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第60話 アレは絶対欲しい!

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「ふ~~~、全部ストック完了です!!」


 体調に変化は・・・なし!
 周辺に残っている魔物は・・・なし!

 そして、メルドアもカブトくん達もみんな健在!


 っしゃーーー!ミッションコンプリート!!


「魔物の死体が全部無くなったってことは、全部クーヤの召喚獣になったの?」
「そうだよ!」
「クーヤ凄すぎ!チョコ食べたい」

 タマねえにチョコを渡した。

「あまーーーい!チョコ好き」
「そういえば、ウチのみんなもそろそろチョコ食べたくなってる頃かもな~。もう十分な収穫量だし、そろそろ帰ろっか」
「うん」

『オン!』

 ん?
 メルドアが『何かいる!』って言ってる。

「うおっ!なんだありゃ!!」
「ん?」

 岩場の方を指差した。

「でっか!」
「大巨人じゃん!ゴーレムってやつじゃない?」


 ああ、この世界だと違う名前なのかな?
『メルドアジェンダ』も『ガジェム』も、聞いたことのない名前だし。

 岩場をのっそのっそと歩いてる大巨人なんだけど、色は灰色で身長は4メートルくらいだろうか?明らかに無機物的な風貌で、石とか鉄のようなカッチカチボディーだと推測される。


「ねえタマねえ。アレ欲しい!」
「倒せるの?強そうだよ」
「どうだろな~。ガジェム達ならやってくれそうな気はするけど・・・。でもどこが弱点なのかさっぱりわかんない」


 クエクエでは笛で眠らせれば倒せるんだけど、田中くんのリコーダーでも吹いてみるか?・・・いや、眠らせたところで攻撃する必要があるから全く意味ねえな。

 確か一般的なゴーレムの倒し方は、身体のどこかに『emeth真理』の文字が彫ってあるから、『e』の文字を消せば『meth』となって倒せるって感じだったのを覚えている。

 でもここは地球じゃないから、その倒し方はおそらく無理だろな~。
 やっぱ普通にカブトムシアタックで倒すしかあるまい。


「魔物は頭を潰せば確実に倒せるって先生が言ってたよ?」
「頭か~」

 アイツって脳味噌あんのか?
 ロボットなんかだと、頭を破壊しても倒せないよな・・・。

 まあいいや!とにかくやってみて、ダメだったら別の方法を考えよう!


「メルドア、もうちょっとアイツに近付いてみて!」

『オン!』


 少し近付いてみたけど、こっちに気付いてなさそう。
 この辺でいいかな?


「よし、止まって!」


 首も身体も腕も足も全部太いし、やっぱ頭を狙ってみよう。


「今回はカブトくん達全員で突撃してみて!いつものショットガンだ。狙いは大巨人の頭部!」


 ブブブブブブブブ


 隊列を組んだ5匹のカブトムシが、ゴーレムの頭部に向かって飛んで行く。


 ドゴッ!


「・・・どうだ!?いや、ダメか!貫通してない。カブトくん全員消えろ!カブトくん全員召喚!!」

 目の前にカブトムシ達が元気な姿で出現した。

「痛かったろ、ごめんな~!」

 一匹ずつ、角を撫でて労った。

「でもまだアイツは立っている。倒すまでもう少し頑張ってくれ!後で好きな物食べさせてやるからな~」


 大巨人を見ると、攻撃されたことに怒って腕を振り回しているが、攻撃元がココだとは気付いてなさそうだ。


「よしみんな!今突撃した場所にもう一度突撃だ!アイツを倒すまで何度も繰り返すぞ!!」


 ブブブブブブブブ


 5匹の勇者達が、再び大巨人の頭部に向かって雄々しく飛んで行った。


 ドゴッ!


 頑張れ!カブトくん達!



 ◇



 そして突撃を繰り返すこと十数回、とうとうその時が訪れた。


 ターーーーーーーーーン!


「いったーーーーーーーーーー!貫通したッッッ!!」
「やったーーーーーーーーーーーーー!!」


 頭部を貫かれた大巨人が後ろに倒れる。


 ズズーーーーーーーン!


「とうとう大巨人が沈んだぞ。よし、メルドア!あそこに向かってくれ!」

『オン!』


 大巨人の倒れている場所まで近付いた。
 ピクリとも動かないけど、本当に倒したんかなあ?


「メルドア、大巨人が生きてるか死んでるか確認してもらえる?」

『オン!』

 メルドアが大巨人に近付き、大胆にも頭をペシペシ叩いている。

『オン!!』

 死んでいるそうだ。

「よっしゃーーーーーーーー!死んでるってさ!!」
「すごいすごい!」


 メルドアがいる場所まで移動。


「ストック!」

 地面に倒れて死んでいた大巨人が、光を放ちながら消えた。


「キターーーー!久々の大物ゲットだぜ!!」
「ゲットって何?」
「ああ、手に入れたって意味!」

 どうしても不意に地球の単語を口走ってしまうな~。

「おっと!嬉しさのあまり、勇者達のことを忘れてた!カブトくん達消えろ!カブトくん全員召喚!」

 再召喚された英雄達の角を撫でて、精一杯労った。

「いや~、さすがに疲れたね。頑張ったのは召喚獣らの方なんだけどさ」
「クーヤだって頑張ってる。タマはチョコ食べてただけ」
「ボクの召喚獣集めに付き合ってくれただけなんだし、タマねえは無理しなくていいんだ。それにいざって時は守ってくれるから、すごく頼りにしてるよ!」

 一見わかりにくいけど、タマねえが嬉しそうな顔をしたのがわかった。

「じゃあそろそろ帰ろっか!遠くまで来ちゃったから、夕食に間に合わなくなる」
「うん、お腹減った。チョコ食べたい」
「いいけど、消したらまたお腹空くよ?」
「そしたらまたチョコ食べる」
「エンドレスじゃよ!!」


 何はともあれ遠征は大成功です!

 今日はもう疲れたから帰るだけだけど、明日は手に入れた召喚獣の性能チェックをしなきゃだね!
 
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