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49 お風呂の続き

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 髪は二度洗いしてもらった。
 2回目の時は、シャンプーをワンプッシュで十分と教えた。

「えーと、シャンプーで洗った後は、こっちのリンスを使ってもう一回洗うんです。このリンスを使うと、髪がツルツルになって非常に快適ですよ」
「ほーーー!わかった。これも1回押すだけでいいのか?」
「ああ、そうです。こっちは泡が立たないですが、それで問題なしです」

 続けてリンスで洗ってもらう。

 あ~、本当に気持ちいいなあ。憧れの人に洗ってもらえる日が来るなんて・・・。


「よし、髪は終了だ!じゃあ次は背中だな」

 背中・・・、どうせなら、こっちもボディーソープの方で洗ってもらおう!

「体は石鹸でも十分なのですが、このボディーソープを使ってみて下さい」
「ぼでぃいそうぷ?」
「コレです。見た目はシャンプーと同じですが、体専用のヤツなんです」
「ほーお?これも同じやり方でいいのか?」
「えーとですね、ん、待てよ」

 俺は基本的に、タオルに直接ボディーソープを数回プッシュしてから体をゴシゴシしていたのだけれども、素手で直接塗ってもらった方が、どう考えても圧倒的に気持ち良いのでは!?
 ぶっちゃけ汚れはあまり落ちないだろう。だが俺は直接洗いを選ぶ!

「あ、はい。同じやり方でお願いします!」
「わかった!えーと、これを1回押してー、いや、体を洗うのは1回目だから、もう1回押そう」

 プシュッ プシュッ

「しかしこれも凄くいい香りだな。・・・よし、じゃあ洗うぞー」
「は、はい。お手柔らかにお願いします」

 ミスフィートさんの柔らかい手が、背中を這い回る。

 フオオオオオオオオオオ!なんというプレイなのだ!!
 気持ち良いなんてレベルをとうに超越しておるわ!
 あ~、もう俺はいつ死んでも悔いは無い!わが生涯に一片の悔い無し!


「隊長~、アタシ達も小烏丸の背中を流しに来たんだ。手伝ってもいい?」
「ああ、そういえばそうだったな!じゃあみんなで洗おう!」
「じゃあ私は右手を」
「わたしは左手?」
「えーと、これを2回押すんだよね?」
「あっ、そっちはしゃんぷうだ!体を洗うのはこっちの方」
「こっちか!わかった!」


 なんかみんなで洗うような話になってるけど、えーと、ココは天国ですか?


 ふにゅん

「ん?」

 ふにゅふにゅ

 ちょっと待て。何だ、この非常に柔らかい感触は!・・・まさか!?

「あはは~!カーラ大胆ね~」
「男はおっぱいが大好きなのさ!それにアタシも体が綺麗になるし、一石二鳥というヤツだ!」
「ちょ、ちょっと待て!なんかずるい、じゃあ私は前をやるぞ!」
「ハッ!隊長がやる気を出した!?」
「ごしごし」

 なんだ!?一体俺に何が起きているというのだ!?
 死ぬのか?爆発して色々もげるのか!?

 ミスフィートさんが正面に移動して、接近して来た。

「え?マ、マジっすか!」
「前は私が洗ってやるからな。ほら、動くな!」


 前から後ろから洗われて、もう俺の理性は長くは持たんぞ!?

「よしっ!じゃあ次は下だ」

 え?・・・下?

「イ、イカン!それはイカンですよ!?」
「いいからホラっ!全部私に任せておけ!」


「アッーーーーーーーーーーーー!!!」



 ・・・・・



 俺は賢者。

 勇者と一緒に魔王を倒す、あの賢者ではなく、ただの賢者だ。

 すぐそこで女性達が体の洗いっこをしてるが、今の俺にはどうということはない。
 むしろ髪を洗うのを手伝ったりしたほどの冷静な男。
 後でみんなとシャンプーやリンスを作ることを約束するほどの余裕がある。
 なんせ俺は賢者だからな。

 さて、そろそろ風呂から上がろうか。



 ・・・・・



 ラッキースケベとでも言おうか、孔明の罠とでも言おうか。
 これはやはりモテているのだろうか?

 ただ冷静に考えると、この軍って女性ばかりなのだ。
 男性もいることはいるが、戦力にもならない少年が数人いるだけ。
 軍の女性達とお付き合い出来る年齢の男ってのは、現在俺しかいないのだ。

 町を開放したので、これからは男性も入って来るとは思う。

 しかし長い間反乱軍に参加もせず、ただ奴隷のように働かされていた男達に、彼女達が惚れる要素ってあるのかな?
 普通に考えても、よっぽど頑張って活躍しない限り、どうしても下にしか見られないと思うんだ。

 そうなると、やはり俺って優良物件な気がするな~。
 新しい武器と防御力の高い服を全員分用意し、今回の勝利を導いた男。
 そしてまだ誰にも言ってないが、実は三河の大名と懇意だったりする。

 うん、やっぱ優良物件っぽいよな・・・。
 でもだ、俺としてはミスフィートさんが第一なんだよね。


 これは自惚れた発想だが、もし万が一、俺が軍の誰かと関係を持ったとする。
 たぶん表面上、ミスフィートさんは『おめでとう』と言うだろう。

 だが、その時彼女は陰で泣いているかもしれない。

 俺は恩のある彼女に、絶対そんな思いをさせるワケにはいかないのだ。

 なので俺にはミスフィートさんが第一で、それ以外の人と特別な関係になるってのは、まず有り得ないと断言する。

 ミスフィートさんが結婚でもしない限り、他の誰とも付き合うのはやめようと思う。たとえ一緒にお風呂に入ろうともだ!


 ここは非常に誘惑が多い環境ゆえ、俺にとって地獄の戦いになるかもしれん。
 だが俺は負けない!負けるワケにゃいかんのだ!

 ・・・ちょっとしか。
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