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第15話 怪異の目的
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「美味かった!礼を言う。」
「それはよかったです。」
声の主は、司祭とニッコリと笑い合った後、真剣な眼差しで言った。
「で、話すのはこの場で良いのか?」
ガウラは待ってましたという感じで答える。
「ああ、問題ない。司祭も聞いていってください。」
司祭は心配そうにガウラに尋ねた。
「子供たちもいてよろしいのですか?」
「問題ありません。なんとなくはアーゲラ君からも聞いていると思いますが、この怪異がアーゲラ君に憑いた目的を聞くんです。」
子供たちが声の主と普通に接していたのはアーゲラの存在が大きいと予測していたガウラ。現にアーゲラは子供たちに安心していいと伝えていた。それでも、伝えただけで安心して食事を楽しめたのだから、アーゲラも司祭同様にこの町の人々に好かれていることが分かる。
ガウラは視線を声の主に向けた。
「ワシは問題ない。というよりあまり明確な答えを伝えられるわけではないからな。」
その言葉にガウラは"ん?"という感じで眉間にシワを寄せた。
「目的な。ワシにもわからんのじゃよ。」
険しい面持ちが解けて笑いながら言う声の主。
ガウラは感情を露にして問う。声の主とは対照的なガウラの声色は緊張感を醸し出した。
「それが通用すると思っているのか?」
「しょうがないじゃろ?それが事実なんじゃ。それにこの子と居るのは面白そうじゃし、飯もうまい。それだけで十分じゃろ。使いたい魔法があるならいくらでも使って良いぞ。」
開き直った様子で両手を広げる声の主。
湧き上がる怒りを何とか押し留めるガウラ。それは目的が分からないからではなく、力づくで真実を確かめることができない自分の弱さに対してだった。
「この後本部に行くことになるだろう。その際には然るべき魔法を受けてもらおう。」
「この子にも拒否権はなさそうじゃな。」
「そうだな。協力してもらうことになる。」
凍りつく空気。それを察知したのかガウラは一度気持ちを落ち着かせるべきだと考えた。
「司祭。サンドイッチ美味しかったです。ごちそうさまでした。少し風に当たって来ます。」
「あ、ええ。」
たじろぐ司祭に一礼し、ガウラは外へ出た。
子供たちのためか初めに口を開いたのはエノコだった。
「確かに。怪異だもんね。」
「そうっすね。でも、、むずいっすよ。」
二人としても声の主に心を開きすぎていたように感じたのか、反省しているように見える。それでも今までの怪異に対する考えを改めるのに声の主は十分な存在でもあった。
「優しい男じゃな。」
「たまに意地悪っすねどねw」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アーゲラ「謝りたいことがあるので代わって頂いても良いですか?」
声の主「ああ、ってこれはおぬしの体じゃ。」
アーゲラ「確かに。そうでしたね。」
声の主「お前は呑気じゃの。」
アーゲラ「私は助けてもらった側ですから。それにどうしようもありませんし。」
声の主「そうか。」
声の主は、少し不思議な感覚になりながら、瞼を閉じて右手を胸にあてた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ、アーゲラ。おかえり」
「ただいま?なのかな。」
「いたけど、いなかったじゃない」
「それもそうだね」
「強くなる機会について聞こうとおもったんだけれど、カルノーサさんは何か知ってますか。」
「ああ、学校のことっすね。まあ自分、在校生なんで。てか、なんで"さん"呼びなんすか」
「嫌ですか?」
「なんか距離感じるんで嫌っすね」
「わかりました。」
「ぅーー。言葉の距離感もあるなあ。」
「が、頑張ります。。」
そうこうしているとガウラが戻ってきた。
「お、アーゲラ君もいるね。丁度いい。さっきはすまなかった。感情的になってしまったよ。」
「それはよかったです。」
声の主は、司祭とニッコリと笑い合った後、真剣な眼差しで言った。
「で、話すのはこの場で良いのか?」
ガウラは待ってましたという感じで答える。
「ああ、問題ない。司祭も聞いていってください。」
司祭は心配そうにガウラに尋ねた。
「子供たちもいてよろしいのですか?」
「問題ありません。なんとなくはアーゲラ君からも聞いていると思いますが、この怪異がアーゲラ君に憑いた目的を聞くんです。」
子供たちが声の主と普通に接していたのはアーゲラの存在が大きいと予測していたガウラ。現にアーゲラは子供たちに安心していいと伝えていた。それでも、伝えただけで安心して食事を楽しめたのだから、アーゲラも司祭同様にこの町の人々に好かれていることが分かる。
ガウラは視線を声の主に向けた。
「ワシは問題ない。というよりあまり明確な答えを伝えられるわけではないからな。」
その言葉にガウラは"ん?"という感じで眉間にシワを寄せた。
「目的な。ワシにもわからんのじゃよ。」
険しい面持ちが解けて笑いながら言う声の主。
ガウラは感情を露にして問う。声の主とは対照的なガウラの声色は緊張感を醸し出した。
「それが通用すると思っているのか?」
「しょうがないじゃろ?それが事実なんじゃ。それにこの子と居るのは面白そうじゃし、飯もうまい。それだけで十分じゃろ。使いたい魔法があるならいくらでも使って良いぞ。」
開き直った様子で両手を広げる声の主。
湧き上がる怒りを何とか押し留めるガウラ。それは目的が分からないからではなく、力づくで真実を確かめることができない自分の弱さに対してだった。
「この後本部に行くことになるだろう。その際には然るべき魔法を受けてもらおう。」
「この子にも拒否権はなさそうじゃな。」
「そうだな。協力してもらうことになる。」
凍りつく空気。それを察知したのかガウラは一度気持ちを落ち着かせるべきだと考えた。
「司祭。サンドイッチ美味しかったです。ごちそうさまでした。少し風に当たって来ます。」
「あ、ええ。」
たじろぐ司祭に一礼し、ガウラは外へ出た。
子供たちのためか初めに口を開いたのはエノコだった。
「確かに。怪異だもんね。」
「そうっすね。でも、、むずいっすよ。」
二人としても声の主に心を開きすぎていたように感じたのか、反省しているように見える。それでも今までの怪異に対する考えを改めるのに声の主は十分な存在でもあった。
「優しい男じゃな。」
「たまに意地悪っすねどねw」
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アーゲラ「謝りたいことがあるので代わって頂いても良いですか?」
声の主「ああ、ってこれはおぬしの体じゃ。」
アーゲラ「確かに。そうでしたね。」
声の主「お前は呑気じゃの。」
アーゲラ「私は助けてもらった側ですから。それにどうしようもありませんし。」
声の主「そうか。」
声の主は、少し不思議な感覚になりながら、瞼を閉じて右手を胸にあてた。
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「あ、アーゲラ。おかえり」
「ただいま?なのかな。」
「いたけど、いなかったじゃない」
「それもそうだね」
「強くなる機会について聞こうとおもったんだけれど、カルノーサさんは何か知ってますか。」
「ああ、学校のことっすね。まあ自分、在校生なんで。てか、なんで"さん"呼びなんすか」
「嫌ですか?」
「なんか距離感じるんで嫌っすね」
「わかりました。」
「ぅーー。言葉の距離感もあるなあ。」
「が、頑張ります。。」
そうこうしているとガウラが戻ってきた。
「お、アーゲラ君もいるね。丁度いい。さっきはすまなかった。感情的になってしまったよ。」
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