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第154話 最後のリリース
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「ユウタ、お前は奇跡を自分のために使え。私のためでなく」
マリアンは僕の肩をポンと叩いた。
彼女は笑顔になっていた。
そして、こう言ってくれた。
「むしろ、私がお前を助けてやる」
おお。
かっこよすぎるぞマリアン。
「マリアンさんは、さっき僕が奇跡を使って助けたからもう、あなたの分はありません」
僕はさっきまで彼女にそう言い訳しようとしていた。
そんな自分を僕は恥ずかしいと思った。
誰を助けて、誰を助けないか。
僕は人の命を無意識に選んでいた。
僕は一体いつから、人の生き死にを決められるほど偉くなったのか。
この世界において、ほぼ無敵という存在……つまり救世主であることを自覚した時からだろうか。
「……私も」
ガイアが僕の手を取った。
「ユウタさんは私が守ります」
彼女はこくりと頷いた。
視線を感じて振り返ると、リンネが僕のことをじっと見ていた。
言葉を交わさなくても、彼女が何を言いたいか理解出来た。
「ありがとう」
僕は彼女に礼を言った。
「もー! ユウタを守るのはフィナの役目だから! 皆は大人しくしてて!」
フィナが僕の腕に自分の腕を絡ませ、主張する。
僕はこんなに沢山の仲間達に囲まれ、幸せだった。
僕は絶対に魔王を倒し、
この世界つまりゲームをクリアし、
皆と一緒に地球に転生する。
改めてそう誓った時、
目の前が真っ暗になった。
目を覚ますと、同じ場所にいた。
ラストダンジョンの中、変わらないその場所で僕は一瞬気を失ったらしい。
皆も、気を失っていたのか僕と同じように辺りを見渡している。
「ユウタよ」
ただ一人、アスミだけが落ち着いていて事態を把握している様だ。
「最後の世界更新が行われた」
「え?」
「かなり大きな改修だった様だ。一瞬サーバを再起動したからわれわれの意識も飛んだのだろう」
「はぁ……」
運営側が何かを行ったことで、僕達に異変が起きた様だ。
「これがこのゲームの最後のアップデートだ」
「そうだね」
一体、この世界はどう変わってしまったのだろうか?
僕は困惑していた。
「ユウタ、お前は世界更新の概要を見たことがあるか?」
「ないよ」
ついこの間まで世界更新なんて知らなかった僕は、そんなものの存在すら見たことが無い。
「ユウタ、自分のステータスを見る時、「!」マークが右上に出ている時があるだろ」
「うん。あるよ」
「あれを選択したことはあるか?」
「ないよ」
アスミは少々呆れたような顔をした。
「見て見ろ」
彼女に促され、僕はステータスを頭に思い浮かべ「!」を選択した。
あるメッセージが浮かび上がる。
『魔界プロジェクトver11.2.0.4.10
最後の世界更新が完了しました。
今回の世界更新で大幅に難易度が変更されています。
救世主と共に魔王を倒せる日も近い!
魔王を倒し、この世界を平和にしよう!』
つづく
マリアンは僕の肩をポンと叩いた。
彼女は笑顔になっていた。
そして、こう言ってくれた。
「むしろ、私がお前を助けてやる」
おお。
かっこよすぎるぞマリアン。
「マリアンさんは、さっき僕が奇跡を使って助けたからもう、あなたの分はありません」
僕はさっきまで彼女にそう言い訳しようとしていた。
そんな自分を僕は恥ずかしいと思った。
誰を助けて、誰を助けないか。
僕は人の命を無意識に選んでいた。
僕は一体いつから、人の生き死にを決められるほど偉くなったのか。
この世界において、ほぼ無敵という存在……つまり救世主であることを自覚した時からだろうか。
「……私も」
ガイアが僕の手を取った。
「ユウタさんは私が守ります」
彼女はこくりと頷いた。
視線を感じて振り返ると、リンネが僕のことをじっと見ていた。
言葉を交わさなくても、彼女が何を言いたいか理解出来た。
「ありがとう」
僕は彼女に礼を言った。
「もー! ユウタを守るのはフィナの役目だから! 皆は大人しくしてて!」
フィナが僕の腕に自分の腕を絡ませ、主張する。
僕はこんなに沢山の仲間達に囲まれ、幸せだった。
僕は絶対に魔王を倒し、
この世界つまりゲームをクリアし、
皆と一緒に地球に転生する。
改めてそう誓った時、
目の前が真っ暗になった。
目を覚ますと、同じ場所にいた。
ラストダンジョンの中、変わらないその場所で僕は一瞬気を失ったらしい。
皆も、気を失っていたのか僕と同じように辺りを見渡している。
「ユウタよ」
ただ一人、アスミだけが落ち着いていて事態を把握している様だ。
「最後の世界更新が行われた」
「え?」
「かなり大きな改修だった様だ。一瞬サーバを再起動したからわれわれの意識も飛んだのだろう」
「はぁ……」
運営側が何かを行ったことで、僕達に異変が起きた様だ。
「これがこのゲームの最後のアップデートだ」
「そうだね」
一体、この世界はどう変わってしまったのだろうか?
僕は困惑していた。
「ユウタ、お前は世界更新の概要を見たことがあるか?」
「ないよ」
ついこの間まで世界更新なんて知らなかった僕は、そんなものの存在すら見たことが無い。
「ユウタ、自分のステータスを見る時、「!」マークが右上に出ている時があるだろ」
「うん。あるよ」
「あれを選択したことはあるか?」
「ないよ」
アスミは少々呆れたような顔をした。
「見て見ろ」
彼女に促され、僕はステータスを頭に思い浮かべ「!」を選択した。
あるメッセージが浮かび上がる。
『魔界プロジェクトver11.2.0.4.10
最後の世界更新が完了しました。
今回の世界更新で大幅に難易度が変更されています。
救世主と共に魔王を倒せる日も近い!
魔王を倒し、この世界を平和にしよう!』
つづく
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