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第64話 盗み見
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「ラフィーナ姫」
「おはようございます」
「はい」
ハルトは挨拶を返す。
「ハルト。この後、少しよろしいですか」
「えっ」
「私の部屋に来て頂けますか」
「……」
「お願いします」
「わかりました」
ハルトは了承した。
集合の時間まで少しある。
ルミナスの視線が少し痛いが。
ラフィーナがハルトのことに気付き始めているというのも気になる。
話を聞いてみたい。
◆
ラフィーナは自室に戻ると、ソファーに腰を下ろす。
そして、ハルトが部屋に入ってくると向かい合うように座るように促す。
ハルトが座り、ラフィーナも対面するように座ったところで彼女が口を開く。
「まずはハルト。あなたは一体何者なのでしょうか」
「俺は……救世主。そして、あなたがかぎ分けた様に転生者です」
「やっぱり」
「はい」
「昨日、あなたのステータスを覗かせてもらいました」
どうやらラフィーナは人のステータスが覗けるスキル『盗見』まで身に付けていた。
これがハルトを救世主と見定めた秘密の様だ。
「驚かないのですか? ラフィーナ姫」
「えぇ。転生者に憧れています。その憧れが私の能力を開花させている」
「……」
バルクの言った通り。
ラフィーナは転生者を探していた。
ということは、バルクのことも……
「バルク兄さんのことも転生者だと気付いていました」
「なるほど」
ガーレット王国には、ラフィーナ、フィリアの他に、三人の王子、そして、三人の姫がいる。
ファリーナはラインハルホ王国に嫁ぎ、ガーレット王国の者ではなくなった。
そして、フィリアは今のところガーレット王国から離れている。
残った三人の王子、そして、三人の姫は、今もガーレット王家の者であり、ガーレット国王に従っている。
つまり、ガーレット王家に残った王族は皆、魔王に従っていることになる。
「フィリアと私以外の弟妹たちはバルク兄さんを嫌っていたけど、私は兄さんが転生者だと気付いていたから嫌いじゃなかった。フィリアは、バルク兄さんに色々優しくしてもらったからそれで好きだったみたいね」
ハルトは思った。
優しいとか関係なく、単純にフィリアの好意だったのだろうと。
そして、ハルトの考えていることを察してか、ラフィーナが答える。
ハルトの考えは間違っていなかったようだ。
ハルトの表情を見てラフィーナが笑う。
ハルトの表情の変化に気付いたらしい。
「ラフィーナ姫はバルクさんが転生者だということを、他の王族に言わなかったのは何故?」
ハルトの問いに対し、ラフィーナはすぐに答えた。
まるで、聞かれると思って用意していたかのように即答する。
ハルトはそれを不思議に思う。
だが、彼女は続けてこう言った。
「転生者は元の世界から転生した時、特殊な能力を授かるそうね。それは魔王を脅かすくらいの。だから、バルク兄さんが転生者だと言わない方がいいと思った」
「おはようございます」
「はい」
ハルトは挨拶を返す。
「ハルト。この後、少しよろしいですか」
「えっ」
「私の部屋に来て頂けますか」
「……」
「お願いします」
「わかりました」
ハルトは了承した。
集合の時間まで少しある。
ルミナスの視線が少し痛いが。
ラフィーナがハルトのことに気付き始めているというのも気になる。
話を聞いてみたい。
◆
ラフィーナは自室に戻ると、ソファーに腰を下ろす。
そして、ハルトが部屋に入ってくると向かい合うように座るように促す。
ハルトが座り、ラフィーナも対面するように座ったところで彼女が口を開く。
「まずはハルト。あなたは一体何者なのでしょうか」
「俺は……救世主。そして、あなたがかぎ分けた様に転生者です」
「やっぱり」
「はい」
「昨日、あなたのステータスを覗かせてもらいました」
どうやらラフィーナは人のステータスが覗けるスキル『盗見』まで身に付けていた。
これがハルトを救世主と見定めた秘密の様だ。
「驚かないのですか? ラフィーナ姫」
「えぇ。転生者に憧れています。その憧れが私の能力を開花させている」
「……」
バルクの言った通り。
ラフィーナは転生者を探していた。
ということは、バルクのことも……
「バルク兄さんのことも転生者だと気付いていました」
「なるほど」
ガーレット王国には、ラフィーナ、フィリアの他に、三人の王子、そして、三人の姫がいる。
ファリーナはラインハルホ王国に嫁ぎ、ガーレット王国の者ではなくなった。
そして、フィリアは今のところガーレット王国から離れている。
残った三人の王子、そして、三人の姫は、今もガーレット王家の者であり、ガーレット国王に従っている。
つまり、ガーレット王家に残った王族は皆、魔王に従っていることになる。
「フィリアと私以外の弟妹たちはバルク兄さんを嫌っていたけど、私は兄さんが転生者だと気付いていたから嫌いじゃなかった。フィリアは、バルク兄さんに色々優しくしてもらったからそれで好きだったみたいね」
ハルトは思った。
優しいとか関係なく、単純にフィリアの好意だったのだろうと。
そして、ハルトの考えていることを察してか、ラフィーナが答える。
ハルトの考えは間違っていなかったようだ。
ハルトの表情を見てラフィーナが笑う。
ハルトの表情の変化に気付いたらしい。
「ラフィーナ姫はバルクさんが転生者だということを、他の王族に言わなかったのは何故?」
ハルトの問いに対し、ラフィーナはすぐに答えた。
まるで、聞かれると思って用意していたかのように即答する。
ハルトはそれを不思議に思う。
だが、彼女は続けてこう言った。
「転生者は元の世界から転生した時、特殊な能力を授かるそうね。それは魔王を脅かすくらいの。だから、バルク兄さんが転生者だと言わない方がいいと思った」
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