パーティから追放されたのは神に選ばれし救世主だった。～チートスキルで元のパーティを見返し、全知全能の冒険者になってやる！～

第81話 五大王族

五大王族。
それはこの世界において、知らぬ者はいない存在だった。

ラインハルホ王国。
ギ・アンドゥ王国。
マテリアライズド王国。
バルガン王国。
そして、ガーレット王国。

この五つの国は、それぞれの大陸を支配していた。

それぞれ、別の祖先をもつ。

かつて、古の魔王と戦った英雄たち。

五英雄。

その英雄たちは500年前、救世主と聖女を中心とし、魔王討伐した。

その後、世界に五つある大陸を、五英雄はそれぞれ分け合い、平和が訪れた。

その末裔が、五英雄の子孫であり、それぞれの国の国王である。

そして、その長きにわたった平和が壊れつつある。


古の魔王が復活したのだ。

そして、その魔王は、ガーレット王国の国王に忍び寄り、戦争の火種をまこうとしていた。

ガーレット王国王都。
城壁に囲まれた城塞都市。
その中央に位置する巨大な城。
そこに二人の男が居た。

男の片方が口を開く。
男は、低い声で言った。

「父上は、ロドス島にもう着いただろうか？」

彼の名は、ガーレット王国第1王子アシッド。
彼は、隣にいるもう一人の男に話しかける。

「なあ、アルフォンス」

アルフォンスと呼ばれた男は、白銀の鎧を身につけ、長い金髪で、端正な顔立ちをしている。
だが、その目つきは鋭く、見る者に威圧感を与えるような雰囲気を持っている。
彼の名前は、ガーレット王国第2王子アルフォンス。

二人は兄弟でありながら、お互いを敵視している。

それは、彼らの性格の違いにあった。

アルフォンスは、父王によく似た武闘派で、強欲な性格だ。
それに対し、兄のアシッドは、内政家。
民のことを第一に考え、国の発展を優先する。
その為、国民の支持は高く、民衆からの人気は高い。
しかし、それ故に、兄に対して不満を持つ者も居る。
特に弟からは嫌われている。
弟のアルフォンスは、兄より優秀な人間だと思っていた。
剣の腕も、政治力も、全てにおいて自分の方が上だと信じていた。
実際、兄は武術や学問には疎く、政務を執らせれば、自分の方が優秀だと思っている。

「多分、着いたんじゃないか。兄上」

お互い目を合わさず、話す。

彼らの父ガーレット国王は、先日、ロドス島に旅立った。

五大王族会議に出席するためだ。