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第46話 迫真の
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「何だ貴様らは!?」
バルクとフィリアのボロボロの服を見て声を上げる。
妖しさ満点の二人。
だが、
「お前達、この方を誰だと思っている!」
バルクが叫ぶ。
フィリアを指差して。
「え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え?え? え?」
あまりの威厳のある声に混乱する兵。
フィリアが凛とした声で、
「私は、ガーレット王国の第一王女、フィリア・ガーレット!そして、ここにいるのはその従者であるハルト様とルミナス様です! 道を開けなさい!」
フードを脱いだフィリア。
その顔は何処までも美しく凛としていた。
ただ、顔に着いた血糊は一体?
「「「「えぇーっ!」」」
驚きの声が上がる。
「まさか、本物の姫様だとは……」
一人の兵が膝をつき、頭を下げた。
他の兵士達も同様に、一斉に膝をつく。
どうやらフィリアの顔はラインハルホ王国に知れ渡っている様だ。
「だが、フィリア姫と言えども、約束無しでここを通す訳には行きません。そんな予定があるとは私達、聞いておりませんで」
兵の一人が言う。
一筋縄ではいかない。
確かにそうだ。
「この血とボロボロの服が何を意味するか分からんのか!」
バルクが声を荒げる。
「え?……」
じっと見る兵士。
「うっ……ううっ……」
突然泣き出すフィリア。
「姫様! 泣いても通すことは出来ません」
フィリアの様子を見た兵達が動揺し始める。
「もういい! 泣いているフィリア姫を見て、お前達、分からんのか?」
そう言って、バルクは剣を抜き、鞘を投げ捨てる。
「私が相手になる! 埒があかん! お前らを切り伏せてでもラインハルホ国王に、我が国の状況を伝える」
剣を構えたバルク。
普段の優しい表情はどこへやら。
「ちょ、ちょっと待ってください」
慌てる兵士達。
「どうしたんですか!?」
兵士達もやっとバルクの話を聞こうとする。
「うむ。今、ガーレット王国は大変なことになっている。国王が魔王に心酔し、乱心召された。私とフィリアは抵抗の末、攻撃され、このような姿に」
ハルトは目を丸くした。
なるほど。
血糊やボロボロの服は、攻撃されたことを演出するため。
いくら口でガーレット国王が魔王に加担していることを言っても信頼してもらえない。
証拠がない。
そう考えたバルクの作戦だった。
「なんと!」
兵士達は驚く。
「そこでだ。私達はラインハルホ国王に面会したいのだ」
バルクは真剣な眼差しで言う。
「分かりました。とりあえず、城の中に入りましょう」
そう言うと、兵士達は門を開けた。
「ありがとうございます」
フィリアが礼を言う。
「いえ、我々もこんなこと初めてで、混乱しております」
そして、バルクとフィリアは城内に入って行った。
ハルト達もそれに続いて中に入る。
バルクとフィリアのボロボロの服を見て声を上げる。
妖しさ満点の二人。
だが、
「お前達、この方を誰だと思っている!」
バルクが叫ぶ。
フィリアを指差して。
「え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え? え?え? え?」
あまりの威厳のある声に混乱する兵。
フィリアが凛とした声で、
「私は、ガーレット王国の第一王女、フィリア・ガーレット!そして、ここにいるのはその従者であるハルト様とルミナス様です! 道を開けなさい!」
フードを脱いだフィリア。
その顔は何処までも美しく凛としていた。
ただ、顔に着いた血糊は一体?
「「「「えぇーっ!」」」
驚きの声が上がる。
「まさか、本物の姫様だとは……」
一人の兵が膝をつき、頭を下げた。
他の兵士達も同様に、一斉に膝をつく。
どうやらフィリアの顔はラインハルホ王国に知れ渡っている様だ。
「だが、フィリア姫と言えども、約束無しでここを通す訳には行きません。そんな予定があるとは私達、聞いておりませんで」
兵の一人が言う。
一筋縄ではいかない。
確かにそうだ。
「この血とボロボロの服が何を意味するか分からんのか!」
バルクが声を荒げる。
「え?……」
じっと見る兵士。
「うっ……ううっ……」
突然泣き出すフィリア。
「姫様! 泣いても通すことは出来ません」
フィリアの様子を見た兵達が動揺し始める。
「もういい! 泣いているフィリア姫を見て、お前達、分からんのか?」
そう言って、バルクは剣を抜き、鞘を投げ捨てる。
「私が相手になる! 埒があかん! お前らを切り伏せてでもラインハルホ国王に、我が国の状況を伝える」
剣を構えたバルク。
普段の優しい表情はどこへやら。
「ちょ、ちょっと待ってください」
慌てる兵士達。
「どうしたんですか!?」
兵士達もやっとバルクの話を聞こうとする。
「うむ。今、ガーレット王国は大変なことになっている。国王が魔王に心酔し、乱心召された。私とフィリアは抵抗の末、攻撃され、このような姿に」
ハルトは目を丸くした。
なるほど。
血糊やボロボロの服は、攻撃されたことを演出するため。
いくら口でガーレット国王が魔王に加担していることを言っても信頼してもらえない。
証拠がない。
そう考えたバルクの作戦だった。
「なんと!」
兵士達は驚く。
「そこでだ。私達はラインハルホ国王に面会したいのだ」
バルクは真剣な眼差しで言う。
「分かりました。とりあえず、城の中に入りましょう」
そう言うと、兵士達は門を開けた。
「ありがとうございます」
フィリアが礼を言う。
「いえ、我々もこんなこと初めてで、混乱しております」
そして、バルクとフィリアは城内に入って行った。
ハルト達もそれに続いて中に入る。
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