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166 焚き付けてみた

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「おーーい!スピードメーターの取り付けが完了したぞ。早速試運転をしてみてくれ。俺もバスの乗り心地が知りたいしな」

 おお!?清光さんの作業が終わったようだ。

「了解です!!えーと今からバスがちょっと動くけど、置いて帰るわけじゃないからな。清光さんにバスを少し改良してもらったんで試してくる」

「「はーい」」


 ということでバスに乗り込んだ。
 清光さんは補助席じゃなく普通の席に座った。客目線で乗り心地を味わいたいのだろう。

 アクセルを踏むと、スピードメーターが上がって行く。


「おお!スピードメーターが動いたーーー!!」

「速度としっかりリンクしてるハズだ。しかし大型バスってのもいいモンだな~」


 500メートルほど走ってからUターンして、元の場所まで戻って来た。


「バッチリですね!俺の体感速度とも一致してます」
「バイクの時に何度か調整したからな。そこは自信あるぞ」
「もしタイヤが作れるようになったら車の時代がくるでしょうから、スピードメーターは絶対商売道具になりますよ」
「タイヤな~、たまにゴムの木を探したりもしてるんだが、アレって高温多湿の気候じゃなきゃ育たなかった気がするんよな」

 この世界にそんな国なんてあるのか?

「日本しかない世界に、そんな場所ってあるんですかね?」
「沖縄まで行けばひょっとしたらってとこだな。むしろ代用品を探した方が近道なのかもしれんな」
「そうですねえ。別の方向から攻めてみるのも手か・・・」

 なんでもアリな世界だから、絶対別の何かが見つかると思うんだよ。
 何も見つからなきゃ、動物乗り物みたいな歩行タイプで行くしかないな。

「さて、そろそろ尾張に帰るとします。スピードメーターありがとうございました!掃除機の方は任せて下さい」
「おお、頼んだぞ!完成したら虎徹に連絡してくれ。三河と遠江に10台ずつくらいは欲しい」
「了解です」


 エルフ達を全員バスに乗せ、トロンゾンに向かって走り出した。





 ************************************************************





 一泊した後、国境を跨ぐ所でバスを止めて、もう一度全員に道路を確認させる。


「とりあえずこの幅を憶えといて欲しい。反対車線も含めて7メートル50センチ。中央に線を引いてある理由は、基本的に乗り物は道路の左側を走ることになっていて、中央の線をはみ出して走ってはいけない決まりになっているんだ」

 一気に説明して大丈夫かな?まあ、道路を建設する時にまた説明するだけか。

「適当に走ってると正面から走って来た相手とぶつかってしまうだろう?7メートル50センチという幅は、俺達が乗っているバスがすれ違うことを想定して作られているんだ。そして更に、人が歩く為の歩道も作る必要があるな」


 説明だけじゃ忘れるだろうから、何枚も写真を撮る。

 そして道路に手を置き、触感も確かめる。

「俺と同じ様に道路を触ってみてくれないか?少しザラザラしてるのがわかると思う」

 みんなが道路を触って確かめる。

「道路がツルツルだとバスのタイヤが滑ってしまい、事故を起こす確率が高くなるんだ。この少しザラザラした感じが滑り止めにもなるんで、重要なポイントかな?」

「なるほど・・・、道路も細かい所に意味があるのね」
「でもこれ作れるかなあ?」
「まだ三河なんだから、勝手に作っちゃ駄目よ?」

 本当はここで試せれば良いんだろうけど、勝手なことをするべきではない。

「それともう一つだけ。雨が降ると道路に水が溜まってしまうんだけど、その溜まった水をどこかへ逃がす必要があるんだ。道路の端っこに溝があるのがわかるだろう?これも絶対に必要なので憶えといて欲しい。ただ今度は溝に溜まった水を逃がす必要があるんだけど、それは実際に作る時にでも説明するよ」


 そして写真を撮りながら、エルフ達が道路という物を把握したのを見計らって、バスに乗り込んだ。


『それでは尾張へと入ります!道路が発達していないが為に起きる残念な揺れを、心ゆくまで楽しんで下さい』


 ちょっと自虐的な言い方過ぎるけど、エルフ達を焚き付けたいんでね。
 これでエルフ達が奮起してくれることに期待したい。



 ・・・・・



『まもなくミケネコ城に到着です。お忘れ物の無いようご注意下さい』


 バスのドアを開き、みんなを下車させた。


「それでは預かっている動物乗り物を渡しますので、名前を呼ばれた人から来て下さい」


 マジックバッグから動物乗り物を一つずつ取り出し、顔とサインを照らし合わせながらエルフ達に渡して行く。


「これに乗って帰れるのは最高なのだけど、やはり道が気になるわね」
「尾張に入ってからの揺れで、少し気持ち悪くなったわ・・・」
「決めたぞ!まず必要なのは道路だ。三河のように美しい道路を作ろう!」
「でも細かい部分が難しいよきっと。小烏丸さんに教えてもらいながらじゃないと、上手くいかないと思う」


 よっしゃ来た!これだ、この流れを待っていた!


「道路作りは俺の悲願でもあるんだ。とりあえず今日明日はゆっくり休んで英気を養い、明後日から道路作りを開始しよう!」

 ずっと座っているのも地味に疲れるからな。
 みんな元気そうには見えるけど、絶対に疲労が溜まっているハズ。

「道路の建設は三河との国境から始める予定です!おっと、明日にでも清光さんに連絡して、道路を繋げる許可をもらわないとな・・・。えーと、道路の建設に参加してくれた人には、国から給金が出ますからね!建築の方もお願いすることになると思うけど、俺からの要請に応えてくれた人には給金も弾みますよ!兵士ならば貢献度としても評価するつもりなので、皆さん奮ってご参加を!」

「おお!しっかりと給金が出るならばやるしかねえ!」
「私達の手で、尾張を三河以上の国にしましょう!」
「ボクも頑張るのです!」


 やっとだ・・・、やっと文明開化が始まるのだ!
 思う存分働いてもらうために、明日は魔法強化の指輪を量産しなきゃだな。
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