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出会いの夜
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しかしながら、蒼は差し出した体温計を一向に受け取ろうとしない。
そして、小さく首を振った。
「……測ることない。きっと疲れてるだけ。
そんなことより、早くしよ?」
白くて小さな手が、俺の腕を握る。
この顔で、こんな声で、そんな風に言われて、
男が好きな奴らが、むらっとしない訳がない。
それでも、とられた手の体温が熱くて、
どうにもセックスをする気持ちにもなれない。
「……それか、本当にキャンセルして?
このままだとお金払わせちゃうし。
僕のこの状態なら、喜ぶ人はきっと他にも……」
言いかけて、彼が口を噤む。
仮にも客に言うべき言葉ではないと思ったのだろう。
見れば見る程、人付き合いの慣れた手練れという感覚はない。
だからこそ、そのギャップで人気が出ているのかもしれないが。
「はい」
無理に体温計を脇に挟み込む。
蒼は、”あ”と呟きながらもそれを抜くことはせず目を伏せた。
つまり、俺がここでキャンセルしたとしても、
こいつは家に帰って体を休めることはしないと言うことだ。
痛いのが好き、とサイトに書いてあったくらいだから、
根っからのサディストの客も多いだろうし、
確かにこういう体調不良の状態は良いように扱われるかもしれないけれど。
俺はあまり、好きじゃないんだよなぁ。
快楽で滅茶滅茶にするのは良いけれど、痛みを与えるのは趣味じゃない。
そして、小さく首を振った。
「……測ることない。きっと疲れてるだけ。
そんなことより、早くしよ?」
白くて小さな手が、俺の腕を握る。
この顔で、こんな声で、そんな風に言われて、
男が好きな奴らが、むらっとしない訳がない。
それでも、とられた手の体温が熱くて、
どうにもセックスをする気持ちにもなれない。
「……それか、本当にキャンセルして?
このままだとお金払わせちゃうし。
僕のこの状態なら、喜ぶ人はきっと他にも……」
言いかけて、彼が口を噤む。
仮にも客に言うべき言葉ではないと思ったのだろう。
見れば見る程、人付き合いの慣れた手練れという感覚はない。
だからこそ、そのギャップで人気が出ているのかもしれないが。
「はい」
無理に体温計を脇に挟み込む。
蒼は、”あ”と呟きながらもそれを抜くことはせず目を伏せた。
つまり、俺がここでキャンセルしたとしても、
こいつは家に帰って体を休めることはしないと言うことだ。
痛いのが好き、とサイトに書いてあったくらいだから、
根っからのサディストの客も多いだろうし、
確かにこういう体調不良の状態は良いように扱われるかもしれないけれど。
俺はあまり、好きじゃないんだよなぁ。
快楽で滅茶滅茶にするのは良いけれど、痛みを与えるのは趣味じゃない。
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