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第63話 二度目

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「それでドラゴンテイルズに加入したんだね」
「はい」

力を付けるため、ハルトは8歳にして、パーティに入った。
一人じゃ強くなれない。
仲間がいれば共に戦い強くなれる。
それが幼いハルトの精いっぱいの応えだった。

それがドラゴンテイルズだった。

たまたま人を募集していた。

そこでの扱いは酷く、それはバルクにこの場で全て話すには時間が足りないほど。
彼はパーティのために必死で働いた。
だが、学校にも行けず、およそ常識的なことを学ぶことは出来なかった。
シスターが生きていれば、ジョブ認定や、スキル鑑定、教養、などについて学ぶことも出来たはずだった。
そのことを知らないまま育ったため彼は、それが普通、つまり自分は生まれながらにノージョブだと思った。
だから、ジークフリートがハルトのことを出来損ないと言って、雑用ばかり便利にさせ、足蹴にしたが彼は仕方ないと思っていた。

だって、俺は無能。
ノージョブだから。

それでも、シスターとの約束のため、ハルトは歯を食いしばった。
8歳から10歳までの2年間。
ハルトはパーティの荷物持ちとしてこき使われた。



「おっと、話に夢中だったね。早く寝よう。明日のために。続きはまた……」

バルクにそう言われるハルト。

「はい。でももう少し夜風に当たりたいです」
「そっか。私は戻るよ」

背を向けて階段の方に行くバルク。

「おっと、君と私は転生者だが、それでも大きく違う点が一つある」

立ち止まってそう言った後、振り向かずに続けるバルク。

「それは、二度目かどうか」
「……?」
「また詳しく話すよ。じゃあ、おやすみ」

ハルトの返事を待たずにバルクは去って行った。
ハルトは一人になった。

(二度目?)

ハルトは意味がわからなかった。
ただ、バルクの背中を見て思う。
この人は信用出来るかもしれないと。
ハルトはそれからしばらく一人で星空を見上げていた。



翌朝。
城の食堂で朝食を取る一行。
ハルトも一緒に食べる。
メニューはパンとスープ。それとサラダ。
質素だが、味は悪くはない。
ハルトは黙々と食べた。
そして、食べ終わるとすぐに席を立った。

「ごちそうさまでした」

そう言うと、ハルトは食器を返却口に返しに行った。
すると、背後に気配を感じる。
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