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第37話 その頃、俺の元居たギルドは、虎の威を借りる狐と化していた。

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一方その頃、、月光隊はというと……

「というわけです。俺らをはめようとした『バタフライエフェクト』とそのバックについてる『刺殺俱楽部』が悪いんです」

バジウスは愛想笑いを浮かべた。
彼の目の前にいる男はゆっくりと口を開いた。

「なるほど。事情は分かった」

その男の容姿は……
一言で言うと凶悪だった。
身長は高く、筋肉質だ。
頭には王冠を被り、赤いマントを羽織っている。
そして、黒い鎧をまとっている。

「だが、お前たちのやったことは許されることではない」
「ですよねぇ」

バジウスは肩を落とす。

「うむ」
「俺ら、まだ死にたくないんすよ。な、ギリト」
「ですね」
「お願いしますよ。ライムさん」

ライムと呼ばれた男は、長い黒髪に端正な顔立ちをしている。
しかし、冷酷な瞳をしていた。
月光隊は彼らのバックにつく、元締めギルド『春夏秋冬理論』のギルド部屋に来ていた。
今回の揉め事を報告するために。
そして、自分達に非はないことを訴えること、これからも守ってくれることの約束を得るために。

「ふっ、まあいいだろう」
「え?」
「今回だけは見逃してやろう」

ライムは言った。

「いいんですか?」
「ああ、アベルとアメリアの死体は上手いこと消し去ったんだろうな」
「はい」
「なら、問題ない」
「あざっす!」

バジウスとギリトは喜んだ。
死体が無ければ、刺殺倶楽部もバタフライエフェクトも、月光隊を追及することは出来ない。
いくらバジウスとギリトが怪しかろうが。
ライムはそこまで読んでいた。

「あと、お前ら、しばらくここを拠点に活動しろ。俺の指示に従ってもらう」
「ええええ!?」

バジウスとギリトは驚いた。

「嫌なのか?」
「いえ、そういう訳じゃないですけど……」

『春夏秋冬理論』の連中と一緒なのは気を遣う。

「なら決まりだ。お前らのギルド部屋は用意しておく」
「はい」

こうして、月光隊の運命は決まった。

◆ 

「ライム様、いいのですか?あんな馬鹿どもを」

美しい黒髪の女がライムに問い掛ける。
彼女の名はクロユリ。
『春夏秋冬理論』は世界四大ギルドの一つ。
その幹部の一人だ。

「ああ、構わない。どうせ、あいつらは使い捨ての駒だ」
「なるほど」

彼女は察した。
そして微笑んだ。

「それに、あいつらはいずれ脅威になる。今のうちに始末しておいた方がいい」
「そうかもしれませんね」
「つまり、刺殺倶楽部はあいつらを殺しにかかる。あいつらを殺してくれれば、俺の手間も省けるし、刺殺倶楽部にケンカをふっかけるいい口実になる」

ライムはワインを口に含み、笑った。

「素敵」

クロユリは呟く。

「あいつらは死ぬ。俺のために」

ライムはグラスを掲げた。
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