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100 第二の戦場
しおりを挟む―――――三河の国・清光視点―――――
トタタタタタタタ
「大変にゃーーーーーーーーーー!!!」
「なんだ!?何があった?」
「尾張の反乱軍が・・・、ジャバルグ軍を撃破したにゃーーーーー!!」
その吉報を聞き、ニヤリと笑みが零れた。
「そうか。とうとうやったか!」
「ジャバルグの死は確認してにゃいけど、城を出た反乱軍が街や砦を次々と落としてたから、間違いにゃいと思うにゃ」
「ふむ、間違いなかろう。そうか、小烏丸め!三河を全く頼ろうとしないで撃破するとは天晴としか言い様がない。こちらも約束を果たさねばな」
「約束ってにゃんだったかにゃ?」
「バイクと同盟だ。まあ近いうちに小烏丸から連絡が来るだろう」
「たぶん、そろそろルーサイアに帰って来る頃にゃ」
「わかった。報告ご苦労だった」
これでやっと、俺とコテツの武器が最強になるのか・・・。
いや、むしろ予想より遥かに速かったけどな。付与魔法使い半端ねえわ。
たしか1本の武器の強化をするのに一ヶ月かかるような事を言っていた気もするが、まあ何にせよ今から楽しみでしゃーねえな!
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―――――勝利報告を隣で聞いている小烏丸視点―――――
「皆の者!長き戦いを経て、我らはとうとうジャバルグを討ち果たしたぞ!」
「「わあああああああああああああああーーー!!!」」
民衆の歓喜の笑顔を見て、ようやく成し遂げたんだなーと実感出来た。
これから尾張の国は変わる。誰もが笑って暮らせる国になるのだ!
「私が大名になったからには、もう二度と過酷な生活に戻ることはないからな!ただし、悪者には一切容赦しない。この国で悪事を働く者は問答無用で斬り捨てる!皆もその事を肝に命じて、真っ当な人生を歩んで欲しい!」
悪人ってのは、どんなに平和な世界でも湧いて出るもんだ。
それを抑止する為には、厳しく取り締まらねばならない。問題なのは、不正を働きやすいのがむしろ権力者に多いということ。
だが不正を行った者が軍の人間であろうとも俺は斬る。例え皆に恐れられることになろうともだ!
鬼の副長と呼ばれた土方歳三のように、徹底した態度で軍を取り締まろう。
さすがに、ちょっとしたことで隊士を切腹させるような無茶はしないけどな。
そして民衆への勝利報告の後、ようやく領主の館へと戻って来ることが出来た。
・・・・・
「つっかれたあああああああ~~~~~!」
「もうダメ。ワタシは寝る!」
「その前に、お風呂入った方がいいわよ?正直、みんな臭いです!」
「臭い言うな~~~!」
「いや~、さすがに返り血を浴びた状態で、部屋に入るのはどうかと思うわ」
確かに俺も疲労困憊だが、風呂に入らず寝床に入るのは絶対に嫌だ。
・・・イカン!先頭バッターにならんと、風呂が一番最後になってしまう!
ダッシュで風呂場へ向かうと、幸運にもまだ誰も入っていなかった。
「よっしゃ!一番風呂貰った!!」
服を脱ぎ捨て、風呂に水を溜めながらシャワーを浴びる。
ふぃ~~!シャワーを作っといて良かったー!
こういう時は、浴槽にお湯を張る時間すら待ってられんからな。
「あれえ?もう誰か入ってるよ?」
・・・は?女の声!?お、おい、ちょっと待て!!
「小烏丸じゃない!もう先に入ってるとは、ずるいわね!」
「ちょっと!先に男の人が入ってるなんて聞いてないわ!」
「もうどうでもいいわよ!早く洗いたいのよ、私は!」
「小烏丸じゃないっスか。真っ先にシャワーを使ってるとは生意気っス」
「待て待て待てーい!!俺が使っているのに、なぜどんどん入って来るか!?」
「みんな一刻も早く血を洗い流したいのよ!わかるでしょ」
「ウチは見られても全然平気なので問題ないっスよ」
確かにみんなが今すぐ風呂を使いたいのはわかる。
わかるけど、もっと羞恥心を持とうや!!
「キャッ!お風呂が冷たいじゃないの!」
「いやいやいやいや、帰ってきたばかりだろう?まだ水を溜めている段階だ」
「早く湯船に入って寛ぎたかったのに~。このボタンを押せば良いのよね?」
「いや、その前に返り血くらいシャワーで洗い流そうや!」
もうわちゃわちゃだ。先頭バッターを狙ったばっかりに大惨事だ。
まあ、さすがに返り血で真っ赤とかじゃないけど、拭いただけだからなぁ。
「小烏丸くん、もう洗ったわよね?ハイ、そこどいて!」
「まだだ!せめて頭くらい洗わせてくれ!」
「もう、しょうがないわね~」
後ろからシャンプーをかけられ、わしゃわしゃと洗われる。
「それくらい自分で出来るっつーのに!」
「後ろが詰まってるのよ!シャキシャキ行かないと!」
同時にボディーソープもかけられ、みんなに丸洗いされた。
ポテッ
洗い終わったら後ろに捨てられたので、風呂の温度を調整して湯船に浸かる。
ウーム、こんなに忙しい風呂は生まれて初めてだ。
女湯に入っているような状態だが、洗い場は今も戦場になっているので嬉しくも何ともない。
そもそも返り血を洗い流してる女に興奮するほど、俺はサイコパスではない。
丸洗いされた人達がどんどん送られて来るので、一気に浴槽が狭くなった。
「ぐぬぬぬぬ・・・」
正直まったく寛げないし、疲れも溜まる一方なので、早々に風呂場を退散した。
・・・・・
「あー、酷い目に合った・・・」
風呂の後はメシだ。
食堂にやって来ると、何人かが食事中だった。
何日も家を空けていたので、当然食事の用意なんて出来ていない。
・・・しょうがないな。
後から来るみんなの為に冷凍肉を全て外に出し、高温の魔法を微調整して解凍。
自分の食べる量だけ切り分けて、フライパンで焼いてそそくさと食べた。
食べ終わった瞬間に強烈な眠気が来たので、部屋に戻って毛皮の上に倒れ込む。
もう無理、体力の限界。おやすみなさい・・・。
みんなと話したいことは山ほどあったけど、それはまた明日。zzzz
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