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プロローグ

第12話 物件探しと生産計画

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 僕は街に出て物件探しを始めた。
 タピオカミルクティー屋にピッタリの店探しだ。
 街は賑やかで沢山の商店が軒を連ねている。

「おや?」

 それまで気付かなかったけど、街のいたるところに見覚えのある顔がある。
 その顔は店の看板に目印の様に描かれていたり、
 壁に絵として描かれていたり、
 銅像もある。

『タケル』

 そうだ。
 これ、僕をイジメてた戦士タケルの顔だ。
 そうか、ここはタケルが治めている国なんだな。
 ......ってことは、ここは東の国か。

「この人はここの統治者です」

 街の人Aに訊くとそんな答えが返って来た。
 なるほど、力馬鹿のタケルらしいや。
 自分の存在をアピールするために街中に自分の顔を掲げるとはね。
 彼のイカツイ顔に睨まれると国民も怖くて彼に従うだろう。

「おっ」

 丁度いい場所発見!
 そこは空き家になっていて、畳3畳ほどの広さだった。
 タピオカミルクティー屋に大きな店舗はいらない。
 だって、特別な機材もいらないし、作るのも簡単だからスタッフもいらない。
 タピオカとミルクティーが置けて、僕が立って売る場所さえあればいい。
 
『この場所を借りたい人は、ギルドに来い。 サチエ』

 サチエって人がこの場所の管理人かなあ。
 とりあえず、この街のギルドに行って見よう。
 どんな冒険者がいるのか見てみたいしね。

 ギルドに着いた。

「いらっしゃい!」

 受付のお姉さんが僕を出迎えてくれた。
 中は酒場っぽい。
 そこで何人かの冒険者たちが、飲み物片手に情報交換してるって感じ。

「サチエさんっていますか?」
「私ですよ」
「あっ、そうでしたか」

 受付のお姉さんがサチエさんでしたか。

「あっ、早速なんですが......街にあった空き店舗を僕に譲ってくれませんか?」
「ああ、あそこですね。いいですよ。家賃は月1万エン。敷金礼金は10万エンです」

 あっ、お金が足りないや。
 『スライムの欠片』は売りたくないしなあ。

「僕の商売は絶対成功するので、敷金礼金は後払いでいいですか? その代わり20万エン払いますから」
「え?」

 やっぱダメかなあ。
 ええい、先手必勝だ!

「ちょっと、待っててください!」

 数分後、僕はダッシュでギルドに戻って来た。

「これ、飲んでみてください」

 サチエが恐る恐るタピオカミルクティーに口を付けた。

「う、うまい!」
「でしょ?」

 僕はサチエに商売のことを説明した。

「面白そうね」
「でしょ?」
「でも、人に沢山売るってことは沢山タピオカがいるってことでしょ? それ、君一人でどうやって仕入れるの?」
「あっ......」

 僕一人じゃ大量生産、出来ない。
 そうだ、誰か雇おう!

「すいませーん! 僕のためにタピオカ集めて来てくれる人いませんかー!」

 僕は昔は恥ずかしがり屋だったけど、今は違う。
 復讐のために積極的に頑張るんだ。
 何人かの冒険者が僕の方を見た。

「ちょっと、あなた。勝手にここで仕事の依頼をしないで」
「あ、すいません」
「ここで冒険者に仕事を依頼するなら、私を通しなさい」
「はい」

 サチエの話によると、タケルが治める東の国にはギルドが10個ほどあるらしい。
 ギルドに冒険者登録した者に仕事を依頼したい場合、ギルド管理者(このギルドではサチエ)に許可を受けなければならない。

 ・仕事内容:タピオカ集め
 ・報酬:5万エン
 ・期限:明日中

 僕は申請書にそう書いて、サチエに提出した。

「じゃ、手数料5000エンいただきます」
「え? お金取るんですか?」
「あたりまえでしょ。こっちだって冒険者の手配とか広告代が掛かるんだから」
「そうですか......」

 僕が渋々、金を出そうとすると

「ま、いいわ。さっきタピオカミルクティーごちそうになったし」

つづく
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