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52 冷蔵庫

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 ミスフィートさんとルーシーを連れて厨房にやって来た。


「あれ?隊長、夕食はまだ出来てませんよ?」
「確かに腹は少し減ってるが、今は食べに来たのではないのだ!」
「いったい何の用事なんです??」

 マジックバッグから冷蔵庫を取り出して床に置く。

「えーと、どこに置こうか・・・」
「ココ空いてるっスよ!」

「場所は悪くないけど、そこだとちょっと低くて使いにくそうだな。とりあえず置くけど、あとで台を作って高さを調節しよう」

 左に冷蔵庫を置き、右に冷凍庫を置いた。

「この箱はなあに?」
「扉を開けますので、中に手を入れてみて下さい」

 好奇心旺盛なミスフィートさんが中に手を入れた。

「おおおー!中はひんやり涼しいぞ!!」

 ルーシーと食事担当の他の人らも、冷蔵庫に手を入れて確認した。

「ホントだ。なんスかこれ?」
「これは冷蔵庫といって、中に入れた物を冷やす魔道具です」
「冷やすと、どうなるのだ?」
「例えばこの中に魔物の肉を入れます。すると肉が腐りにくくなり、非常に長持ちするのですよ!」
「ああ、なるほど!涼しい所に置いとくのと一緒ね!?」
「涼しい所だと、精々1日2日しか持ちませんよね?でもこの冷蔵庫に入れて置くと、たぶん1週間は平気ですね」
「凄いじゃないか!」「本当に!?」「それは凄いっス!」

「そして次はこっちの、右にある箱です!こっちは冷凍庫という魔道具なのですが、えーと、説明する前に扉を開けるので、みなさん手を入れてみて下さい」

 みんな一斉に冷凍庫に手を突っ込んだ。

「おおお!?こっちはもっと涼しいぞ!?」
「涼しいというか、冷たいです!」
「内側の壁を触るとすごく冷たいっスよ!」

「こっちの冷凍庫は冷やすんじゃなくて、中の物を凍らせるんです。肉を凍らせると、1週間どころか数ヶ月以上、もうずっと腐りません」

「本当に!?」
「じゃ、じゃあ、毎日狩りをしなくても大丈夫になるのか!?」
「めっちゃ凄いっス!!」

「その通り!1回の狩りで大量に魔物を狩って全部冷凍しておけば、しばらくの間、食うのに困らなくなります。ただ、この冷凍庫はそんなに大きくないので、いずれはもっと巨大な冷凍庫を作る必要がありますね」

 問題は魔石なんだよな。ダンジョン産の魔石が、かなり必要となってくる。
 俺は、なんでもっと魔石を温存しとかなかったのか・・・。
 いやまあ、ガチャに全ぶっぱしたのも無駄ではないんだけどさ。ダンジョンにいた頃は、俺が魔道具職人になるなんて思いもしなかったもんよ。

「とりあえず冷蔵庫と冷凍庫はココに置いておきますので、使ってみて下さい」
「早速使わせてもらうわ。今度は大きい冷凍庫を頼むわね!」
「ええ。大きな魔石が手に入れば、ですけどね」


 一度北海道に遠征するのもアリかも?とはいえ尾張を奪取せんことには到底無理な話だけど。

 あ、そうだ。ついでに調味料追加しとくか。


「今日は更に新しい調味料を追加しますんで、みなさんに使い方を説明します」
「新しい調味料?」
「塩と胡椒、みんな喜んでたっスよ!」

 マジックバッグから、醤油30本と味噌30個を出した。

「おわっ!何なんスか!この量は!?」
「その鞄、どんだけ物が入ってるの!?」
「小烏丸七不思議の一つだな。鞄から無限に物が出てくるのだ」

「ウオッホン!じゃあ実際に料理をしながら説明しますよ?」

 マジックバッグからホタテを取り出す。

「あっ!ホタテっスね!それちょー美味いっス!」
「竈を借りますね」

 ホタテを弱火で焼いている間に、魔物肉をステーキの大きさに切って、味噌を塗っていく。
 ダンジョンホタテは、アホみたいにデカいから時間がかかるのだ。
 厨房に魚もあったので、味噌を塗った肉と一緒に魚も焼き始めた。

 そして日本人の心、味噌汁も作る。

 ・・・と思ったけど、ダシ入り味噌じゃないので、ダシを取る手間を考慮して豚汁、いや、魔物汁に決定。
 適当な野菜と程良い大きさに切った肉を鍋に入れ、煮込み始める。

 そうこうしてる間に、ホタテが良い具合に焼けてきたので醤油を垂らした。


 ジュワーーーーッ


「・・・むっちゃいい匂いっス!」
「今入れた黒い液体が、醤油という調味料ね?」

「少し舐めてみる?」

 小皿を数枚出して、それぞれに少しだけ醤油を入れる。

「しょっぱ!」
「しょっぱいな。これが醤油か」
「面白い調味料ね!色んな味付けに使えそう!」

 ホタテが焼きあがったので、みんなで試食だ。

「おいひ~~~~!!」
「あーー!そうか!!この味付けは、この醤油だったのか!」
「前に食べた時も美味しかったけど、なるほど、コレを入れてたのね!」

 そして肉と魚が焼けたのでそれも試食だ。
 まずは焼き魚を、それぞれの皿に取り分けていく。

「この魚に直接醤油をかけて食べてみて下さい」

「美味い!!」
「醤油凄いっス!」
「直接かけてもこの美味しさなのね・・・」

 そして次は、魔物肉の味噌焼きだ。

「こっちは肉に味噌で味付けした物です。これも美味しいですよ!」

「美味い!!」
「味噌凄いっス!」
「私はこの味噌の方が好きかもです!醤油も美味しいですけれど」

 そして〆は、豚汁改め魔物汁だ!

「美味い!!これは間違いなく最強だ!」
「美味すぎるっス!!これは伝説の予感がするっス!」
「素晴らしいわ!お味噌って、お湯に溶かしても最高ね!」

「とまあ、こんな感じです。醤油を使った汁物とかも美味しいですよ。料理担当の人は色々試してみて下さい。見ての通り、調味料は大量にありますので」

 今晩から美味い食事に激変すること間違いナシだ!
 いや~ホント、なんで俺は今まで美味い食事を優先して来なかったのか・・・。
 まあ、色々忙しかったしな~。
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