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第75話 孤独な美少女治癒魔法使いは、いつも仲間を求めて生きて来た。
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ガイアはフィナの一歩手前で止まった。
彼女はじっとフィナの目をじっと見て、こう言った。
「ユウタさんがさっき言ったように、戦闘中に気が散ること言わないで欲しいの。今度から気を付けてね」
その顔は無表情で、瞳は金属の様に無機質な光を放っていた。
「まぁまぁ、二人とも。仲良く、ね」
僕は睨み合う二人の間に割って入った。
「私、この人、嫌い!」
フィナがガイアのことを指差し、そう言った。
ガイアは意にも介さないと言った態でこう言い返す。
「私はあなた方にどう思われようが構わない」
「うんこ踏んでんのに、かっこつけてんじゃねーよ」
「なっ……」
フィナは顔を真っ赤にしたガイアを指差して笑った。
後ろにいるセレスとウエンディも肩を揺らして笑いを堪えている。
ガイアは白いブーツに包まれた足を地面にガシガシこすりつける。
まるで、大地を削り取るかのように激しい。
「せっかく仲間になったんだから、助け合いながら楽しくやろうよー。ガイアって何か、一人で突っ走っちゃってて、すごくかわいそうだよ」
「私がかわいそう?」
「うん」
フィナは大きく頷き、笑顔でこう続ける。
「それに私もさっき踊ってる時、うんこ踏んだから、これでガイアと私は、うんこ仲間だね」
フィナがガイアの周りで、くねくね踊る。
セレスとウエンディが爆笑した。
僕も思わず、笑ってしまった。
「ぷっ……」
ガイアが噴き出している。
場が和やかになりかけた。
僕は彼女と視線が合った。
そんな彼女は全否定するかのように叫んだ。
「ふざけないでっ!」
場は一気に静まり返った。
「いい? 戦闘って言うのは命がけなの。楽しくやるなんてもってのほか!」
◇
私としたことが、つい声を荒げてしまった。
フィナに対して怒りを感じたというよりも、この場を、楽しいと思った自分に戸惑ったからだ。
私は救世主として、幼い頃から周りの大人達から期待されていた。
貧しいギルドに属する両親から生まれた私は、常に飢えと危険の隣り合わせで生きて来た。
常に狩り場で野営し、モンスターと戦う日々。
誰よりも早く、強くなるために。
ミスをすれば大人達の鉄拳が飛んだ。
それを大人達は、愛、と呼んだ。
同世代の子供達がパーティを組み、楽しそうに同じレベルのモンスターと戦っているのを横目に、私は厳しい大人達とパーティを組み、自分よりもレベルの高いモンスターと戦っていた。
レベルアップの度に、大人達に褒められた。
それが楽しみだった。
だけど、子供パーティの楽しそうな笑い声やお互いを励まし合う声を聴くと、私は羨ましくてたまらなくなった。
私は吐き捨てる様にこう言って来た。
「バカみたい」
私は彼らと違う。
魔王を倒すことが私の使命。
◇
本当はあの輪の中に入りたかった。
ここは、あの輪の中に似ている。
つづく
彼女はじっとフィナの目をじっと見て、こう言った。
「ユウタさんがさっき言ったように、戦闘中に気が散ること言わないで欲しいの。今度から気を付けてね」
その顔は無表情で、瞳は金属の様に無機質な光を放っていた。
「まぁまぁ、二人とも。仲良く、ね」
僕は睨み合う二人の間に割って入った。
「私、この人、嫌い!」
フィナがガイアのことを指差し、そう言った。
ガイアは意にも介さないと言った態でこう言い返す。
「私はあなた方にどう思われようが構わない」
「うんこ踏んでんのに、かっこつけてんじゃねーよ」
「なっ……」
フィナは顔を真っ赤にしたガイアを指差して笑った。
後ろにいるセレスとウエンディも肩を揺らして笑いを堪えている。
ガイアは白いブーツに包まれた足を地面にガシガシこすりつける。
まるで、大地を削り取るかのように激しい。
「せっかく仲間になったんだから、助け合いながら楽しくやろうよー。ガイアって何か、一人で突っ走っちゃってて、すごくかわいそうだよ」
「私がかわいそう?」
「うん」
フィナは大きく頷き、笑顔でこう続ける。
「それに私もさっき踊ってる時、うんこ踏んだから、これでガイアと私は、うんこ仲間だね」
フィナがガイアの周りで、くねくね踊る。
セレスとウエンディが爆笑した。
僕も思わず、笑ってしまった。
「ぷっ……」
ガイアが噴き出している。
場が和やかになりかけた。
僕は彼女と視線が合った。
そんな彼女は全否定するかのように叫んだ。
「ふざけないでっ!」
場は一気に静まり返った。
「いい? 戦闘って言うのは命がけなの。楽しくやるなんてもってのほか!」
◇
私としたことが、つい声を荒げてしまった。
フィナに対して怒りを感じたというよりも、この場を、楽しいと思った自分に戸惑ったからだ。
私は救世主として、幼い頃から周りの大人達から期待されていた。
貧しいギルドに属する両親から生まれた私は、常に飢えと危険の隣り合わせで生きて来た。
常に狩り場で野営し、モンスターと戦う日々。
誰よりも早く、強くなるために。
ミスをすれば大人達の鉄拳が飛んだ。
それを大人達は、愛、と呼んだ。
同世代の子供達がパーティを組み、楽しそうに同じレベルのモンスターと戦っているのを横目に、私は厳しい大人達とパーティを組み、自分よりもレベルの高いモンスターと戦っていた。
レベルアップの度に、大人達に褒められた。
それが楽しみだった。
だけど、子供パーティの楽しそうな笑い声やお互いを励まし合う声を聴くと、私は羨ましくてたまらなくなった。
私は吐き捨てる様にこう言って来た。
「バカみたい」
私は彼らと違う。
魔王を倒すことが私の使命。
◇
本当はあの輪の中に入りたかった。
ここは、あの輪の中に似ている。
つづく
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