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第1章
1話,プロローグ
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彼女にお願いされ、楽しくもない乙女ゲームを攻略をしていると、またスマホの画面に彼が出てきた。
『何でお前、死なないの?もうお前が許される事は無い、だってお前を許す兄上が居ないんだから。だからさ、死ねよ。死んで兄上に詫びろ』
ハイライトの青い目をした麗しい少年が、ヒロインにそう言ってきた。
その目はもう、青と言うか、紺色に近い色になっている。
闇堕ち感満載のキャラだ。
学園の廊下で、物騒すぎだろ。
こいつは確か悪役令息ポジで、ヒロインが何も知らず雑談に混じってうっかり言ってしまった言葉でヒロインを憎むようになり、今の今までずっとねちねち言ってきていた。
なんてしつこい奴なんだ。どんだけブラコンなんだよ。
そう思いながら画面を見つめていると、彼がナイフを持つ映像がスマホに浮かんだ。
ぎょっと僕は目を見開く。
現代の学園に何でナイフ持ってきてるんだ。PTAは何をしているのか。
もしかしてだけど、見せちゃったりする?まさかとは思うけど血見せちゃったりするのか?けど僕グロ映像苦手。
『な、何をする気ですか?!』
『俺が、お前を殺す。ただそれだけだよ』
何が、ただそれだけだよ、だ。普通に犯罪じゃねーか。
そう思いながら眉を寄せて画面を見つめていると、ナイフが振り下ろされそうになる。
またこいつのせいでバッドエンドか、と思っていると、ナイフが誰かによって弾き飛ばされた。
『何をしてる?神水流臣麗』
『……暁優一様。何をしているかなんて、見れば分かるでしょう?邪魔をなさらないでください』
『殺人未遂を見逃す程、俺も狂っていないが』
登場した攻略対象に僕は首を傾げる。
僕こいつの好感度、上げた覚え無いんだけど。
すると、不機嫌そうに顔を歪めた神水流が暁に声を上げた。
『お退きください、暁様。その女は、兄上をっ───』
『彼の死に、彼女は関係していない。彼が殺されたのは神水流家の確執のせいだろう』
『っ……!!!』
『……お前は変わってしまったな、元神水流家次期当主が死んでから』
元神水流家次期当主、つまり神水流の兄の事か。
そう思っていると、暁の言葉に神水流は天井を仰ぎ見て、ぽつりと言った。
『変わった、ですか……』
そしてその綺麗な青い、ハイライトの目をぎろりと暁とヒロイン向けた。
『あぁ、そうでしょうね。だって、あの日から感じるのは後悔、後悔、後悔、後悔っっ!!!……俺はこれと一生共に過ごすのか?……もう、うんざりだ。兄上に、お会いしたい……』
そう言うと、神水流はふらりと吸い寄せられるように、先程弾き飛ばされたナイフの元へ歩き出す。
彼を警戒した暁がヒロインを自分の背に回した。やだ男前。
けれど彼の行動は杞憂に終わった。
ナイフを手に取った神水流は、それを両手で握って刃先を自分に向け、大きく振りかぶったのだ。
ヒュッとヒロインは息を飲み、暁は顔をしかめ彼女の目を自身の手で覆った。
同時に、画面が真っ赤に染まる。
ホラーゲームでも無いのにホラーな光景だ。あまりにもグロいスチルに僕は自分の手で口元を覆う。
ふと、気付いた。赤い血が画面以外にも飛び散っている事に。
「カ、はッ……?」
片手で持っていたスマホが床に落ちた。ドスッと音がする。
同時に、ボタボタと大量の血が床に落ちた。
「あ"……、ああ"ぃ"、あああ"ぅ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁあ"あ"あぁぁあ"あ"ああ"!!!!!!!!!!」
背中がとてつもなく痛い、痛みに喘ぐ事しか出来ない。
痛い、苦しい、吐きそう、気持ち悪い、死にそう、助けて、痛い、痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたい───!!!!
