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187 まさかの出会い
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建設や人集めの工程などは前回と同様なので省くが、ようやくトラネコの街にも健康ランドが完成した。
そして今はカーラ、カトレアと共に開店準備中。
「すごい行列ね!」
「ルーサイアの時も凄まじかったぞ。あっちはパラゾンからも人が来てたからな~。トラネコの街は元々首都だったから人口が多いし、ルーサイアの健康ランドより凄いことになりそうだ」
「こちらの方がルーサイアよりも富裕層が多いですから、食堂などの売り上げも期待出来そうです。尤も開店後一週間は半額なので、食堂は赤字でしょうけども」
「損して得取れって奴だ。まずは健康ランドの素晴らしさを国民に浸透させるのが大事だからな。大浴場やプールの楽しさを一度でも味わったら、今後通常料金になっても通うことになるだろうさ。それに健康ランドの売店には、普通の雑貨店には置いてないグラス職人達が作った美しいグラスが売ってるからな。それを求めて来る人もいるだろうよ」
「そうそう!ガラスのコップは素晴らしいわね!器が違うだけで、普通の水があんなに美味しくなるなんて」
トラネコに到着した時、お土産としてガラスのコップをいっぱい渡したのだ。
グラス職人が作った見事な作品もカーラ達に1個ずつプレゼントしたんだが、グラスに赤ワインを注いでやったら、2人共その高級感にめっちゃ感動してたぞ。
開店の時間が近付き、トラネコ健康ランドの支配人に任命されたエルフが会話に加わる。
「はぁ~、緊張しますね」
「ロンサーサ、君は従業員達が困っていた時に的確な指示が出来ればそれで良い。ルーサイア健康ランド支配人のセレンも今では慣れたもので、従業員達を手足の様に上手く使っているぞ。まあ大変なのは最初だけだ」
「自分じゃ解決出来ないことが発生したら、すぐアタシの所に報告に来なさいな。暴力沙汰ならすぐに解決出来るし、魔道具の故障とかなら小烏丸との連絡手段もあるから」
「了解しました!あっ、そろそろ開店の時間です!」
警備員の2人が両開きの扉を開けると人が雪崩れ込んで来た。
「「ご来場の皆様!トラネコ健康ランドへようこそ!!」」
「広告に書いてあった通り、本日から一週間は開店記念として大浴場が完全無料となっております!そして食堂の料金も、全て通常の半額とさせて頂きます!」
「「うおおおおおおおおおお~~~~!!!」」
ルーサイアの時と同じセリフでお客様を迎い入れた。
俺の仕事はここまでだな。
「さてと、じゃあ後は任せた!俺らはそろそろルーサイアに帰るわ」
「みんなありがとう!これでトラネコも賑やかな街になるわ!」
「皆様、本当にお疲れ様でした。後は私達だけで大丈夫です」
・・・・・
カーラとカトレアに別れを告げ、エルフ達をバスに乗せる。
―――その時だった。この世界の人が絶対に言わない単語が聞こえて来たのは。
「えっ!?コレって消防車じゃないの?いや、バス!?」
ん?
「なんでこの世界にバスがあるのよ!本当に意味わかんない!」
なんか今、消防車とか聞こえた気がするんだが・・・。
声が聞こえた方へと移動してみる。
「・・・え!?」
「ぬぬぬ!?」
若い黒髪の女性だ。しかもカジュアルな服を着ている。
この女性ってもしかして、俺と同じ世界から来た日本人なんじゃ?
「赤い流星だ・・・。なんでこんな所に赤い流星がいるのよ!?」
赤い流星を知っている!やっぱり日本人じゃん!
