてだろうから非常に楽しそうだな。連れて来て良かったよ。


「さて・・・、こっちの用事は済んだけど、すぐに帰ることもないよな」
「そうね~、牛乳が痛まないうちにすぐ帰りたい所でもあるけど」
「ああ、それは大丈夫だぞ。機関車に積み込んで、すぐにマジックバッグに入れ替えたから」
「機関車に積み込んだ意味が無いじゃない!」
「ああ、あれは俺以外の人が買いに来た場合を想定して、シミュレートしてみたんだよ。一度体験しておかないと、現場の気持ちがわからんだろ?」
「なるほど!流石ね~、尾張の軍師を任されるだけのことはあるわ」
「現場を知らんくせに、文句ばかり言う、アホな上司にはなりたくないんでね」


 いるんだよな~!天下りでやって来て、現場を何も知らないくせに身分だけは高い奴。いつも事務所でコーヒー飲んでるだけのくせに、すぐ部下を怒鳴り散らす。

 そういうのが本当に大っ嫌いなんで、俺は何でも自分で体験してみることに決めているのだ。


 そして3時間ほど牧場でまったり過ごしてから、一行は尾張に帰還したのだった。
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