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第182話 敵か、味方か!?
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ウエンディが立っていた場所にはもう何も残っていなかった。
彼女は跡形もなく消えた。
バグによる死だった。
「やっぱり、テストしてなかったからバグが出たのか……」
僕は彼女がいた場所に手を合わせた。
アスミが僕の肩に手を置いた。
そして、こう説明する。
「中枢プログラムは、様々なプログラムから呼び出され利用される。プレイヤーが攻撃すれば呼び出されるし、移動すれば呼び出される」
「私達が何か行動をするたびに、中枢プログラムが呼び出される。という訳か」
「そう」
リンネの応えに、アスミは頷いた。
「ウエンディは普通に歩いたことで、コピーして作られた中枢プログラムのバグを踏んでしまった。という訳か」
僕はこれから行動することが心配になった。
だが、一歩も動かない訳には行かない。
「救世主ユウタよ。気休めかもしれないが、今のバグを運営に報告しておいた。早速、調査して原因が分かったらしい」
「原因は?」
「移動する時に壁を触ると、ウエンディみたいに存在が消失する」
その後、アスミはどうしてそうなったかをプログラムの観点から説明してくれた。
だが、時間が無いのでかなり割愛してもらった。
そして、バグを改修する時間は無いとのことで、このまま進むことになった。
とりあえず、歩くときは壁を触ってはいけない。
「それにしても、魔王が街を再現する意図は一体どういうつもりなんでしょう?」
ガイアが不思議そうに言う。
彼女の視線の先には、かつて彼女が所属していた『地球《アース》』のギルドホールがあった。
それはマリアンからの奇襲で焼け落ちたはずだが、こうして魔王が作り出したであろう幻影では、立派な和風の建物としてそびえ立っていた。
「ユウタ……ユウタ……」
僕を呼ぶ声が聞こえる。
その声は聞き覚えがあった。
耳にいつまでもそれは響き、どこか僕の気持ちを懐かしく、そして切なくさせた。
「エリス!」
そこには僕と共に奴隷時代を過ごした少女が立っていた。
それは4年振りの再会だった。
僕と彼女は同じ年で、その頃12歳だった。
その頃は、華奢でまだ少年の様な体つきだった彼女。
僕が少年から大人の男になろうとするのと同じように、彼女もまた少女から大人の女に代わろうとしていた。
だけど、まだあの頃、僕と一緒に励まし合って奴隷生活を送っていた時の面影が残っている。
肩まである黒い髪と、少し浅黒い肌。
意志の強い目は変わっていない。
「ユウタ、久しぶり」
彼女は僕を傷付けた初恋の人だった。
つづく
彼女は跡形もなく消えた。
バグによる死だった。
「やっぱり、テストしてなかったからバグが出たのか……」
僕は彼女がいた場所に手を合わせた。
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そして、こう説明する。
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「私達が何か行動をするたびに、中枢プログラムが呼び出される。という訳か」
「そう」
リンネの応えに、アスミは頷いた。
「ウエンディは普通に歩いたことで、コピーして作られた中枢プログラムのバグを踏んでしまった。という訳か」
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「救世主ユウタよ。気休めかもしれないが、今のバグを運営に報告しておいた。早速、調査して原因が分かったらしい」
「原因は?」
「移動する時に壁を触ると、ウエンディみたいに存在が消失する」
その後、アスミはどうしてそうなったかをプログラムの観点から説明してくれた。
だが、時間が無いのでかなり割愛してもらった。
そして、バグを改修する時間は無いとのことで、このまま進むことになった。
とりあえず、歩くときは壁を触ってはいけない。
「それにしても、魔王が街を再現する意図は一体どういうつもりなんでしょう?」
ガイアが不思議そうに言う。
彼女の視線の先には、かつて彼女が所属していた『地球《アース》』のギルドホールがあった。
それはマリアンからの奇襲で焼け落ちたはずだが、こうして魔王が作り出したであろう幻影では、立派な和風の建物としてそびえ立っていた。
「ユウタ……ユウタ……」
僕を呼ぶ声が聞こえる。
その声は聞き覚えがあった。
耳にいつまでもそれは響き、どこか僕の気持ちを懐かしく、そして切なくさせた。
「エリス!」
そこには僕と共に奴隷時代を過ごした少女が立っていた。
それは4年振りの再会だった。
僕と彼女は同じ年で、その頃12歳だった。
その頃は、華奢でまだ少年の様な体つきだった彼女。
僕が少年から大人の男になろうとするのと同じように、彼女もまた少女から大人の女に代わろうとしていた。
だけど、まだあの頃、僕と一緒に励まし合って奴隷生活を送っていた時の面影が残っている。
肩まである黒い髪と、少し浅黒い肌。
意志の強い目は変わっていない。
「ユウタ、久しぶり」
彼女は僕を傷付けた初恋の人だった。
つづく
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