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第115話 最後の偽物になつく美少女エルフ
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ユウタは首に下げたお守りを手に取り、それを見ながらこう言った。
「僕とフィナは運命共同体です。彼女が危険に晒されたら僕が身を挺して守り、僕が危険に晒されたらフィナが身を挺して守る。これまでも何度かそんな場面がありました。だから、偽フィナを見破ることが出来た」
「そうなんですか……」
お守りには『ユウタ頑張れ』と刺繍されている。
「僕はフィナの言葉を信じているんです。彼女はこう言ってくれました」
『ユウタが死ぬ時が、フィナの死ぬ時だよ』
その言葉が私の耳朶を打つ。
ユウタとフィナは強い絆で結ばれているんだ……。
そんな二人の聖域に、ユウタと出会って間もない私が入れる訳が無い。
ひとまず窮地は脱したが、私の胸は苦しくなった。
「さぁ、本物のフィナを探しましょう」
「はい」
偽物の私もどこかにいるはずだ。
◇
「ユウター!」
開け放たれたボス部屋から声が聞こえる。
紛れも無い、フィナの黄色い甲高い声。
目を凝らすと、部屋の奥にある祭壇に人影が。
その人影は元気よくピョンピョン飛び跳ねながら、こちらに手を振っている。
「フィナだ!」
僕は叫んでいた。
敵地だというのに、あの能天気振り。
間違いない。
本物だ。
僕は思わず飛び出していた。
「待って!」
手首を掴まれた僕は、グイッと後ろに引き戻された。
「ユウタさん! 嬉しいのは分かります。だけど……不用意な行動は慎んでください!」
ガイアが顔を真っ赤にして、僕を𠮟りつける。
こんなに怒っている彼女を見たのは初めてだ。
「ここはボス部屋です。何が起こるか分からないんですよ! もしかしたらまだ罠が仕掛けられているのかもしれないし、ちょっとは警戒して下さい」
「……すいません」
「もう。ユウタさんは救世主なんです。フィナさん一人だけのものじゃないんですから……自覚を持ってくださいね」
「はい」
ガイアの紅潮した頬、潤んだ瞳。
彼女は本気で僕のことを心配してくれている様だ。
「ユウター!」
フィナが祭壇から飛び降り、フワリと身軽に地面に着地。
よほど嬉しいのか尖った耳をピンとさせ、息を弾ませてこちらに駆け寄ってくる。
彼女の様子を見ていると、この部屋にはもう罠は無さそうだ。
「あれ!? ガイアもいる? 何で?」
僕らの数歩手前でフィナは立ち止まり、僕とガイアを交互に見ながら首を傾げている。
「ガイア、分身したの!? 分身の術が使えるの? すごーい!」
フィナが目を丸くしながら、ガイアを褒める。
フィナの横には、いつの間にかガイアが立っていた。
僕の隣にいるガイアと、フィナの隣にいるガイアが同時に声を上げる。
「ユウタさん。フィナさんの側にいるのは私の偽物です」
「ユウタさん。あなたの側にいる方こそ偽物です」
僕は同時に声を掛けられて混乱した。
つづく
「僕とフィナは運命共同体です。彼女が危険に晒されたら僕が身を挺して守り、僕が危険に晒されたらフィナが身を挺して守る。これまでも何度かそんな場面がありました。だから、偽フィナを見破ることが出来た」
「そうなんですか……」
お守りには『ユウタ頑張れ』と刺繍されている。
「僕はフィナの言葉を信じているんです。彼女はこう言ってくれました」
『ユウタが死ぬ時が、フィナの死ぬ時だよ』
その言葉が私の耳朶を打つ。
ユウタとフィナは強い絆で結ばれているんだ……。
そんな二人の聖域に、ユウタと出会って間もない私が入れる訳が無い。
ひとまず窮地は脱したが、私の胸は苦しくなった。
「さぁ、本物のフィナを探しましょう」
「はい」
偽物の私もどこかにいるはずだ。
◇
「ユウター!」
開け放たれたボス部屋から声が聞こえる。
紛れも無い、フィナの黄色い甲高い声。
目を凝らすと、部屋の奥にある祭壇に人影が。
その人影は元気よくピョンピョン飛び跳ねながら、こちらに手を振っている。
「フィナだ!」
僕は叫んでいた。
敵地だというのに、あの能天気振り。
間違いない。
本物だ。
僕は思わず飛び出していた。
「待って!」
手首を掴まれた僕は、グイッと後ろに引き戻された。
「ユウタさん! 嬉しいのは分かります。だけど……不用意な行動は慎んでください!」
ガイアが顔を真っ赤にして、僕を𠮟りつける。
こんなに怒っている彼女を見たのは初めてだ。
「ここはボス部屋です。何が起こるか分からないんですよ! もしかしたらまだ罠が仕掛けられているのかもしれないし、ちょっとは警戒して下さい」
「……すいません」
「もう。ユウタさんは救世主なんです。フィナさん一人だけのものじゃないんですから……自覚を持ってくださいね」
「はい」
ガイアの紅潮した頬、潤んだ瞳。
彼女は本気で僕のことを心配してくれている様だ。
「ユウター!」
フィナが祭壇から飛び降り、フワリと身軽に地面に着地。
よほど嬉しいのか尖った耳をピンとさせ、息を弾ませてこちらに駆け寄ってくる。
彼女の様子を見ていると、この部屋にはもう罠は無さそうだ。
「あれ!? ガイアもいる? 何で?」
僕らの数歩手前でフィナは立ち止まり、僕とガイアを交互に見ながら首を傾げている。
「ガイア、分身したの!? 分身の術が使えるの? すごーい!」
フィナが目を丸くしながら、ガイアを褒める。
フィナの横には、いつの間にかガイアが立っていた。
僕の隣にいるガイアと、フィナの隣にいるガイアが同時に声を上げる。
「ユウタさん。フィナさんの側にいるのは私の偽物です」
「ユウタさん。あなたの側にいる方こそ偽物です」
僕は同時に声を掛けられて混乱した。
つづく
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