パーティから追放された雑用係、ガチャで『商才』に目覚め、金の力で『カンストメンバー』を雇って元パーティに復讐します!

yonechanish

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魔法使いの国編

第48話 女子高生 in 異世界

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 目の前の少女、ハヤカワ・サオリはニホンのシブヤというところから転生して来たらしい。
 元の世界に戻れないと悟ると、泣きじゃくった。

「なら、慶太君をここに召喚して!」

 ジェニ姫にすがりついた。

「ごめんなさい。私達の都合で召喚してしまって」

 ジェニ姫はサオリの頭を撫でた。

「ジェニ姫、サオリさん、こうなったら召喚魔法使いを探しましょう!」

 僕らはギルドに向かった。


「うわー、凄い! 本当に武器屋とかある! あ、あれ兵士? 槍、太っ! すごい! モンスターは? モンスター見たい!」

 当初、彼女はこの世界の有様に驚き怯えていたが、時間が経つにつれ適応し始めていた。
 一緒に街を歩きながら、彼女は色んなものに興味を示していた。

「私、本当に、異世界に転生したんだね!」

 そう言いうと、街の人に話し掛け始めた。

「おっ! 毎回違うセリフを言うわ! NPCじゃない。……ってことはゲームの世界でもないってことね!」

 ジェニ姫も僕も彼女のテンションの変わりように呆れていた。

「あの娘、さっきから何言ってるの? NPCとか異世界とか」
「分かんないです。けど、立ち直ったみたいでいいじゃないですか」
「ねー、ねー。私、早くギルドに行きたい!」

 サオリは僕の袖を掴むと、思いっきり引っ張った。


「わー! すげー! 魔法使いとか戦士がいっぱいいる! ラノベで読んだのと同じだぁ!」

 サオリは目を輝かせた。
 どうやら彼女は、転生前の世界においてラノベという読みものを通して、こういう世界に憧れを抱いていたらしい。
 
「ねー、ねー、召喚魔法使いさんいませんかー?」

 サオリは大声で叫ぶ。
 当初の目的は忘れていないようだ。
 だが、このギルドに望む人材はいなかった。


 僕らは途方に暮れ、校舎に戻った。
 校舎は僕とジェニ姫の宿代わりだった。
 そこにサオリも泊まってもらう。

「ちょっと水浴びしてくるよ」

 二人を残して、僕は近所の湖に向かった。


「う~、冷たっ!」

 熱いこの国で冷え冷えの湖は、気持ちいい。
 一日の疲れが取れる。

「それにしても……」

 僕は自分の左胸を見た。
 朱色の二桁の数字が刺青の様に刻まれている。

『25』

 僕の命は残り25日。
 それまでにルビーに魔法を解いてもらわなければ。

「こんなの私が解いてあげるわよ」

 ジェニ姫が嬉しいことを言ってくれた。
 だけど、彼女の魔法でも解くことは出来なかった。

「かなり強力な魔法が掛けられてるわ。ルビーの実力がこれほどまでとは思わなかった。敵ながらあっぱれね」

 ジェニ姫は匙を投げた。
 僕は途方に暮れた。


 校舎に戻ると、暗がりから光る6つの目玉が僕を見据えた。

「うわあああ!」

 僕は後ろに飛びのき、尻餅をつく。

「あははは! 驚いた!」

 ろうそくの火がともり、ジェニ姫とサオリ、そして化け物の姿が映し出される。
 化け物は三つの首を持つ犬だ。

 ケルベロス?

 僕は一瞬そう思った。

 だけど小型だし、クゥーンと可愛い鳴き声を上げている。
 三つの顔も良く見ると、小ぶりな柴犬といった感じでとても可愛らしい。

「こ、これは……」

 驚く僕に、ジェニ姫がこう言った。

「凄いでしょ。彼女、召喚魔法が使えるみたいよ。素質もありそう」

 子ケルベロスが、サオリになついている。

つづく
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