パーティから追放されたのは神に選ばれし救世主だった。~チートスキルで元のパーティを見返し、全知全能の冒険者になってやる!~

yonechanish

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第106話 催眠

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「最近、マテリアライズド王国の様子がおかしい」

バルクがそう言うとハルトはどうしてと思った。

「なんでも、モンスターと人間が手を取り合って暴れている様だ」
「どういうこと?」
「分からん。だが、事実らしい」
「ふーん」
「どうする?助けに行くか?」
「ううん、いいよ」
「そうか」
「それよりも、もっと面白いことを考えたんだ。ねぇ、聞いてくれる?」
「なんだ?」
「人間とモンスターを戦わせるんだ」
「ほぉ、どうやって?」
「こうやってだよ。『スキルインストール』!」

ハルトはいつもと違う感じだった。
バルクはヘラヘラ笑うハルトを睨んだ。

「喝!」

突然の衝撃にハルトは吹っ飛んだ。
身体中を痛みが支配する。
そして、意識を失った。

倒れたハルトを見下ろしながら、気合を放ったバルクは思った。

(だいぶ私の催眠が効くようになって来た。だが、まだまだ操るまでには至らないな)

それにしても、マテリアライズド王国がモンスターと手を組み始めたのは想定外だった。
あの王国は、ガーレット王国に潰させようと思っていたのだが。
だが、そのおかげで、より面白くなりそうだ。
バルクは笑みを浮かべて言った。

「さぁ、ショータイムの始まりだ」

バルクの笑い声にハルトが目を覚ます。

「何がそんなに可笑しいのかしら」
「お前のことだ。ハルト」
「俺のことか」
「あぁ、お前のことだ。お前はいつまで寝てるつもりなのかなと思ってな」
「別にいいじゃないか」
「まぁな。それより、俺は腹ペコだ。何か食わせてくれないか」
「分かったわ」

ハルトは料理を作り始めた。
そして、作り終わると、ハルトはそれをバルクに渡した。

「ありがとう」
「いえいえ」
「それじゃ、いただきます!」

バルクはバクバクと食べ始める。

「美味いな!やっぱり、ハルトの飯は最高だぜ」
「お褒めの言葉を頂き光栄です」
「しかし、今日は一段と機嫌が良いようだが、なんか良いことでもあったか」
「実はね、新しい仲間を見つけたんだよ」
「ほう、それは良かったな」
「それで、その子がまた可愛くて」
「おい、話が違うぞ。私は飯を食えと言ったんだぞ」
「分かってるよ」

ハルトは苦笑いをして、それから言った。

「ごめん、つい嬉しくなってしまって」
「まったく、しょうがない奴だ。それで、どんな子なんだ?」
「えっとね、女の子で可愛いのは勿論だけど、頭も良くて、性格も優しくて、とにかく完璧かな」
「へぇ、そいつは凄い」
「でも、ちょっとだけ変なところもあるんだけど……」
「どんなところだ?」
「例えば、俺のことを好きとか言ってきたり、急に抱き着いてきたりするんだよね」
「なるほど。そりゃ確かに変わってるな」
「だろ。ほんと困っちゃうよ」

ハルトはそう言いながらも、まんざらでもない様子だった。
すると、バルクは言った。

「ま、とりあえず、その子とは仲良くしろよ」
「もちろん、そのつもりだよ」

ハルトは笑顔で答えた。

(いやはや。未熟な催眠で、とちと狂ったハルトと遊ぶのも面白いな)
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