「もしかして、君は日本人か?」
「声まで赤い流星ですって!?ここは現実の世界ですらなかった!?」
「いや、声のことは放っとけ!で、日本人なのか?」
「・・・えーと、うん、はい、日本人です」
「おお、やっぱりか!」
ヘルメットとマスクを外す。
「俺の名は織田小烏丸だ。君の名前を教えてくれ」
「あっ!中の人は日本人だ!!・・・えーと、北条和泉です」
「北条和泉か、ああ、ココでは苗字を名乗ることがないから和泉と呼ぶぞ?」
「い、いきなり呼び捨てですか!?」
「俺も普段から仲間には小烏丸と呼ばれてるんだ。この世界には苗字ってのが無いんじゃねえかな?尾張と三河しか知らんけど」
「この世界・・・、そう、それよ!ここは一体どこなんです!?」
「・・・あ~、そうか、そこからか」
説明すると長くなっちまうよな・・・。バスで待たせている皆をルーサイアに送らなきゃならんのに。
「説明したいのは山々なんだけど、俺は今からバスの中で待たせている人達をルーサイアまで送り届けなきゃならんのよ。一緒に乗ってくのならルーサイアで全部説明してやるぞ?」
「どうしよう・・・。そこはすぐ近く?」
「いんや、到着まで2日かかる」
「それは困るわ!この街の雑貨屋さんで働かせてもらっているのよ」
「なるほど。いつからこの世界にいるのか知らんが、すでに人脈が出来てしまっているのか。困ったな・・・、連れて行けないのなら今まで通りこの街で暮らしてもらうしかないが」
せっかくの日本人だから詳しく話を聞きたいとこだけど、すごくタイミングが悪い。一緒に来てくれればゆっくり話せるんだが、彼女もいきなりは無理か。
「えーーー!!せっかく日本人に出会えたのに、また一人になるのは嫌よ!!!う~~~、少し待っててもらえる?店長に事情を説明して休暇をもらって来ます!」
「しゃーない、俺が一緒に行って交渉するか・・・。雑貨屋は近いのか?」
「えーと・・・、歩いて30分くらいかな?」
「ちょっと遠いな。んじゃバスで行くか!バスの中は満員だけど、運転席の横に補助席を出すからそこに座るといい」
「ありがとう!」
バスのドアを開ける。
いや~、しかしまさかこんな所で日本人に出会えるとは思わなかったな・・・。
そして今はカーラ、カトレアと共に開店準備中。
「すごい行列ね!」
「ルーサイアの時も凄まじかったぞ。あっちはパラゾンからも人が来てたからな~。トラネコの街は元々首都だったから人口が多いし、ルーサイアの健康ランドより凄いことになりそうだ」
「こちらの方がルーサイアよりも富裕層が多いですから、食堂などの売り上げも期待出来そうです。尤も開店後一週間は半額なので、食堂は赤字でしょうけども」
「損して得取れって奴だ。まずは健康ランドの素晴らしさを国民に浸透させるのが大事だからな。大浴場やプールの楽しさを一度でも味わったら、今後通常料金になっても通うことになるだろうさ。それに健康ランドの売店には、普通の雑貨店には置いてないグラス職人達が作った美しいグラスが売ってるからな。それを求めて来る人もいるだろうよ」
「そうそう!ガラスのコップは素晴らしいわね!器が違うだけで、普通の水があんなに美味しくなるなんて」
トラネコに到着した時、お土産としてガラスのコップをいっぱい渡したのだ。
グラス職人が作った見事な作品もカーラ達に1個ずつプレゼントしたんだが、グラスに赤ワインを注いでやったら、2人共その高級感にめっちゃ感動してたぞ。
開店の時間が近付き、トラネコ健康ランドの支配人に任命されたエルフが会話に加わる。
「はぁ~、緊張しますね」
「ロンサーサ、君は従業員達が困っていた時に的確な指示が出来ればそれで良い。ルーサイア健康ランド支配人のセレンも今では慣れたもので、従業員達を手足の様に上手く使っているぞ。まあ大変なのは最初だけだ」
「自分じゃ解決出来ないことが発生したら、すぐアタシの所に報告に来なさいな。暴力沙汰ならすぐに解決出来るし、魔道具の故障とかなら小烏丸との連絡手段もあるから」
「了解しました!あっ、そろそろ開店の時間です!」
警備員の2人が両開きの扉を開けると人が雪崩れ込んで来た。
「「ご来場の皆様!トラネコ健康ランドへようこそ!!」」
「広告に書いてあった通り、本日から一週間は開店記念として大浴場が完全無料となっております!そして食堂の料金も、全て通常の半額とさせて頂きます!」
「「うおおおおおおおおおお~~~~!!!」」
ルーサイアの時と同じセリフでお客様を迎い入れた。
俺の仕事はここまでだな。
「さてと、じゃあ後は任せた!俺らはそろそろルーサイアに帰るわ」
「みんなありがとう!これでトラネコも賑やかな街になるわ!」
「皆様、本当にお疲れ様でした。後は私達だけで大丈夫です」
・・・・・
カーラとカトレアに別れを告げ、エルフ達をバスに乗せる。
―――その時だった。この世界の人が絶対に言わない単語が聞こえて来たのは。
「えっ!?コレって消防車じゃないの?いや、バス!?」
ん?
「なんでこの世界にバスがあるのよ!本当に意味わかんない!」
なんか今、消防車とか聞こえた気がするんだが・・・。
声が聞こえた方へと移動してみる。
「・・・え!?」
「ぬぬぬ!?」
若い黒髪の女性だ。しかもカジュアルな服を着ている。
この女性ってもしかして、俺と同じ世界から来た日本人なんじゃ?
「赤い流星だ・・・。なんでこんな所に赤い流星がいるのよ!?」
赤い流星を知っている!やっぱり日本人じゃん!
「もしかして、君は日本人か?」
「声まで赤い流星ですって!?ここは現実の世界ですらなかった!?」
「いや、声のことは放っとけ!で、日本人なのか?」
「・・・えーと、うん、はい、日本人です」
「おお、やっぱりか!」
ヘルメットとマスクを外す。
「俺の名は織田小烏丸だ。君の名前を教えてくれ」
「あっ!中の人は日本人だ!!・・・えーと、北条和泉です」
「北条和泉か、ああ、ココでは苗字を名乗ることがないから和泉と呼ぶぞ?」
「い、いきなり呼び捨てですか!?」
「俺も普段から仲間には小烏丸と呼ばれてるんだ。この世界には苗字ってのが無いんじゃねえかな?尾張と三河しか知らんけど」
「この世界・・・、そう、それよ!ここは一体どこなんです!?」
「・・・あ~、そうか、そこからか」
説明すると長くなっちまうよな・・・。バスで待たせている皆をルーサイアに送らなきゃならんのに。
「説明したいのは山々なんだけど、俺は今からバスの中で待たせている人達をルーサイアまで送り届けなきゃならんのよ。一緒に乗ってくのならルーサイアで全部説明してやるぞ?」
「どうしよう・・・。そこはすぐ近く?」
「いんや、到着まで2日かかる」
「それは困るわ!この街の雑貨屋さんで働かせてもらっているのよ」
「なるほど。いつからこの世界にいるのか知らんが、すでに人脈が出来てしまっているのか。困ったな・・・、連れて行けないのなら今まで通りこの街で暮らしてもらうしかないが」
せっかくの日本人だから詳しく話を聞きたいとこだけど、すごくタイミングが悪い。一緒に来てくれればゆっくり話せるんだが、彼女もいきなりは無理か。
「えーーー!!せっかく日本人に出会えたのに、また一人になるのは嫌よ!!!う~~~、少し待っててもらえる?店長に事情を説明して休暇をもらって来ます!」
「しゃーない、俺が一緒に行って交渉するか・・・。雑貨屋は近いのか?」
「えーと・・・、歩いて30分くらいかな?」
「ちょっと遠いな。んじゃバスで行くか!バスの中は満員だけど、運転席の横に補助席を出すからそこに座るといい」
「ありがとう!」
バスのドアを開ける。
いや~、しかしまさかこんな所で日本人に出会えるとは思わなかったな・・・。
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