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帰国
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戦いが終わったあと、3日かけて俺たちはキャマロッツ王国へと戻った。
ルイン魔王国は四天王が2人も倒されているので、暫くは表立っての戦闘は控えるんじゃないかと予想されるため、俺たちに帰国の許可が下りたのだ。
キャマロッツ王国に戻ったときはすごかった。
なんせ国全体がお祝いムードで王都に入った瞬間、ものすごい歓声が出迎えてくれたのだから。
まるで英雄の凱旋だった。
どうやら四天王を2人倒したのがすでに伝わっていたらしい。
王都に入った時、俺を含めたクラスメイトは全員馬車に乗っていたので直接歓声を贈られることはなかったが、実際直接言われてたらめちゃくちゃ恥ずかしかったかに違いない。
ちなみに俺が乗っている馬車には他に葵とルミナしか乗っていない。
これだけで気を遣われたのがわかる。
気の利く親友とクラスメイトに俺は心の中で合掌して感謝した。
「葵、そういえば今更だけど」
「ん?なに?」
「俺たちの歳で結婚ってできるのか?」
「そのことなら大丈夫だよ。この世界では15歳で成人らしいから」
「そうか、ならよかった」
「あと、一夫多妻制だって。でも……」
「ん?」
「蒼矢君は私だけを見てくれるよね?」
「そんなの当たり前だ。心配しなくてもいいよ」
俺はハッキリと葵にそう言った。
その後、王城に着いたあと馬車から降りてキャマロッツ王のもとへ謁見に行くために俺たちが召喚された玉座の間へと行く。
玉座の間に行くと、既にキャマロッツ王が玉座に座っていて俺たちのことを待っていた。
その隣にはマリーヌ王女もいる。
「正輝たちよ、よくぞ無事に戻ってきた。此度は大義であった」
「ありがとうございます」
正輝はそう言って片膝を床についてしゃがみ頭を下げる。
俺を含めた他のクラスメイトも正輝と同じようにしゃがむ。
本来は、正輝はもっと謙った言葉遣いをしなければならないのだが、キャマロッツ王が俺たち異世界人全員に今の言葉遣いを許しているので敬意が足りないという話にはならない。
「そして蒼矢よ、ガフラスティ王から話は聞いたぞ。我が国はお主を危険に晒してしまった。それにも関わらず我が国に戻ってきてくれたことに感謝する」
「この国は俺の帰る場所だから当然です」
俺は膝をついたままそう言う。
「今回の戦場では四天王2人と交戦したと聞いた。まだこちらの世界に来て日が浅いのに格上2人相手に勝ったお主らを余は誇りに思う」
「キャマロッツ王、お言葉ですが四天王2人は蒼矢が1人だけで倒しました。俺は2人の内1人と戦いましたが歯が立ちませんでした」
「……それは本当か?」
「はい、みんな蒼矢が四天王2人を倒す瞬間を見ています」
「そうか……、ならば異世界人の皆には褒賞を与えるが蒼矢には他にも可能な限り要望に応えよう。蒼矢よ、何か要望はあるか?」
「え?え~っと~~……」
キャマロッツ王が俺に聞いてきたので俺は少し悩んだ。
だがすぐに答えが出てきた。
「それなら結婚式を挙げたいです」
「ほお、これは驚いた。誰と結婚するのだ?」
「葵とです。もう葵とは約束しています」
「よかろう、2人のために盛大な結婚式を挙げる準備をしておこう」
「ありがとうございます」
「この場はこれにて終了とする。皆、戦闘や馬車での移動による疲れもあるだろう。次の戦いは当分先になるだろうからゆっくりと休んでくれ」
謁見が終わり玉座の間から出てルミナと一緒に自分の部屋に戻ろうとすると葵が話しかけてきた。
「蒼矢君」
「なに?」
「ありがとうね」
「?、なんで?」
「結婚式のこと」
「ああ、さっきのことか。気にしなくてもいいよ、俺のためでもあるし」
「蒼矢君のため?」
「うん、葵のウェディングドレス姿が見たかったから」
「そっか。じゃあ蒼矢君のためにもおめかししないとね」
「期待してるよ」
「おとーさん」
「ん?」
「おとーさんとおかーさんはなんの話をしてるの?」
ルミナがお母さんと呼んでいるのは当然葵のことだ。
葵と結婚することが決まったあの日からルミナは葵のことをそう呼んでる。
「お父さんとお母さんは結婚式の話をしているんだ」
「ケッコンシキ?」
「結婚式は男女が結婚することを祝うパーティーのことで、人が沢山来たり沢山料理が出されたりするんだ。今話してた結婚式にはお父さんとお母さんが出るんだ」
「ルミナは行っていいの?」
「勿論」
「やったの、楽しみなの」
俺がそう言うとルミナは嬉しそうに微笑んだ。
「おとーさん、あとでルミナの尻尾のブラッシングしてなの」
「いいぞ、俺の部屋に行ったらやるか」
「あ!、私もルミナちゃんの尻尾のブラッシングやりたい!」
「オッケー、じゃあ3人で部屋に行くか」
俺たちはルミナを真ん中にして3人で手を繋ぎ部屋へと向かった。
俺の部屋に行ったあとルミナの尻尾のブラッシングをしたのだが、モフモフになったルミナの尻尾の触り心地が気持ち良かったのか、葵が触りまくったせいでまたブラッシングをやる羽目になった。
まあ、ルミナが気持ちよさそうにしてたからいいが。
ルイン魔王国は四天王が2人も倒されているので、暫くは表立っての戦闘は控えるんじゃないかと予想されるため、俺たちに帰国の許可が下りたのだ。
キャマロッツ王国に戻ったときはすごかった。
なんせ国全体がお祝いムードで王都に入った瞬間、ものすごい歓声が出迎えてくれたのだから。
まるで英雄の凱旋だった。
どうやら四天王を2人倒したのがすでに伝わっていたらしい。
王都に入った時、俺を含めたクラスメイトは全員馬車に乗っていたので直接歓声を贈られることはなかったが、実際直接言われてたらめちゃくちゃ恥ずかしかったかに違いない。
ちなみに俺が乗っている馬車には他に葵とルミナしか乗っていない。
これだけで気を遣われたのがわかる。
気の利く親友とクラスメイトに俺は心の中で合掌して感謝した。
「葵、そういえば今更だけど」
「ん?なに?」
「俺たちの歳で結婚ってできるのか?」
「そのことなら大丈夫だよ。この世界では15歳で成人らしいから」
「そうか、ならよかった」
「あと、一夫多妻制だって。でも……」
「ん?」
「蒼矢君は私だけを見てくれるよね?」
「そんなの当たり前だ。心配しなくてもいいよ」
俺はハッキリと葵にそう言った。
その後、王城に着いたあと馬車から降りてキャマロッツ王のもとへ謁見に行くために俺たちが召喚された玉座の間へと行く。
玉座の間に行くと、既にキャマロッツ王が玉座に座っていて俺たちのことを待っていた。
その隣にはマリーヌ王女もいる。
「正輝たちよ、よくぞ無事に戻ってきた。此度は大義であった」
「ありがとうございます」
正輝はそう言って片膝を床についてしゃがみ頭を下げる。
俺を含めた他のクラスメイトも正輝と同じようにしゃがむ。
本来は、正輝はもっと謙った言葉遣いをしなければならないのだが、キャマロッツ王が俺たち異世界人全員に今の言葉遣いを許しているので敬意が足りないという話にはならない。
「そして蒼矢よ、ガフラスティ王から話は聞いたぞ。我が国はお主を危険に晒してしまった。それにも関わらず我が国に戻ってきてくれたことに感謝する」
「この国は俺の帰る場所だから当然です」
俺は膝をついたままそう言う。
「今回の戦場では四天王2人と交戦したと聞いた。まだこちらの世界に来て日が浅いのに格上2人相手に勝ったお主らを余は誇りに思う」
「キャマロッツ王、お言葉ですが四天王2人は蒼矢が1人だけで倒しました。俺は2人の内1人と戦いましたが歯が立ちませんでした」
「……それは本当か?」
「はい、みんな蒼矢が四天王2人を倒す瞬間を見ています」
「そうか……、ならば異世界人の皆には褒賞を与えるが蒼矢には他にも可能な限り要望に応えよう。蒼矢よ、何か要望はあるか?」
「え?え~っと~~……」
キャマロッツ王が俺に聞いてきたので俺は少し悩んだ。
だがすぐに答えが出てきた。
「それなら結婚式を挙げたいです」
「ほお、これは驚いた。誰と結婚するのだ?」
「葵とです。もう葵とは約束しています」
「よかろう、2人のために盛大な結婚式を挙げる準備をしておこう」
「ありがとうございます」
「この場はこれにて終了とする。皆、戦闘や馬車での移動による疲れもあるだろう。次の戦いは当分先になるだろうからゆっくりと休んでくれ」
謁見が終わり玉座の間から出てルミナと一緒に自分の部屋に戻ろうとすると葵が話しかけてきた。
「蒼矢君」
「なに?」
「ありがとうね」
「?、なんで?」
「結婚式のこと」
「ああ、さっきのことか。気にしなくてもいいよ、俺のためでもあるし」
「蒼矢君のため?」
「うん、葵のウェディングドレス姿が見たかったから」
「そっか。じゃあ蒼矢君のためにもおめかししないとね」
「期待してるよ」
「おとーさん」
「ん?」
「おとーさんとおかーさんはなんの話をしてるの?」
ルミナがお母さんと呼んでいるのは当然葵のことだ。
葵と結婚することが決まったあの日からルミナは葵のことをそう呼んでる。
「お父さんとお母さんは結婚式の話をしているんだ」
「ケッコンシキ?」
「結婚式は男女が結婚することを祝うパーティーのことで、人が沢山来たり沢山料理が出されたりするんだ。今話してた結婚式にはお父さんとお母さんが出るんだ」
「ルミナは行っていいの?」
「勿論」
「やったの、楽しみなの」
俺がそう言うとルミナは嬉しそうに微笑んだ。
「おとーさん、あとでルミナの尻尾のブラッシングしてなの」
「いいぞ、俺の部屋に行ったらやるか」
「あ!、私もルミナちゃんの尻尾のブラッシングやりたい!」
「オッケー、じゃあ3人で部屋に行くか」
俺たちはルミナを真ん中にして3人で手を繋ぎ部屋へと向かった。
俺の部屋に行ったあとルミナの尻尾のブラッシングをしたのだが、モフモフになったルミナの尻尾の触り心地が気持ち良かったのか、葵が触りまくったせいでまたブラッシングをやる羽目になった。
まあ、ルミナが気持ちよさそうにしてたからいいが。
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