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第404話 王様と王妃様、死す

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 村を駆け回り、空にマシンガンをぶっ放していたおじいちゃんでしたが、まったく魔力が無くならないことに気付いて魔法を撃つのを止めた。

 近寄っても大丈夫そうになったので、アルペジーラがおじいちゃんに群がった。

 さっきまで死にかけていたのに、復活と同時に雄叫びをあげて大暴れしたのですから、そりゃ気になりますよね~。

 チュウチュウチュウチュウ質問責めされています。


「テキトーに通訳お願いします」


 返事が無いのでお姫様を見ると、すでにいなくなっていた。

 あーそっか!一番気にしていたのはお姫様だったもんな。
 あの輪の中で怒涛の質問責めをしているに違いない。

 しょうがないので、落ち着くまで待つことにした。


「おじいちゃん、何て言ってた?」
『んとねー!若い頃よりも今の方が絶好調だって!』
「身体の悪いとこが全部治ったってことですな。参考になりますね~」
『うん!でも死んだ時は痛かったって言ってた』
「一番痛くないようにしたんだけど、血が出てたもんなあ・・・」


 魔石を砕くのが確実だし一番痛くなさそうだから、カブトくんに魔石を狙うよう指示したんだけど、痛いものは痛いですよね。

 でも即死しないともっと苦しむだろうし、他に選択肢が無いのです。
 痛いけど、そこは我慢してもらうしかないでしょう。


 おじいちゃんから詳しく話を聞いた王様と王妃様が、ボクの前まで歩いて来た。


『チュウ!』
『チュウ!』

 お姫様を見た。

『さあ早く!スパッと!って言ってるよ!』
「怖いとかそういうのは無いんかい!!」

 アルペジーラってみんな恐怖心が薄いのだろうか?
 痛いとかよりも、元気になった結果だけを重視してる感じだよね。
 まあでも、怖がってる子に攻撃するよりは全然いいか。

 王様と王妃様以外のアルペジーラに避難してもらった。


「じゃあ、ちょっとチクっとしますからね~」


 あまり恐怖心を煽らないよう、注射器を持った看護師さんのように優しく声を掛けてから、カブトムシ2体を大空に飛ばした。


 ターーーーーーーーーーン!


 魔石を撃ち抜かれた王様と王妃様が倒れ、地面に2体分の血溜まりができた。


「・・・言うほどチクっとか?」
「ズバーーーン!って感じだったよね」

 外野は黙っておれ!

「ストック!」

 倒れていたアルペジーラと共に血溜まりも消えた。
 召喚獣リストの文字を『王様』『王妃様』に変更する。

「王様と王妃様召喚!」

 さっきのおじいちゃんのように、王様と王妃様が復活した。


『『チュウーーーーーーーーーーーーーーー!!』』


 一度見ているのに、やっぱりギャラリー達から大歓声があがった。
 まあ、もう何回かやればイチイチ驚かなくなると思うけど。


『やったーーーーー!お父様もお母様も仲間になったーーーーー!』

 王様達よりも先にお姫様が大喜びした。

『こ、これは・・・!?』
『すごいわ!本当に力が溢れ出て、走りたくなりますわね!』

『走ればいいじゃろ』

『父上!』
『お義父様!』


 なんか王族が集まって、感動のドキュメンタリー映画みたいになってますね。
 ギャラリー達も目を潤ませて見守っているような感じです。

 結局我慢できず、王様と王妃様も村を駆け回り、大満足して戻って来た。


『素晴らしいぞ!左脚の古傷が完治しておるではないか!』
『まるで若きあの頃に戻ったかのようですわ!』
『身体もじゃが、頭の中の靄が消えて全てを思い出したぞ!』
『ホントに!?おじいちゃんボケてたのに!!』

 へーーーーー!ボケが治って頭脳明晰になるってのは凄いかも!


『チュウ!』『チュウ!』

 ん?2体のアルペジーラが会話に入って来ましたぞ?


『ダメだ。15歳になるまでお前達は村を守るんだ』
『私達はあるじに仕えるから村を離れることになるわ。これからはあなた達が村を守るの!』

 あ~、お姫様が言ってたお兄ちゃん達かな?
 突然家族と離れ離れになるのは可哀相だけど、もうどうしようもないしなあ。

「ねえねえ。1年に1回は里帰りできることにしたから、今生の別れって考えなくていいよ?もっと気楽に!」

『『なんと!?』』

「あとね、村を守るためにハムちゃんを1体置いていこうと思ってるんだよね。遠くにいてもボクとなら会話ができるから、何かあった時すぐ助けに来られるし」

『『おおおおおーーーーー!』』

あるじ殿!それなら儂を村に置いていってくれぬか?』
「え?おじいちゃんを?」
『近くで孫や若者達の成長を見守りたいのじゃ!』

 エーーーーー。このおじいちゃん面白いから連れて行きたかったんだけどな。
 でも若者達を見守りたいって気持ちには応えてあげたい。

「わかりました!おじいちゃんを村の守護ハムちゃんに任命します!」
『ありがたき幸せですじゃ!』

『『オオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーー!!』』


 ウム。これでハムちゃん村も安泰ですな!
 あとは残りの15歳以上のハムちゃんをスカウトして帰るだけだ。


『ところであるじ殿!』
「ん?」
『隣の村に儂の古くからの友人がおるのじゃが、仲間にしてもらえんじゃろか?』

 ・・・はい?

「隣の村だってーーーーーーーーーー!?」

 ハムちゃん村ってココ以外にもあったんかい!

「おいクーヤ!今、隣の村って言わなかったか?」
「おじいちゃんにね、隣の村の友人も仲間にしてやってくれって言われたの!」
「うぇえええええ!?」
「ハムちゃん村って他にもあったの!?」
「言われてみると、これで全部ってのは少な過ぎですよね」
「衝撃の事実」

 もう少しで任務完了だと思ってたのに、まだ続きがあったとは・・・。

「ねえおじいちゃん、もしかして村ってそこ以外にもあったりする?」
『向こうにずっと行けば、大きな村がいくつもあるぞい』
「マジか・・・」
「何だって?」
「えーと、こっちって東?」
「かな?」
「ずっと東に行くと、大きなハムちゃん村がいくつもあるんだってさ!」

「「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」」


 少子化問題?ナニソレ美味しいの?
 冷静に考えたら、ネズミなんていくらでもいますよね!!


「えーと、うん。おじいちゃんの古い友人って絶対お年寄りだろうから、すぐにでも召喚獣にしないといつ昇天してもおかしくないですよね?」
『その通りですじゃ!急いでお願いしますですじゃ!』

 お姉ちゃん達の方を振り返った。

「聞いていましたね?明日は隣のハムちゃん村目指して出発です!」
「マジかよ!休みは二日間の予定だったから、ホニャ毛に伝える必要があるぞ」
「じゃあ明日の朝一番でロコの家に行って、ガイアさんの屋敷にも寄らなきゃダメってことかな?」
「本当に隣の村だけで終わるの!?」
「無限に増えていく予感がします」
「面倒臭いから隣の村だけにしない?」


 正直ボクも面倒臭いです!とりあえずおじいちゃんの友人だけは助けますけど、そのまた向こうにある大きな村なんかは落ち着いてからかな・・・。

 とりあえず残りのハムちゃんを処刑、いや、召喚獣にスカウトし、合計63体のハムちゃんをゲットして家に帰りました。

 専属ハムちゃんを飼い主に返さなきゃいけないし、明日はすごく忙しいですぞ!
 
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