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第110話 サキュバス
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ラージェがモンスターを使役しているのだろうか。
だとしたら、危険だ。
ハルトはラージェに視線を送る。
ラージェもこちらに気付いたようだ。
ラージェはニヤッとした笑みを浮かべる。
「ようこそ、勇者殿。わしはこの国の王であるマテリアライズドじゃ」
「ハルトです」
「ルミナスです」
「バルクです」
「フィリアと申します」
ハルト達は自己紹介をした。
「堅苦しい挨拶は抜きにしよう。王族会議で一度懇談した仲ではないか」
マテリアライズド王は言う。
「はい」
ハルトは答える。
「それにしても、突然、教皇を通して面会したいと救世主殿から話が来たのには驚いた」
嘘だ。
これは教皇の嘘だ。
ハルトたちを調査隊としてマテリアライズド王国に送り込むための嘘だ。
「いえ、困っている時はお互い様ですよ」
ハルトは笑顔で言う。
「そうか。では早速だが本題に入ろう。ハルト君、君は我々がモンスターと手を結び、世界征服を目指しているという噂を聞いたことはないかね?」
やはり、そういうことか。
ハルトは思った。
そして、向こうから隠すことなく、「その」話題を振って来たのは意外だった。
意図が分からない。
ハルトは思考する。
「はい。噂は聞きました」
ハルトは正直に答えた。
「そうか!ならば話は早い。モンスターは素晴らしいぞ。仲良くなればこれ程強い味方はおらん。全世界の王がモンスターと手を取れば平和が訪れようぞ」
マテリアライズド王が言った。
「……そうですね」
ハルトはそう言いながら、フィリアを見た。
フィリアは複雑そうな表情をしている。
「ところで、そちらの女性は?」
マテリアライズド王はフィリアを見て言った。
どうやら、王はハルトとバルク以外、王族会議で出会ったことを覚えていない様だ。
「彼女は私の従者です」
「ほう、そうか。美しい女性だ。どうだろう?我が国に来る気はないかな?」
マテリアライズド王は勧誘してきた。
「すみません。私達、冒険者なので」
ハルトは断った。
すると、ラージェの目が光った。
その目は明らかにフィリアを狙っている目だった。
こいつが黒幕か。
ハルトは確信した。
しかし、ここで下手に動くと、ラージェがフィリアに手を出すかもしれない。
ハルトは慎重に言葉を選ぶことにした。
まずは、ルミナスに話をさせるか。
ハルトはルミナスにアイコンタクトをする。
ルミナスは小さくうなずいた。
そして、ルミナスは口を開く。
ハルトはルミナスが何を言おうとしているのか分かった。
ルミナスは演技を始めた。
「妾はサキュバス・ルミナス=ルシファーという」
ルミナスは源氏名を名乗った。
「?」
マテリアライズド王が困り顔だ。
ルミナスは続ける。
「ああ、お主らが言うところのサキュバスじゃ。お主に頼みがあるのじゃ」
「ほぉ、どんなことでしょう?」
「実は最近、この国に邪悪な気配を感じてのう。この国を調べさせて貰っても良いか?」
「ふむ、構わんが」
「助かるのじゃ。して、そこのニキビ面、手伝ってほしいのじゃ」
だとしたら、危険だ。
ハルトはラージェに視線を送る。
ラージェもこちらに気付いたようだ。
ラージェはニヤッとした笑みを浮かべる。
「ようこそ、勇者殿。わしはこの国の王であるマテリアライズドじゃ」
「ハルトです」
「ルミナスです」
「バルクです」
「フィリアと申します」
ハルト達は自己紹介をした。
「堅苦しい挨拶は抜きにしよう。王族会議で一度懇談した仲ではないか」
マテリアライズド王は言う。
「はい」
ハルトは答える。
「それにしても、突然、教皇を通して面会したいと救世主殿から話が来たのには驚いた」
嘘だ。
これは教皇の嘘だ。
ハルトたちを調査隊としてマテリアライズド王国に送り込むための嘘だ。
「いえ、困っている時はお互い様ですよ」
ハルトは笑顔で言う。
「そうか。では早速だが本題に入ろう。ハルト君、君は我々がモンスターと手を結び、世界征服を目指しているという噂を聞いたことはないかね?」
やはり、そういうことか。
ハルトは思った。
そして、向こうから隠すことなく、「その」話題を振って来たのは意外だった。
意図が分からない。
ハルトは思考する。
「はい。噂は聞きました」
ハルトは正直に答えた。
「そうか!ならば話は早い。モンスターは素晴らしいぞ。仲良くなればこれ程強い味方はおらん。全世界の王がモンスターと手を取れば平和が訪れようぞ」
マテリアライズド王が言った。
「……そうですね」
ハルトはそう言いながら、フィリアを見た。
フィリアは複雑そうな表情をしている。
「ところで、そちらの女性は?」
マテリアライズド王はフィリアを見て言った。
どうやら、王はハルトとバルク以外、王族会議で出会ったことを覚えていない様だ。
「彼女は私の従者です」
「ほう、そうか。美しい女性だ。どうだろう?我が国に来る気はないかな?」
マテリアライズド王は勧誘してきた。
「すみません。私達、冒険者なので」
ハルトは断った。
すると、ラージェの目が光った。
その目は明らかにフィリアを狙っている目だった。
こいつが黒幕か。
ハルトは確信した。
しかし、ここで下手に動くと、ラージェがフィリアに手を出すかもしれない。
ハルトは慎重に言葉を選ぶことにした。
まずは、ルミナスに話をさせるか。
ハルトはルミナスにアイコンタクトをする。
ルミナスは小さくうなずいた。
そして、ルミナスは口を開く。
ハルトはルミナスが何を言おうとしているのか分かった。
ルミナスは演技を始めた。
「妾はサキュバス・ルミナス=ルシファーという」
ルミナスは源氏名を名乗った。
「?」
マテリアライズド王が困り顔だ。
ルミナスは続ける。
「ああ、お主らが言うところのサキュバスじゃ。お主に頼みがあるのじゃ」
「ほぉ、どんなことでしょう?」
「実は最近、この国に邪悪な気配を感じてのう。この国を調べさせて貰っても良いか?」
「ふむ、構わんが」
「助かるのじゃ。して、そこのニキビ面、手伝ってほしいのじゃ」
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