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第33話 全てを破壊できる力
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「バルク兄さん。やっぱり野営は危険です。古の魔王が復活したことでモンスターが増えて凶暴化しています」
フィリアの助言。
「うん。このまま夜通し歩いて港町マドニアまでいったほうがいいな。皆、寝なくても大丈夫か?」
頷くルミナスとフィリア。
ハルトはしんどかったが、少数派になりたくないので従う。
「じゃ、行こう」
前を向いて歩きだした。
「ごめん、忘れ物取ってくる」
ルミナスだけ引き返す。
彼女はオーガに刺さった矢を取り戻そうと思ったのだ。
鉄の矢は高価だ。
無駄にしたくない。
矢に手を掛けた時……
オーガが動いた。
生きていた。
額に矢が突き刺さったまま。
「ひっ!」
悲鳴をあげるルミナス。
オーガは棍棒の様な腕を振り上げる。
「危ない!」
ハルトは叫ぶ。
だが皆、ルミナスから遠い。
間に合わない。
「キャア!」
棍棒の様な腕は振り下ろされる。
その瞬間、ルミナスは目を閉じた。
「あれ?」
痛みが襲ってこないことに疑問を感じ、目を開ける。
オーガの腕が彼女の頭上で止まっている。
その腕は、棍棒のようではなく、白い木の棒の様だった。
「えっ!?」
ルミナスは驚いて、声を上げる。
オーガの身体は白骨化していた。
性格には全身が焼けて煙が出て、骨だけになっていた。
オーガの体は徐々に崩れていく。
まるで砂の様にサラサラと風に乗って消えていった。
「ハルト!?」
ハルトの方を見るルミナス。
彼は右手を突き出したままルミナスを見る。
その手の平から炎の残滓と煙が。
「ハルト! 助けてくれたのね!」
嬉しさに笑顔になるルミナス。
「ああ……」
ハルトは自分の力に驚く。
魔法を使った。
「ありがとう!」
ルミナスは満面の笑みを浮かべる。
ハルトはその笑顔に見惚れてしまう。
が、同時に自分の力にもうっとりする。
「……」
「どうしたの?」
黙り込んだハルトを心配したのか、ルミナスが声を掛ける。
「いや、何でも無いよ」
(これは……この力は……)
そして、ハルトは、自分の力に恐怖する。
何ものも破壊出来るであろうその力を持つ、その存在に。
ルミナスを守りたい、その気持ち。
力を守りたい人のためだけに使いたい。
だが、それを自分は守ることが出来るのか。
フィリアの助言。
「うん。このまま夜通し歩いて港町マドニアまでいったほうがいいな。皆、寝なくても大丈夫か?」
頷くルミナスとフィリア。
ハルトはしんどかったが、少数派になりたくないので従う。
「じゃ、行こう」
前を向いて歩きだした。
「ごめん、忘れ物取ってくる」
ルミナスだけ引き返す。
彼女はオーガに刺さった矢を取り戻そうと思ったのだ。
鉄の矢は高価だ。
無駄にしたくない。
矢に手を掛けた時……
オーガが動いた。
生きていた。
額に矢が突き刺さったまま。
「ひっ!」
悲鳴をあげるルミナス。
オーガは棍棒の様な腕を振り上げる。
「危ない!」
ハルトは叫ぶ。
だが皆、ルミナスから遠い。
間に合わない。
「キャア!」
棍棒の様な腕は振り下ろされる。
その瞬間、ルミナスは目を閉じた。
「あれ?」
痛みが襲ってこないことに疑問を感じ、目を開ける。
オーガの腕が彼女の頭上で止まっている。
その腕は、棍棒のようではなく、白い木の棒の様だった。
「えっ!?」
ルミナスは驚いて、声を上げる。
オーガの身体は白骨化していた。
性格には全身が焼けて煙が出て、骨だけになっていた。
オーガの体は徐々に崩れていく。
まるで砂の様にサラサラと風に乗って消えていった。
「ハルト!?」
ハルトの方を見るルミナス。
彼は右手を突き出したままルミナスを見る。
その手の平から炎の残滓と煙が。
「ハルト! 助けてくれたのね!」
嬉しさに笑顔になるルミナス。
「ああ……」
ハルトは自分の力に驚く。
魔法を使った。
「ありがとう!」
ルミナスは満面の笑みを浮かべる。
ハルトはその笑顔に見惚れてしまう。
が、同時に自分の力にもうっとりする。
「……」
「どうしたの?」
黙り込んだハルトを心配したのか、ルミナスが声を掛ける。
「いや、何でも無いよ」
(これは……この力は……)
そして、ハルトは、自分の力に恐怖する。
何ものも破壊出来るであろうその力を持つ、その存在に。
ルミナスを守りたい、その気持ち。
力を守りたい人のためだけに使いたい。
だが、それを自分は守ることが出来るのか。
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