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第17話 戦教者
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「それじゃ、これからやってもらうことを話す。」
「黒夜で現れた怪異に勝つための修行についてだ。色々あったせいでずいぶん昔のことのように感じるが話をしたのは今日のことだったな。」
「そもそもだが、二人の思いは変わらずで問題無いな?」
「はい。」簡素に頷くアーゲラとエノコ。当たり前ですという感じだ。
「よろしい。では少し場所を変えよう。説明後は実技訓練になる。アーゲラとエノコは外へ。」
ガウラは男の子たちの前では正確な二人の気持ちを図ることができないと考えて、場所を変えることにした。これからする話には命を失う可能性があるとことも含まれるため、どうしても語気が強くなる。子供たちには酷だというのがガウラなりの優しさでもある。
少し離れ子供たちに声が聞こえないであろう場所で、改めて話をする。
「私は強くなるには実戦で鍛えるのが一番だと思っている。ずばり黒夜での戦闘だ。しかし、いきなり黒夜に行くのは自殺行為に等しく、推奨できない。そもそも許可もされていない。」
「そこで、黒夜へ行くために、君たちにはまず"戦教者"になってもらおうと思う。」
「宣教者って教えを広める人たちですか?」
「本来であればそうだが、私が言うのは”戦い教える者”と記す戦いに特化したモノたちだ。」
「なりたいで成れるモノではないですよね?」
「もちろん。なるためには試験があり、その試験は半年後に開かれる。今日からは修行も行ってもらう。」
「修行の前に試験の大まかな内容だ。試験は教団が用意した危険区域から、指定されたモノ、情報や物体を確保して、生きて帰ってくる。というモノだ。」
ガウラは敢えて”生きて帰ってくる”という死を示唆する言葉を強く言うが、二人の表情に変化は見られなかった。
「試験内容からわかるかもしれないがこれは戦闘能力を問う試験ではない。なぜなら君らが数か月の努力の結果が黒夜で通用すると考えていないからだ。死なないように自分の身は自分で守ってもらわないと困るということだ。いいな?」
「はい!」と変わらぬ態度で返事をする二人
「では修行として魔法を3つ会得してもらう。1つ目は検知魔法、2つ目に防御系魔法、そして最後に行動阻害系魔法だ。」
「用途としては検知魔法で敵の位置や目標物を捕捉し、防御系魔法で退路や行動経路を確保する。そして万が一会敵した場合に備えて行動阻害系の魔法を使うという感覚だ。」
「優先度や使用頻度は検知魔法が高く、後に行くにつれて低くはなる。」
「以上が今後やっていくことについてだ。なにか質問はあるか?」
アーゲラが口を開いた。
「時間切れや、合格者数などによる足切はありますか?」
「足切りはない。ギブアップの場合のみだ。その場合は次回の試験資格の剥奪が言い渡される。」
「参加者から情報や物を奪うことは可能ですか?」
「不可だ。この試験は戦闘能力を問うモノではないからな。故意な衝突は失格の対象だ。その場合永久的に試験資格が剥奪される。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「エノコは何かあるか?」
エノコは少し考えた後、ガウラに質問をした。
「あ、実践的な訓練って本番までなしですか?」
「というと?」
「ガウラ先生と、カルノーサには負担をかけることにはなるのですが、黒夜で魔法を使う練習をするとかです。怪異を目の前にした時の恐怖感は想像だけだと補えそうにないので。」
「なるほど、だが先ほども言ったが黒夜への侵入は許可されていない。」
「あ、そうだった。」
「だが、怪異を連れてくることができないわけではないし、入口の前でも緊張感は十分あるだろう。詠唱の正確性や持続時間を考慮したのちに訓練を考えるとしよう。」
「ありがとうございます。」エノコは頭を下げてガウラに感謝する。
「そもそもガウラ先生の許可が下りなかったら試験に参加する意味なさそうね。」「そのようです。」
ガウラは、二人の中で"試験は甘くない"という共通認識を持っていることに安心し、エノコから出た成功させるための質問とアーゲラから出た失敗を抑えるための質問は、どちらも有意義なものであり、また別の視点からの意見が出ることもお互いの不足を補える良いコンビになると感じていた。
