パーティから追放されたのは神に選ばれし救世主だった。~チートスキルで元のパーティを見返し、全知全能の冒険者になってやる!~

yonechanish

文字の大きさ
上 下
29 / 136

第29話 旅立ちの前に

しおりを挟む
「ラインハルホ王国へ行こうと思う」

良く晴れた朝。
宿屋を後にしたバルクは唐突に言い出す。

「え?」

ラインハルホ王国へ行くと言ったのか?

「えっと……」

聞き間違いかと思ったが……。

「どうした? ハルト君」

首を傾げるバルク。

「いえ、急だなと思って」
「ははは。確かに。ただいつまでもダルムンクの街に留まるのは良くない。ここはガーレット王国の支配下。私とフィリアが見付かるのは時間の問題だ。だとするならば、ここを早く出てラインハルホ王国に行く」
「ラインハルホ王国はガーレット王国と同盟関係なの。今度の父上の暴走をまずラインハルホ国王に伝えるんです。そして力を貸してもらうべき」

フィリアも説明に加わる。
ハルトは頷いた。
バルクが満足そうに先頭に立つ。

「よし。出発しよう」
「はい」

バルク、ハルト、フィリアはダルムンクの街を出る。

街を出た直後。

「ハルト!」

と、呼び止められた。
振り返ると、そこには美しい少女が立っていた。
尖った耳がチャーミングだ。

「ルミナス……」

ルミナスは泣きそうな顔でこちらを見つめていた。

「……やっと会えた」
「久しぶりだね」

ハルトは優しく微笑む。

「何で?何で何も言わずにいなくなったの?」
「それは……」
「答えて!」
「ごめん」
「謝ってほしいんじゃない。私に一言あってもいいじゃない」
「……」

二人のやり取りをバルクがニコニコと見ている。

「ハルト君。彼女の気持ち分かってやんなさいよ」

まるで子供を諭す様にバルクが言う。

「はい?」

意味が分からないハルトは困惑気味。

「ルミナスちゃん。ちょっと、こっちに来ようか?」

と、言ってバルクはルミナスの手を引く。
そして、そのままどこかに連れて行ってしまった。

「え?」

何が起こったのか分からず、ハルトはポカンとする。
すると、しばらくして二人が戻って来た。

「もういいわ。ハルトなんか大っ嫌い!」

ルミナスが言う。

「あの……ルミナス」
「じゃあね」

ハルトの言葉を遮り、ルミナスは立ち去ろうとする。

「ははは。ハルト君。僕達はルミナスと旅をするよ。君とはここでお別れだ」

バルクが言う。

「は? え?」
「さようなら」
「ちょ、ちょっと!」

ハルトの声を無視して二人は去って行った。

「なんなんだよ!」

ハルトは叫ぶ。

「ハルトさん」

フィリアが戻って来てハルトに声をかける。

「もう。この色男。モテモテですね。ルミナスさんとどういう関係か知らないけど、ルミナスさんはハルトの事好きなんですよ。だから追い掛けて来た」
「え?」
「でも、私は知ってますから。ハルトさんの本命は誰なのか」
「そ、そんなことより!何なの!?」

フィリアの発言はスルーして、ハルトは声を上げる。

「何って言われても、見ての通りですよ」

フィリアは苦笑する。

「置き去りにされて、ルミナスさんお気持ちが少しわかったでしょ。ハルトさん」
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...