38 / 112
僧侶の国編
第38話 僕ウイルスはこうして出来ました。
しおりを挟む
どうすればいいか悩んでいた。
最上級の治癒魔法使いがいれば……。
ある日、ギルドに行った。
僕の望んでいた人がいた。
そこに……まるで用意されたかのように。
「彼女の名はミナージュ。見て。このステータス」
ギルドマスターであるフィナが僕にミナージュのステータスを見せてくれた。
フィナはあのサチエの友達だった。
だから、サチエは自家製の能力測定器を持っていた。
ミナージュ(20歳)
Lv.5010
スキル :治癒魔法(最上級)
攻撃力 : 1
防御力 : 50
HP : 300
MP : 9999
素早さ :570
知力 : 7950
運 : 1445
「ミナージュさん。はじめまして」
「ん」
昼間っから、ギルドの隅っこでビールを飲んでいるミナージュは僕の声に反応した。
白い肌に白い髪。
スラリとした身体に絹の白装束をまとっている。
大きな目に海色の瞳。
鼻筋の通った美人。
いかにも治癒魔法使いと言った風情だった。
「唐突で申し訳ありませんが、僕の話を聞いてください」
僕の計画を彼女に話した。
「分かりました」
彼女は頷くとこう言った。
「治癒魔法をバカにしている輩に復讐する件、お請けしましょう」
「ありがとうございます」
「ただ、私はあくまで治癒魔法使い。その反対となる病気を魔法で作るとしても、それほど強力なものは作れません」
「例えば、どんなものが作れますか?」
「人を殺すほどのものは作れません。せいぜい、風邪を強力にしたもの程度なら……」
彼女はビール片手に淡々と語った。
「その程度で大丈夫です。僕はなるべく死人を出したくない」
「では、用意しておきます。明日、またここで会いましょう」
次の日。
ミナージュは、『病気の元』が入った瓶と、その病気を治癒することが出来る『病気の特効薬』を持って来ていた。
「治癒魔法使いの人は凄いですね。病気を作った上に、セットで薬まで作れるなんて」
魔法の力を込めることで作った病気の元と、『病気の特効薬』。
彼女オリジナルのものだ。
「私より上級の治癒魔法使いでなければ、この病気を治すことは出来ません」
つまり、コブチャではどうすることも出来ないわけだ。
そして、僕は病気の元を街中にばらまいた。
◇◇
ミナージュが望んだ報酬は、999999999999999エンだった。
グルポと同じ額だ。
当然払える額じゃなかった。
だけど、彼女は僕の悩んでる顔を見てこう言った。
「払える時まで待ってます」
そして、彼女は去って行った。
次の日。
「行ってしまうのね」
シヲリが寂しそうな顔でそう言う。
「はい。僕にはやるべきことが沢山あります」
僕は前しか向かない。
「いつか戻って来いよ。その時は、なっ、シヲリ」
「もう、お兄ちゃんったら」
顔を赤くしたシヲリがマツヲの肩をパンチした。
「ところで次はどこに行くんだ」
「西の国」
魔法使いルビーが治める国。
なんだか、呼ばれているような気がするんだ。
「じゃ」
僧侶の国編 おわり
最上級の治癒魔法使いがいれば……。
ある日、ギルドに行った。
僕の望んでいた人がいた。
そこに……まるで用意されたかのように。
「彼女の名はミナージュ。見て。このステータス」
ギルドマスターであるフィナが僕にミナージュのステータスを見せてくれた。
フィナはあのサチエの友達だった。
だから、サチエは自家製の能力測定器を持っていた。
ミナージュ(20歳)
Lv.5010
スキル :治癒魔法(最上級)
攻撃力 : 1
防御力 : 50
HP : 300
MP : 9999
素早さ :570
知力 : 7950
運 : 1445
「ミナージュさん。はじめまして」
「ん」
昼間っから、ギルドの隅っこでビールを飲んでいるミナージュは僕の声に反応した。
白い肌に白い髪。
スラリとした身体に絹の白装束をまとっている。
大きな目に海色の瞳。
鼻筋の通った美人。
いかにも治癒魔法使いと言った風情だった。
「唐突で申し訳ありませんが、僕の話を聞いてください」
僕の計画を彼女に話した。
「分かりました」
彼女は頷くとこう言った。
「治癒魔法をバカにしている輩に復讐する件、お請けしましょう」
「ありがとうございます」
「ただ、私はあくまで治癒魔法使い。その反対となる病気を魔法で作るとしても、それほど強力なものは作れません」
「例えば、どんなものが作れますか?」
「人を殺すほどのものは作れません。せいぜい、風邪を強力にしたもの程度なら……」
彼女はビール片手に淡々と語った。
「その程度で大丈夫です。僕はなるべく死人を出したくない」
「では、用意しておきます。明日、またここで会いましょう」
次の日。
ミナージュは、『病気の元』が入った瓶と、その病気を治癒することが出来る『病気の特効薬』を持って来ていた。
「治癒魔法使いの人は凄いですね。病気を作った上に、セットで薬まで作れるなんて」
魔法の力を込めることで作った病気の元と、『病気の特効薬』。
彼女オリジナルのものだ。
「私より上級の治癒魔法使いでなければ、この病気を治すことは出来ません」
つまり、コブチャではどうすることも出来ないわけだ。
そして、僕は病気の元を街中にばらまいた。
◇◇
ミナージュが望んだ報酬は、999999999999999エンだった。
グルポと同じ額だ。
当然払える額じゃなかった。
だけど、彼女は僕の悩んでる顔を見てこう言った。
「払える時まで待ってます」
そして、彼女は去って行った。
次の日。
「行ってしまうのね」
シヲリが寂しそうな顔でそう言う。
「はい。僕にはやるべきことが沢山あります」
僕は前しか向かない。
「いつか戻って来いよ。その時は、なっ、シヲリ」
「もう、お兄ちゃんったら」
顔を赤くしたシヲリがマツヲの肩をパンチした。
「ところで次はどこに行くんだ」
「西の国」
魔法使いルビーが治める国。
なんだか、呼ばれているような気がするんだ。
「じゃ」
僧侶の国編 おわり
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる