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第93話 運命の治癒魔法使い
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「お前は救世主ではない」
姫からすれば、私は偽物だった。
だが、私は自分が救世主だと信じていた。
そう思わなければこれまでの努力が無駄になると思ったからだ。
そして遂に、この神が定義する救世主が現れた。
それがユウタだった。
辺境の狩り場で彼と出会ったときの第一印象は
心優しいが弱そう
というものだった。
こんな男を何故選んだのかと、神を呪った。
だが、私の気持ちは彼らと過ごすことで変わって行った。
「ガイアさん、流石ですね! 一瞬でホブゴブリンの群れを倒すなんて!」
ユウタは私が活躍する度に褒めてくれた。
「ガイアも私と同じ、うんこ仲間だね」
フィナが私を笑わせてくれた。
「僕の作った弁当、美味しいんですよ」
ユウタの料理は美味しかった。
「ユウタさんは、守護者たちと連携して戦うための訓練も必要だと思うんです」
セレスは仲間思いだった。
周りの大人達から期待され、それに応えるために一人頑張って来た私は孤独だった。
共感出来る仲間もいなかった。
「一人で突っ走っちゃってて、すごくかわいそうだよ」
フィナにそう言われた時、過去の日々がフラッシュバックした。
「やったー! ビッグスライム撃破だぜ!」
「タカシ! すごい!」
同じ狩り場で、同世代の子供達がパーティを組み、楽しそうにレベルアップに勤しんでいる。
それを遠くから見ている私。
本当はあの輪の中に入りたかった。
今、私はその輪の中に入っている。
ユウタ達が頑なになった私の心を溶かし、導いてくれた。
ユウタは自分の身の危険を冒してまで、仲間を守ろうとしていた。
仲間達は彼を慕い、彼のために戦っていた。
私はどうだろうか。
誰よりも強くなり救世主として認められるため、戦って来た。
常にピリピリと殺気立つ私の周りに誰もいない。
振り返ると誰もついて来ていなかった。
「ガイアさん! 僕はあなたと戦いたくないんだ!」
私はレベル90になったユウタに戦いを挑んだ。
「ユウタ、私もあなたとは戦いたくない。だけど……私は自分が救世主だと信じている。だって、それが私の生きて来た意味だから」
ユウタが私を倒すことが出来れば、彼が本当の救世主だ。
私は彼に倒されれば、納得してこの人生に区切りをつけようと思った。
だが、そこに邪魔が入った。
狂戦士、マリアン。
DEATHのギルドマスターにして、この世界の人間で一番の高レベル者。
救世主を憎む彼女は、ユウタに猛攻撃を加えた。
彼女は私にも、その邪悪な刃を向けて来た。
死ぬ。
そう思った時、ユウタの背中が目の前に飛び込んで来た。
彼は危険を冒し、私の身代わりになってくれた。
光の壁が攻撃を防ぐ。
ユウタは皆のために盾になり、戦っていた。
私は彼を救世主として認めた。
だが、彼はマリアンの竜神の剣による刺突で、倒れ、死んだ。
私はHPが0になったユウタの胸に手をかざし、詠唱した。
「蘇生」
つづく
姫からすれば、私は偽物だった。
だが、私は自分が救世主だと信じていた。
そう思わなければこれまでの努力が無駄になると思ったからだ。
そして遂に、この神が定義する救世主が現れた。
それがユウタだった。
辺境の狩り場で彼と出会ったときの第一印象は
心優しいが弱そう
というものだった。
こんな男を何故選んだのかと、神を呪った。
だが、私の気持ちは彼らと過ごすことで変わって行った。
「ガイアさん、流石ですね! 一瞬でホブゴブリンの群れを倒すなんて!」
ユウタは私が活躍する度に褒めてくれた。
「ガイアも私と同じ、うんこ仲間だね」
フィナが私を笑わせてくれた。
「僕の作った弁当、美味しいんですよ」
ユウタの料理は美味しかった。
「ユウタさんは、守護者たちと連携して戦うための訓練も必要だと思うんです」
セレスは仲間思いだった。
周りの大人達から期待され、それに応えるために一人頑張って来た私は孤独だった。
共感出来る仲間もいなかった。
「一人で突っ走っちゃってて、すごくかわいそうだよ」
フィナにそう言われた時、過去の日々がフラッシュバックした。
「やったー! ビッグスライム撃破だぜ!」
「タカシ! すごい!」
同じ狩り場で、同世代の子供達がパーティを組み、楽しそうにレベルアップに勤しんでいる。
それを遠くから見ている私。
本当はあの輪の中に入りたかった。
今、私はその輪の中に入っている。
ユウタ達が頑なになった私の心を溶かし、導いてくれた。
ユウタは自分の身の危険を冒してまで、仲間を守ろうとしていた。
仲間達は彼を慕い、彼のために戦っていた。
私はどうだろうか。
誰よりも強くなり救世主として認められるため、戦って来た。
常にピリピリと殺気立つ私の周りに誰もいない。
振り返ると誰もついて来ていなかった。
「ガイアさん! 僕はあなたと戦いたくないんだ!」
私はレベル90になったユウタに戦いを挑んだ。
「ユウタ、私もあなたとは戦いたくない。だけど……私は自分が救世主だと信じている。だって、それが私の生きて来た意味だから」
ユウタが私を倒すことが出来れば、彼が本当の救世主だ。
私は彼に倒されれば、納得してこの人生に区切りをつけようと思った。
だが、そこに邪魔が入った。
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救世主を憎む彼女は、ユウタに猛攻撃を加えた。
彼女は私にも、その邪悪な刃を向けて来た。
死ぬ。
そう思った時、ユウタの背中が目の前に飛び込んで来た。
彼は危険を冒し、私の身代わりになってくれた。
光の壁が攻撃を防ぐ。
ユウタは皆のために盾になり、戦っていた。
私は彼を救世主として認めた。
だが、彼はマリアンの竜神の剣による刺突で、倒れ、死んだ。
私はHPが0になったユウタの胸に手をかざし、詠唱した。
「蘇生」
つづく
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