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プロローグ
第9話 最強のスキルとは一体何を指すのか
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僕の頭の中に閃光が走った。
「完了じゃ!」
ディオ王はかざしていた手をそぉっと下げた。
「僕は……、一体、何のギフトに目覚めたのでしょうか?」
「ふむ。見てみよう」
ディオ王は詠唱した。
「能力監視《キャパシティーモニター》」
僕の目の前に文字が現れた。
Lv.13
スキル :なし
攻撃力 : 10
HP : 50
MP : 0
素早さ :100
知力 : 20
運 : 1
これが僕の今のステータス。
あれ?
賢者マリクに見てもらった時とあんまり変わらないような……。
「あっ!」
運が『0』から『1』に上がっている!
……って、『1』かよっ!
僕の『ギフト』は運のパラメータが『1』上がるだけのものだった。
「うっ、ううっ……」
気付いたら泣いていた。
これからカンスト勇者に復讐をしようというのに、このステータスでどう立ち向かえというのか。
「ケンタよ。泣くな。これはお前に与えられた試練なのだ」
ディオ王が慰めてくれた。
だけど、涙が止まらない。
「お前にはまだ、この『ガチャ』というチャンスがあるではないか」
ディオ王の手のひらで光る『ガチャ』。
僕に「さあ、引いてくれ」と言わんばかりに眩く輝いている。
「分かりました」
僕はガチャの小さな取っ手を人差し指と親指でつまんだ。
もう、どうにでもなれ!
えいやっ!
ぐるりと回す。
ガッシャ、ポン!
排出口から丸いカプセルが転がり落ちて来た。
ディオ王の手のひらから落ちそうになったそれを、拾い上げる。
「開けてみよ」
初めて見るカプセルを僕は恐る恐る開けた。
二つに分かれたカプセルから光があふれだす。
薄暗い秘密基地が白い光に包まれる。
……何が起きたんだろう?
僕は我に返ると、自分の身体を見渡した。
特に変化はない。
「くっそ! また大した変化も無いのか!」
僕は地面を、思いっきり踏んづけた。
「いや、ちょっと待て!」
ディオ王がヤケクソ気味の僕をたしなめる。
「能力監視《キャパシティーモニター》」
Lv.13
スキル :商才
攻撃力 : 10
HP : 50
MP : 0
素早さ :100
知力 : 20
運 : 1
「スキル、『商才』……」
僕は浮かび上がったステータスを見て、そう呟いていた。
そんなものが何の役に立つのか。
グランを倒すなら、
強力な魔法が使えるようになるとか、
強力な召喚獣が呼べるようになるとか、
異空間を作り出せる能力とか、
レア装備を見つけ出す能力とか、
そんなのじゃないと、復讐出来ないだろ!
「僕っ……、ぼくはっ……」
悔しくて、また涙が出て来た。
「いやいや、ちょっと待てよ。ケンタ。これは考えようによっては最強のスキルじゃぞ」
「慰められても嬉しくありません」
「慰めではない。本当のことじゃ。つまり、この世は力よりも金を持つ者が最強なのじゃ」
「どういうことですか?」
僕には意味が分からなかった。
金などいくら手にしたところで、グランを倒す力にはならない。
「金さえあれば、何でも買える。グランを倒すほどの戦力だってな」
「え?」
それまでの僕には全く無い発想だった。
自分の力ではなく、人の力を使う。
金の力で、それを手に入れる。
「お前のその『商才』は、金を稼げるスキルなのじゃ」
つづく
「完了じゃ!」
ディオ王はかざしていた手をそぉっと下げた。
「僕は……、一体、何のギフトに目覚めたのでしょうか?」
「ふむ。見てみよう」
ディオ王は詠唱した。
「能力監視《キャパシティーモニター》」
僕の目の前に文字が現れた。
Lv.13
スキル :なし
攻撃力 : 10
HP : 50
MP : 0
素早さ :100
知力 : 20
運 : 1
これが僕の今のステータス。
あれ?
賢者マリクに見てもらった時とあんまり変わらないような……。
「あっ!」
運が『0』から『1』に上がっている!
……って、『1』かよっ!
僕の『ギフト』は運のパラメータが『1』上がるだけのものだった。
「うっ、ううっ……」
気付いたら泣いていた。
これからカンスト勇者に復讐をしようというのに、このステータスでどう立ち向かえというのか。
「ケンタよ。泣くな。これはお前に与えられた試練なのだ」
ディオ王が慰めてくれた。
だけど、涙が止まらない。
「お前にはまだ、この『ガチャ』というチャンスがあるではないか」
ディオ王の手のひらで光る『ガチャ』。
僕に「さあ、引いてくれ」と言わんばかりに眩く輝いている。
「分かりました」
僕はガチャの小さな取っ手を人差し指と親指でつまんだ。
もう、どうにでもなれ!
えいやっ!
ぐるりと回す。
ガッシャ、ポン!
排出口から丸いカプセルが転がり落ちて来た。
ディオ王の手のひらから落ちそうになったそれを、拾い上げる。
「開けてみよ」
初めて見るカプセルを僕は恐る恐る開けた。
二つに分かれたカプセルから光があふれだす。
薄暗い秘密基地が白い光に包まれる。
……何が起きたんだろう?
僕は我に返ると、自分の身体を見渡した。
特に変化はない。
「くっそ! また大した変化も無いのか!」
僕は地面を、思いっきり踏んづけた。
「いや、ちょっと待て!」
ディオ王がヤケクソ気味の僕をたしなめる。
「能力監視《キャパシティーモニター》」
Lv.13
スキル :商才
攻撃力 : 10
HP : 50
MP : 0
素早さ :100
知力 : 20
運 : 1
「スキル、『商才』……」
僕は浮かび上がったステータスを見て、そう呟いていた。
そんなものが何の役に立つのか。
グランを倒すなら、
強力な魔法が使えるようになるとか、
強力な召喚獣が呼べるようになるとか、
異空間を作り出せる能力とか、
レア装備を見つけ出す能力とか、
そんなのじゃないと、復讐出来ないだろ!
「僕っ……、ぼくはっ……」
悔しくて、また涙が出て来た。
「いやいや、ちょっと待てよ。ケンタ。これは考えようによっては最強のスキルじゃぞ」
「慰められても嬉しくありません」
「慰めではない。本当のことじゃ。つまり、この世は力よりも金を持つ者が最強なのじゃ」
「どういうことですか?」
僕には意味が分からなかった。
金などいくら手にしたところで、グランを倒す力にはならない。
「金さえあれば、何でも買える。グランを倒すほどの戦力だってな」
「え?」
それまでの僕には全く無い発想だった。
自分の力ではなく、人の力を使う。
金の力で、それを手に入れる。
「お前のその『商才』は、金を稼げるスキルなのじゃ」
つづく
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