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第58話 奴隷商人
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統制の取れていない大量のゴブリンを倒すのは、クルスにとって骨が折れることだった。
押し寄せるゴブリンを一度に薙ぎ払うためにクルスはスキルを駆使する。
「『満月斬』!」
文字通り、満月の様に円状に回転しながら、モンスターを攻撃するスキルだ。
掛け声とともに、クルスは高速に回転しながら剣を振う。
草を刈り取りながら自身を取り囲むゴブリン達を薙ぎ払った。
ゴブリンは馬車めがけて突入して来る。
クルスは自身が馬車の右半分を責めるゴブリンを担当し、傭兵とターバンの男に左半分を責めるゴブリンを任せた。
「おお……旅の人、ありがとうございます」
何もすることが出来ないターバン男の妻が、クルスの側を離れない。
「ここにいては危険です。馬車の中にいて下さい!」
「ああ……でもあなたから離れるのは怖い……」
(旦那より僕の方が頼られるって、旦那の立場ないだろ……)
クルスは放っておくことにした。
この女は逃げ足は速そうだし、最悪、馬車の下にでも放り込んでおけばいいだろう。
「おい! 中のエスティアは大丈夫なのか!?」
ターバンの男の叫び声が耳に響いた。
それに応える様にか細い声が馬車の中から聞こえてくる。
「はい……」
猫耳少女は、エスティアという名前らしい。
「おい、傷一つ付けない様に守れよ! エスティアは大事な売り物なんだからな!」
(売り物?)
なるほど……
ゲームでも異世界でも、獣人は奴隷扱いらしい。
「旅人の人、あなたもお願いします。ゴブリンを倒しきったら、報酬は弾みますから!」
「はっ、はい!」
クルスは複雑な気持ちになる。
自分が奴隷商人を助けているという事実に。
(それにしても、終わらないな……)
単なるゴブリンなので強くはない。
集団だが、全ての個体の頭が欲望で一杯なので統制も無く、連係プレイも無いので一匹、一匹倒すのは容易い。
だが、次から次へと森の奥から湧いて来る緑色のモンスターにクルスは疲れ始めていた。
剣の切れ味も悪くなっていく。
つづく
押し寄せるゴブリンを一度に薙ぎ払うためにクルスはスキルを駆使する。
「『満月斬』!」
文字通り、満月の様に円状に回転しながら、モンスターを攻撃するスキルだ。
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草を刈り取りながら自身を取り囲むゴブリン達を薙ぎ払った。
ゴブリンは馬車めがけて突入して来る。
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「おい! 中のエスティアは大丈夫なのか!?」
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それに応える様にか細い声が馬車の中から聞こえてくる。
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なるほど……
ゲームでも異世界でも、獣人は奴隷扱いらしい。
「旅人の人、あなたもお願いします。ゴブリンを倒しきったら、報酬は弾みますから!」
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クルスは複雑な気持ちになる。
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(それにしても、終わらないな……)
単なるゴブリンなので強くはない。
集団だが、全ての個体の頭が欲望で一杯なので統制も無く、連係プレイも無いので一匹、一匹倒すのは容易い。
だが、次から次へと森の奥から湧いて来る緑色のモンスターにクルスは疲れ始めていた。
剣の切れ味も悪くなっていく。
つづく
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