眠れない夜のお話

もこ

文字の大きさ
上 下
9 / 58

嫌な客

しおりを挟む

――柳瀬智という人。


今日は、初めて会う客だった。

家を後にして、一つ道を曲がったところに泊まっている黒い車に乗り込む。

「蒼さん。お疲れ様。
今日はこの後は入っていないので、真っ直ぐ家に送って良いですか?」

「お願いします」

車の運転手は神崎さんと言う人で、
彼は、僕の運転手やスケジュール管理等をしてくれていた。

震える体を抑えるように、体に力を込める。

胃には、まだ温かなおかゆがどろりと残っているようだった。


「大丈夫ですか?顔色が」

「……大丈夫」

「今日の客は格別酷い人だったんですか?」

「……いや」

酷い人、と言えば、表現は間違っているように思えた。

「でも、誰よりも、苦手」

もう何か月もこの仕事をして、
そして何人にも抱かれてきたけれど、何もされないのは、初めてだった。

「気持ち悪い」

思い出せば、全身に鳥肌がたっていく感覚がした。

「もしかして、熱があること勘付かれました?」

神崎さんにも分かる程顔色が悪いのかと思えば、悔しくて顔を背けた。
車の窓からは、まだまだ眠らない町が明々と見えている。

「会って、一瞬だった」

「そうですか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

昭和から平成の性的イジメ

ポコたん
BL
バブル期に出てきたチーマーを舞台にしたイジメをテーマにした創作小説です。 内容は実際にあったとされる内容を小説にする為に色付けしています。私自身がチーマーだったり被害者だったわけではないので目撃者などに聞いた事を取り上げています。 実際に被害に遭われた方や目撃者の方がいましたら感想をお願いします。 全2話 チーマーとは 茶髪にしたりピアスをしたりしてゲームセンターやコンビニにグループ(チーム)でたむろしている不良少年。 [補説] 昭和末期から平成初期にかけて目立ち、通行人に因縁をつけて金銭を脅し取ることなどもあった。 東京渋谷センター街が発祥の地という。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

処理中です...