「ほかには何かあるか?」
「大丈夫です。」
「よろしい。それでは詠唱移ろう。」
「黒夜で現れた怪異に勝つための修行についてだ。色々あったせいでずいぶん昔のことのように感じるが話をしたのは今日のことだったな。」
「そもそもだが、二人の思いは変わらずで問題無いな?」
「はい。」簡素に頷くアーゲラとエノコ。当たり前ですという感じだ。
「よろしい。では少し場所を変えよう。説明後は実技訓練になる。アーゲラとエノコは外へ。」
ガウラは男の子たちの前では正確な二人の気持ちを図ることができないと考えて、場所を変えることにした。これからする話には命を失う可能性があるとことも含まれるため、どうしても語気が強くなる。子供たちには酷だというのがガウラなりの優しさでもある。
少し離れ子供たちに声が聞こえないであろう場所で、改めて話をする。
「私は強くなるには実戦で鍛えるのが一番だと思っている。ずばり黒夜での戦闘だ。しかし、いきなり黒夜に行くのは自殺行為に等しく、推奨できない。そもそも許可もされていない。」
「そこで、黒夜へ行くために、君たちにはまず"戦教者"になってもらおうと思う。」
「宣教者って教えを広める人たちですか?」
「本来であればそうだが、私が言うのは”戦い教える者”と記す戦いに特化したモノたちだ。」
「なりたいで成れるモノではないですよね?」
「もちろん。なるためには試験があり、その試験は半年後に開かれる。今日からは修行も行ってもらう。」
「修行の前に試験の大まかな内容だ。試験は教団が用意した危険区域から、指定されたモノ、情報や物体を確保して、生きて帰ってくる。というモノだ。」
ガウラは敢えて”生きて帰ってくる”という死を示唆する言葉を強く言うが、二人の表情に変化は見られなかった。
「試験内容からわかるかもしれないがこれは戦闘能力を問う試験ではない。なぜなら君らが数か月の努力の結果が黒夜で通用すると考えていないからだ。死なないように自分の身は自分で守ってもらわないと困るということだ。いいな?」
「はい!」と変わらぬ態度で返事をする二人
「では修行として魔法を3つ会得してもらう。1つ目は検知魔法、2つ目に防御系魔法、そして最後に行動阻害系魔法だ。」
「用途としては検知魔法で敵の位置や目標物を捕捉し、防御系魔法で退路や行動経路を確保する。そして万が一会敵した場合に備えて行動阻害系の魔法を使うという感覚だ。」
「優先度や使用頻度は検知魔法が高く、後に行くにつれて低くはなる。」
「以上が今後やっていくことについてだ。なにか質問はあるか?」
アーゲラが口を開いた。
「時間切れや、合格者数などによる足切はありますか?」
「足切りはない。ギブアップの場合のみだ。その場合は次回の試験資格の剥奪が言い渡される。」
「参加者から情報や物を奪うことは可能ですか?」
「不可だ。この試験は戦闘能力を問うモノではないからな。故意な衝突は失格の対象だ。その場合永久的に試験資格が剥奪される。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「エノコは何かあるか?」
エノコは少し考えた後、ガウラに質問をした。
「あ、実践的な訓練って本番までなしですか?」
「というと?」
「ガウラ先生と、カルノーサには負担をかけることにはなるのですが、黒夜で魔法を使う練習をするとかです。怪異を目の前にした時の恐怖感は想像だけだと補えそうにないので。」
「なるほど、だが先ほども言ったが黒夜への侵入は許可されていない。」
「あ、そうだった。」
「だが、怪異を連れてくることができないわけではないし、入口の前でも緊張感は十分あるだろう。詠唱の正確性や持続時間を考慮したのちに訓練を考えるとしよう。」
「ありがとうございます。」エノコは頭を下げてガウラに感謝する。
「そもそもガウラ先生の許可が下りなかったら試験に参加する意味なさそうね。」「そのようです。」
ガウラは、二人の中で"試験は甘くない"という共通認識を持っていることに安心し、エノコから出た成功させるための質問とアーゲラから出た失敗を抑えるための質問は、どちらも有意義なものであり、また別の視点からの意見が出ることもお互いの不足を補える良いコンビになると感じていた。
「ほかには何かあるか?」
「大丈夫です。」
「よろしい。それでは詠唱移ろう。」
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