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第25話 パンツ見せろ

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「魔石とな?」

 カドレア侯爵が目を見開く。

「ああ。女神像の中に埋まってる。色は……青か」

 タルボが応える。

「お主、一体……?」

「ああ、俺はちょっとだけ、ちょっとだけだぜ。こうやって集中力を目の前の一点に集中することで、ものを透かして見ることが出来るんだ。よく金庫の鍵の形状だとか、宝箱に危険なものが入ってないかとか、こうやって事前に透かして見ることで、対応してんだよ。この技があるから盗賊をやってるって言うのは……ま、冗談だがな」

 ユーモアも交えつつ、タルボは自分のスキルのことを話した。

(すげぇ! 身近に透視スキルを持つ者がいるとは)

 ムネタカはタルボが非常に頼りになる存在に思えて来た。

「すごいね! おじさん!」

「おお! フェミル。お前のスカートの中も透視してやろうか!」

「あ、このスケベ!」

 フェミルがワンピのスカートを両手で抑え込む。
 それを見てマーシャが腰に差した剣に手を掛ける。

「タルボ殿、それ以上、フェミル様に無礼なことをすれば……」

「すまん、冗談だ。マーシャ、怖い顔すんな。この技はな、実行した後、物凄く疲れるんだ。だから、一日に三回くらいしか使えない。その貴重な一回を、こんな小娘のパンツを見るために使いたかねぇ!」

 タルボが顔の前で手を振る。
 まったく興味が無いと言った態で。
 それが、フェミルのプライドを傷付けた様で……

「まっ! おじさん! 私みたいな美しいレディを小娘だなんて!」

「なんだよ。フェミル。じゃ、パンツ見せてくれよ。美しいレディのセクシーなとこ見せてくれや」

「ええ! きっと私に惚れるわ!」

 フェミルが今度は両手でスカートの裾を持ち上げようとする。

「フェミル様!」

 マーシャが後ろからフェミルを羽交い絞めにする。

(なるほど、祖先が脳筋だと子孫も脳筋だな)

「さて……つまり、ユメル侯爵はこの魔石を狙ってくると……」

 騒がしさを一旦止めようと、カドレア侯爵は話を変えようとした。
 
「うむ。そうに決まっている。奴は魔石というものにえらく執着心を持っていた。俺がたまたま手に入れた魔石をすごく欲しがってたからな」

 その日、タルボは奴隷商人の一行を襲った。
 目に余る悪行で私腹を肥やす悪徳商人。
 ユメル領の森の中を馬車で移動する商人を、木陰から襲った。
 商人の金品を奪い、馬車に乗っていた奴隷の子供たちを解放した。
 その奴隷の子供が持っていたのが魔石だった。

「おじさん、これ、あげる」

 その子供がお礼としてくれたものが赤い魔石。

「魔石を見つけたら私に渡してください。特別に報酬を与えます」

 タルボは常にユメル侯爵にそう言われていた。

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