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41 自己紹介

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 ミスフィートさんの部屋に泊れと言われて驚愕する。

「いや、それはマズいでしょ!」
「埃まみれの部屋に案内しろとでも言うのか?」
「しかし、そうは言ってもですね・・・」
「ちょっと待っていてくれ。毛布を持ってくる」

 彼女が毛布を取りに、部屋から出て行ってしまった。

「俺、この部屋で寝るの?マジで?」

 でも毛布を取りに行ったのだから、一緒に寝るってことではないのだろう。
 勘違いするなよ?俺。・・・とにかく変に意識するのは止めよう。


 彼女の使っているベッドを見ると、普段の質素な生活が伺える。
 反乱軍として生活するのはやはり大変なのだろう。
 でも、せめて寝る時くらいは快適にさせてあげたい。

 高級布団でもプレゼントするか?

 ・・・いや、仲間がこんな生活してる状況で自分だけが贅沢をするなんてことは、絶対にしないような性格な気がする。
 でもシルバーウルフの毛皮くらいならば問題ない、よな?


「毛布を持ってきたぞ。これを使ってくれ」
「ありがとう」
「ベッドは狭いが、何とか二人で寝ることは出来ると思う」
「いや、それはイカンでしょ!」
「ならキミがベッドを使ってくれ。私は床でも問題ない」
「それもおかしい!俺が床に寝ます!」
「そうは言ってもだな・・・」

「ミスフィートさんに、もう一つだけ渡す物がありました」
「ん?」

 マジックバッグからシルバーウルフの毛皮を取り出し、彼女に手渡す。

「うわあ~!なんてフカフカな毛皮なんだ!」
「毛皮は俺の分もちゃんとあるので、床に寝ても全然問題ありません」

 毛皮をもう一枚出して床に広げた。

「で、でもいいのか?こんな高級そうな毛皮まで・・・」
「毛皮はまだ十分余ってますんで、気にせず使って下さい。きっと疲れも取れますよ!」
「そ、そうか!有難く使わせてもらう!」


 ミスフィートさんが、ベッドを整えてから毛皮を敷いて寝転がった。


「お~~~!なんて柔らかい毛皮なのだ!」
「シルバーウルフという魔物から作った毛皮ですよ。俺の自信作です!」
「本当にすごく気持ちいい・・・」


 気付いたら彼女は眠ってしまっていた。

 今日は色々あったからな・・・。それに普段から気を張って疲れているのだろう。
 彼女を起こさないように、そっと毛布をかけた。

 何だかんだで俺も疲れたし、眠るとすっか。
 床に敷いた毛皮の上にコロンと転がり、毛布をかぶった。


 これから忙しくなるぞ・・・。


 そしていつの間にか眠りに落ちていた。





 ************************************************************





 ガサッ

 ん・・・、あ、そうか。ここはアジトの中だったな。

 見慣れない景色に戸惑う。

 そうだよ。俺はやっと反乱軍に入ることが出来たんだ。


「すまん、起こしてしまったか」

 そういえば、ここはミスフィートさんの部屋だった。

「ミスフィートさん、おはようございます」
「おはよう」


 昨日は激動の一日だったなあ・・・。
 尾張を獲るまでは、ずっとこんな感じなんだろうな。

「昨日はいきなり変な方向に行ってしまって、皆の事をキミに紹介出来なかったから、今日はそこから始めようか」
「あー、そういや自己紹介すらしてなかったのか。あ、俺はしたか」
「いきなりアレだけの事をしたんだ。キミの印象は強く残ってるだろうな」

 まあ、見た目もこんなんだしな。

「井戸に案内しよう。そこで顔を洗ってくれ」
「ああ、助かります!」


 井戸に連れてってもらい、顔を洗い歯を磨いた。
 そしてそのまま食堂に移動。



「みんな!昨日は怒涛の展開で、彼に自己紹介すらしていなかっただろう?全員いっぺんに言っても逆に覚えられないと思うから、ゆっくり食事をしながらそれぞれ自己紹介していってくれ」

「「はーい!」」

「あれ?隊長がすごく可愛い服を着てる!!」
「あの服ってどうしたんだろ?」
「さあ?」


 確かにいっぺんに言われたら絶対に覚えられん。非常にありがたい提案だ。


「アタシの名はカーラってんだ。昨日は完全にしてやられたよ。強い男は大好きだ!よろしく!」

 昨日戦った勝ち気そうな子だな。カーラか、よし覚えた。

「俺は小烏丸だ。カーラの戦闘の動きも実に見事だった。共に戦える事を嬉しく思う。よろしくな!」

 彼女と握手をした。

「大事な剣を壊してしまって悪かったな」
「ああ、気にしなくていいよ!あの刀に比べたらゴミみたいな武器さ。今日から刀の特訓をするんだ!色々教えてくれよな!」
「使い方でわからないことがあったら、何でも聞いてくれ」

 食事を続けていると、次の子が挨拶しに来た。

「昨日は命を助けてもらって本当にありがとう!私はミリーです。よろしくね!」
「小烏丸だ。ギリギリ何とか助けることが出来て良かったよ。よろしく!」

 彼女と握手をした。


 そうして、結構な時間がかかったけど、食堂にいた全員と自己紹介することが出来た。
 さすがに全員の名前は覚えきれなかったが、特徴のある人は大丈夫だろうと思う。


「みんな良い奴らだろう?」
「ジャバルグ軍と日々戦ってるというのに、誰一人として悲観していない所だけでも素晴らしい軍だというのがわかります」
「私達は絶対に負けられないからな!俯いてる暇なんかないんだ」

 良い機会だと思い、ずっと疑問に思っていた質問をぶつけてみることにした。


「ところで、なぜこの軍には男性が少ないんですか?何人かの少年しかいないようだけど」


 その言葉を聞いて、彼女は初めて俺に悲しそうな顔を見せたのだった。
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