心の中で発狂し、チカチカと視界が点滅する。ヤバい、死んだ、コレ、絶対。
ボタボタボタッと涎や血が床に落ちる中、背後から強く抱き締められた。背中に刺さった刃物が更に深く刺さる。
「ぃあ"あ"あぁ"ああ!!!」
「痛い?可哀想に。でもね、貴方が幸せになる事だけは許さないから。よく、覚えておいて?」
女か男かも分からない声で耳元でそう囁かれ、僕は意識を手放した。
『何でお前、死なないの?もうお前が許される事は無い、だってお前を許す兄上が居ないんだから。だからさ、死ねよ。死んで兄上に詫びろ』
ハイライトの青い目をした麗しい少年が、ヒロインにそう言ってきた。
その目はもう、青と言うか、紺色に近い色になっている。
闇堕ち感満載のキャラだ。
学園の廊下で、物騒すぎだろ。
こいつは確か悪役令息ポジで、ヒロインが何も知らず雑談に混じってうっかり言ってしまった言葉でヒロインを憎むようになり、今の今までずっとねちねち言ってきていた。
なんてしつこい奴なんだ。どんだけブラコンなんだよ。
そう思いながら画面を見つめていると、彼がナイフを持つ映像がスマホに浮かんだ。
ぎょっと僕は目を見開く。
現代の学園に何でナイフ持ってきてるんだ。PTAは何をしているのか。
もしかしてだけど、見せちゃったりする?まさかとは思うけど血見せちゃったりするのか?けど僕グロ映像苦手。
『な、何をする気ですか?!』
『俺が、お前を殺す。ただそれだけだよ』
何が、ただそれだけだよ、だ。普通に犯罪じゃねーか。
そう思いながら眉を寄せて画面を見つめていると、ナイフが振り下ろされそうになる。
またこいつのせいでバッドエンドか、と思っていると、ナイフが誰かによって弾き飛ばされた。
『何をしてる?神水流臣麗』
『……暁優一様。何をしているかなんて、見れば分かるでしょう?邪魔をなさらないでください』
『殺人未遂を見逃す程、俺も狂っていないが』
登場した攻略対象に僕は首を傾げる。
僕こいつの好感度、上げた覚え無いんだけど。
すると、不機嫌そうに顔を歪めた神水流が暁に声を上げた。
『お退きください、暁様。その女は、兄上をっ───』
『彼の死に、彼女は関係していない。彼が殺されたのは神水流家の確執のせいだろう』
『っ……!!!』
『……お前は変わってしまったな、元神水流家次期当主が死んでから』
元神水流家次期当主、つまり神水流の兄の事か。
そう思っていると、暁の言葉に神水流は天井を仰ぎ見て、ぽつりと言った。
『変わった、ですか……』
そしてその綺麗な青い、ハイライトの目をぎろりと暁とヒロイン向けた。
『あぁ、そうでしょうね。だって、あの日から感じるのは後悔、後悔、後悔、後悔っっ!!!……俺はこれと一生共に過ごすのか?……もう、うんざりだ。兄上に、お会いしたい……』
そう言うと、神水流はふらりと吸い寄せられるように、先程弾き飛ばされたナイフの元へ歩き出す。
彼を警戒した暁がヒロインを自分の背に回した。やだ男前。
けれど彼の行動は杞憂に終わった。
ナイフを手に取った神水流は、それを両手で握って刃先を自分に向け、大きく振りかぶったのだ。
ヒュッとヒロインは息を飲み、暁は顔をしかめ彼女の目を自身の手で覆った。
同時に、画面が真っ赤に染まる。
ホラーゲームでも無いのにホラーな光景だ。あまりにもグロいスチルに僕は自分の手で口元を覆う。
ふと、気付いた。赤い血が画面以外にも飛び散っている事に。
「カ、はッ……?」
片手で持っていたスマホが床に落ちた。ドスッと音がする。
同時に、ボタボタと大量の血が床に落ちた。
「あ"……、ああ"ぃ"、あああ"ぅ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁあ"あ"あぁぁあ"あ"ああ"!!!!!!!!!!」
背中がとてつもなく痛い、痛みに喘ぐ事しか出来ない。
痛い、苦しい、吐きそう、気持ち悪い、死にそう、助けて、痛い、痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたい───!!!!
心の中で発狂し、チカチカと視界が点滅する。ヤバい、死んだ、コレ、絶対。
ボタボタボタッと涎や血が床に落ちる中、背後から強く抱き締められた。背中に刺さった刃物が更に深く刺さる。
「ぃあ"あ"あぁ"ああ!!!」
「痛い?可哀想に。でもね、貴方が幸せになる事だけは許さないから。よく、覚えておいて?」
女か男かも分からない声で耳元でそう囁かれ、僕は意識を手放した。
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