83 / 199
第83話 この世界は私の箱庭! だから、救世主は私が潰す!
しおりを挟む
ユウタと名乗る救世主を甘く見過ぎていた。
私は、HPが一桁になるほどの重傷を負い、ユウタから逃げるのに精いっぱいだった。
「マリアン! 待て!」
ユウタの声が聞こえる。
彼もまた瀕死のはずだ。
私は追いかけて来るモンスターを振り払いながら、何とか森を抜け、周りが見渡せる草原に辿り着き、一息つく。
薬草で傷を癒しながら、ここに至るまでを思い出す。
◇
髑髏マークは、その相手が死んだことを意味している。
私のフレンドリストに載っているミチヤスと言う名前の先頭には、その髑髏マークが付いていた。
数日前、私は奴に命令した。
辺境近くの狩り場に拠点を作れ、と。
そこで何があったかは知らないが、奴は死んだという訳か。
恐らく、同じ狩り場で別のギルドの人間と鉢合わせになり、戦闘にでもなったのだろう。
辺境の近くに良質な狩り場があるという噂は、街で生活していると自然に耳に入ってくる。
資源が限られているこの世界では、良質な狩り場は奪い合いになる。
特にこの前の世界更新以来、各狩り場でのモンスターの出現率が落ちている。
それはつまり、金や素材やアイテムが手に入るチャンスが減っているということだ。
私がギルドマスターをつとめるギルド、DEATHは200人もの人間を抱えている。
そして、その傘下には50もの中小ギルドを従えている。
それだけの人間を抱えていたら、ほんのちょっとの金や素材やアイテムでは組織体として円滑な運営が出来ない。
ギルドには二種類ある。
魔王を倒すことを目指しているギルド。
魔王を倒すことを目指していないギルド。
DEATHとその配下は後者に属する。
私はこの世界で、自らが王になることを目指していた。
そのためには、大量の金や素材やアイテムが必要だった。
もちろんそれらは、大地を耕したり、洞窟を探索したり、地道に働くことで手に入れることも出来る。
だが、それではほんの少ししか手に入れることが出来ない。
私は危険を冒してでも、それらが大量に必要だった。
手に入れた素材で、幻想的な武器やアイテムを作り出し、それを高値で販売し利益を得る。
手に入れた利益で、象徴的で巨大なギルドホールを作り、自分の元に人間を従える。
強力な武器や魔法を手に入れ、いずれは魔王さえも従え、この世界を私のものにする。
だから、モンスターは私にとって敵でもあるが必要な存在だった。
死というリスクさえ受け入れれば、モンスターから大量の報酬が得られる。
モンスターを召喚する大元の魔王は、私にとってなくてはならない存在だった。
だから、魔王を倒そうとするギルドは私の敵だった。
絶対成敗というギルドは、その辺の考え方が私と異なるので、締め上げることにした。
成果として、ポンの商売を奪うことが出来た。
全ては上手くいっていた。
だが、救世主が現れた。
つづく
私は、HPが一桁になるほどの重傷を負い、ユウタから逃げるのに精いっぱいだった。
「マリアン! 待て!」
ユウタの声が聞こえる。
彼もまた瀕死のはずだ。
私は追いかけて来るモンスターを振り払いながら、何とか森を抜け、周りが見渡せる草原に辿り着き、一息つく。
薬草で傷を癒しながら、ここに至るまでを思い出す。
◇
髑髏マークは、その相手が死んだことを意味している。
私のフレンドリストに載っているミチヤスと言う名前の先頭には、その髑髏マークが付いていた。
数日前、私は奴に命令した。
辺境近くの狩り場に拠点を作れ、と。
そこで何があったかは知らないが、奴は死んだという訳か。
恐らく、同じ狩り場で別のギルドの人間と鉢合わせになり、戦闘にでもなったのだろう。
辺境の近くに良質な狩り場があるという噂は、街で生活していると自然に耳に入ってくる。
資源が限られているこの世界では、良質な狩り場は奪い合いになる。
特にこの前の世界更新以来、各狩り場でのモンスターの出現率が落ちている。
それはつまり、金や素材やアイテムが手に入るチャンスが減っているということだ。
私がギルドマスターをつとめるギルド、DEATHは200人もの人間を抱えている。
そして、その傘下には50もの中小ギルドを従えている。
それだけの人間を抱えていたら、ほんのちょっとの金や素材やアイテムでは組織体として円滑な運営が出来ない。
ギルドには二種類ある。
魔王を倒すことを目指しているギルド。
魔王を倒すことを目指していないギルド。
DEATHとその配下は後者に属する。
私はこの世界で、自らが王になることを目指していた。
そのためには、大量の金や素材やアイテムが必要だった。
もちろんそれらは、大地を耕したり、洞窟を探索したり、地道に働くことで手に入れることも出来る。
だが、それではほんの少ししか手に入れることが出来ない。
私は危険を冒してでも、それらが大量に必要だった。
手に入れた素材で、幻想的な武器やアイテムを作り出し、それを高値で販売し利益を得る。
手に入れた利益で、象徴的で巨大なギルドホールを作り、自分の元に人間を従える。
強力な武器や魔法を手に入れ、いずれは魔王さえも従え、この世界を私のものにする。
だから、モンスターは私にとって敵でもあるが必要な存在だった。
死というリスクさえ受け入れれば、モンスターから大量の報酬が得られる。
モンスターを召喚する大元の魔王は、私にとってなくてはならない存在だった。
だから、魔王を倒そうとするギルドは私の敵だった。
絶対成敗というギルドは、その辺の考え方が私と異なるので、締め上げることにした。
成果として、ポンの商売を奪うことが出来た。
全ては上手くいっていた。
だが、救世主が現れた。
つづく
0
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜
平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。
だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。
一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。
ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜
平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。
途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。
さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。
魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる