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第121話 友達はちゃんと選ぼう!

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 僕らが転移した場所は、何の変哲も無い空き地だった。
 見慣れた建物が見える。
 どうやら、今度は街に転移出来た。

「ここからなら、割と近いです」

 ガイアが言うには、ここから地球アースのギルドホールまで、そう遠くないらしい。

「おお、何だ? 何だ?」
「いきなり人が出て来たぞ」

 僕らを見た人々は目を丸くしていた。
 そりゃそうだ。
 突然、光と共に人が現れたら誰でも驚く。

「驚かせてゴメンね~」

 フィナが明るい笑顔で周りの人々に頭を下げる。

「お、エルフだ」
「珍しい」

 皆、フィナを興味深そうに見ている。
 人間と亜人間は仲が悪い。
 だが、ここにいる人間達はエルフのフィナの可愛さに惹かれている様だ。
 人々の好意的な視線に気を良くしたのか、フィナは愛想良く笑顔を振りまいていた。

「私達ね~、これから最強の戦士とお友達になりに行くんだよ」
「おいおい、フィナ、余計なこと言うな。行くぞ」

 僕はフィナの手をつかみ、先を急いだ。

「こっちです」

 先頭を行くガイアがそう言った。
 彼女の指差す先には、木造のギルドホールが見えた。
 これが地球アースのギルドホールか。
 立派な和風の建物だったと思われる。
 だが、DEATHの連中に襲撃されたせいで、見るも無残な状態になっていた。
 瓦屋根は崩れ、木の柱から火の粉が舞い、煙が天に向かって上がっていた。

「ひどいな……」

 思わず僕は呟いていた。



 足元には鉄の塊と化した扉が、転がっていた。
 それをまたぎ、ギルドホールの中へと進む。
 この先に、僕らの敵がいる。
 そして、その敵はフィナが言うところの友達になろうとしている人物だ。



「ユウタ!」

 入るなり、聞き慣れた声が耳に響いた。

「リンネ!」

 僕は反射的に呼びかけに応えた。
 リンネは二階へと続く階段付近にいた。
 彼女の付近には、襲撃に耐え生き残ったと思われるギルドメンバーが数名いた。
 そして、彼女の足元には老人の死体が転がっていた。

「大祖先様!」

 ガイアが走り出した。
 彼女は入口から階段までの間を駆けていった。

「あああ! 何と言うことでしょう!」

 彼女は泣き叫んだ。

「救世主、やっと来たか」

 さっきからその様子を、広間の片隅でじっと見ていた人影が、声を発した。

「マリアン!」

 ガイアは赤毛の女を睨みつけた。
 マリアンはガイアを見て、嘲笑した。
 僕は驚いた。
 はじめはマリアンが椅子に腰掛けているのかと思ったが、それは見覚えのある人だった。

「タイチ!」

 僕のかつてのギルドマスターが無残な姿でそこにいた。
 その横にはローブを血で染めたセイラもいた。
 ガイアからだいたいの話を聞いていたが、これほど酷いとは……
 マリアンが立ち上がった。

「ユウタ。辺境の狩り場では世話になったな。私がこうしてここに現れたのは他でもない。お前と取引をしたいからだ」
「取引?」
「そうだ」

 そう言うと、マリアンはタイチの頭に剣を突き立てた。

「こいつはまもなく死ぬ」

 紫色のオーラに包まれた刃先が、タイチの頭にめり込んだ。
 彼は麻痺していて動けない様だ。

「こいつの命が欲しければ、お前の命をよこせ。そうすればこいつの命は助けてやる」

つづく
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