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社畜A
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あ、残業の気配。
なんて勘付いても内気な自分は嘘をつき連絡前に退勤することも出来ず。
底の言い断り文句も喉を出ずに結局夜遅くまで会社内へ軟禁された。
喋りたくもないが、会話のない空間はタイピング音が止む時間に恐怖感を与える。
自分は頑張っていると主張に成らない程度に提示するこの感覚。
ガラリ、開いた引き出しからは当たり前のように栄養ドリンクが顔を出した。
ペキ、と蓋をひねり口を付ける。
栄養ドリンク味なるものがあるくらいにはこの味は一定層に刺さるのだろうか。
少なくとも自分には好めない鼻奥に違和感を与える味で。
美味しいから飲む物ではないと分かっていながらも眉をひそめざるを得ないのだ。
一気に煽り、また頑張っていると自己提示を始めた。
自慢じゃないが、自分の働く職場は景色が良い。
ニコチンを肺に淹れつつ、大窓へ向けてスマートフォンを構えた。
最新型スマートフォンのカメラ機能を重宝する程度には写真が好きで、毎日飽きもせずに喫煙所からの景色をフォルダへと重ね続けていた。
パシャリ、と静かな廊下に小さく響く音は、ニコチンと並ぶ良い精神安定材料である。
撮れた写真を確認して、少しばかり明るさや露出度などを弄る。
都市化の進む現代社会、闇に包まれた夜空は下から高層ビルや商店街の明かりに照らされていた。そうして霞む恒星の数々は、それでも輝くのを止めないのだろう。
短くなったそれを灰皿で潰し、息を一つ吐いて立ち上がる。
スマートフォンは低く心地いい音を立てて画面を暗くした。
苦しさに潰されそうななか、一時の娯楽を胸に満たす。そんな儚い冬の夜。
なんて勘付いても内気な自分は嘘をつき連絡前に退勤することも出来ず。
底の言い断り文句も喉を出ずに結局夜遅くまで会社内へ軟禁された。
喋りたくもないが、会話のない空間はタイピング音が止む時間に恐怖感を与える。
自分は頑張っていると主張に成らない程度に提示するこの感覚。
ガラリ、開いた引き出しからは当たり前のように栄養ドリンクが顔を出した。
ペキ、と蓋をひねり口を付ける。
栄養ドリンク味なるものがあるくらいにはこの味は一定層に刺さるのだろうか。
少なくとも自分には好めない鼻奥に違和感を与える味で。
美味しいから飲む物ではないと分かっていながらも眉をひそめざるを得ないのだ。
一気に煽り、また頑張っていると自己提示を始めた。
自慢じゃないが、自分の働く職場は景色が良い。
ニコチンを肺に淹れつつ、大窓へ向けてスマートフォンを構えた。
最新型スマートフォンのカメラ機能を重宝する程度には写真が好きで、毎日飽きもせずに喫煙所からの景色をフォルダへと重ね続けていた。
パシャリ、と静かな廊下に小さく響く音は、ニコチンと並ぶ良い精神安定材料である。
撮れた写真を確認して、少しばかり明るさや露出度などを弄る。
都市化の進む現代社会、闇に包まれた夜空は下から高層ビルや商店街の明かりに照らされていた。そうして霞む恒星の数々は、それでも輝くのを止めないのだろう。
短くなったそれを灰皿で潰し、息を一つ吐いて立ち上がる。
スマートフォンは低く心地いい音を立てて画面を暗くした。
苦しさに潰されそうななか、一時の娯楽を胸に満たす。そんな儚い冬の夜。
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