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プロローグ
第7話 このタイミングで『ガチャ』登場
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ディオ王と僕は森の中を歩いた。
数分間歩いたかな。
急に視界が開け、そこに綺麗な湖が現れた。
「下がっておれ」
ディオ王は湖面に手をかざした。
「自然摂理捻転《ナチュラルツイスト》」
その手から光が放たれた。
僕の顔に水しぶきが降りかかる。
思わず目を閉じちゃった。
その内、しぶきが落ち着いて来たから、ゆっくり目を開けてみた。
なんと、湖の水が真っ二つに割れている。
高さ三メートルくらいの水の壁が二枚出来ていた。
その間を土の道が続く。
「ディオ王様! すごいです!」
「ふぉふぉふぉ。ついて来い」
湖の淵からディオ王はゆっくりと、斜面に沿って降りて行った。
その後に僕も続く。
丁度、湖の真ん中あたりに来た。
地面に鉄の扉がある。
「開けるのじゃ」
「はい」
僕は素直に言うことを聞くことにした。
ハッキリ言って中に何があるのか分からない。
だけど、今はこの人を信頼するしかない。
中はタイマツで照らされていて、うっすらと明るい。
急な石の階段で下まで降りられるようになっていた。
「閉めるのじゃ」
「はい」
僕は内側から扉を閉めた。
すると、上の方でザザザザと水の流れる音がする。
恐らく、湖の水がこの鉄の扉を覆い隠しているのだろう。
「おおっ!」
僕は驚いた。
まさか親衛隊も湖の底に部屋があるなんて思いもしないだろう。
ディオ王曰く、元々ここは島の隅に追いやられた原住民たちの食糧貯蔵場所だったそうだ。
「ここの島の長とわしは旧知の仲でな。島流しにされたわしに色々と協力してくれるのじゃ」
ここは空の下に晒されていたが、島の長とディオ王とで湖の下に隠すことに決めたそうだ。
「まさに秘密基地じゃ」
原住民とディオ王が秘密の打ち合わせをする時に使う場所。
そこに今、僕は足を踏み入れた。
階段を降りると、そこは縦横10メートルほどの広場だった。
ディオ王は広場の真ん中まで行くと、立ち止まり振り返った。
「ケンタよ」
「はい」
「さっきの言葉。本当じゃな」
「はい」
僕は大きく頷いた。
復讐。
そして、マリナを救うこと。
それこそが僕の生きる希望だった。
「ではそなたに『ギフト』と『スキル』を与えよう」
子供の頃、マリナに教えてもらったことを思い出した。
この世界の人間は、天から何かしらの『ギフト』を与えられる。
ある者は健康な体だったり、
また、ある者は衰えることのない視力だったり、
また、ある者は魅力的な声だったりする。
それは人それぞれで選ぶことは出来ない。
『ギフト』が発現するパターンは二種類ある。
十代の頃、ある日突然目覚めるか、誰かに目覚めさせられるかのどちらかだ。
ちなみに、僕はまだ『ギフト』に目覚めていない。
「ん? ディオ王様。なんで僕が『ギフト』に目覚めていないことを知っているのですか?」
「わしは『ギフト』を目覚めさせるスキルを持っておる。だから、お主がまだ目覚めていないことが分かるのじゃ」
「なるほど」
僕が相槌をうっている間にディオ王はある物を手にしていた。
「こっ、これは!」
僕は生まれて初めて『ガチャ』を見たんだ。
つづく
数分間歩いたかな。
急に視界が開け、そこに綺麗な湖が現れた。
「下がっておれ」
ディオ王は湖面に手をかざした。
「自然摂理捻転《ナチュラルツイスト》」
その手から光が放たれた。
僕の顔に水しぶきが降りかかる。
思わず目を閉じちゃった。
その内、しぶきが落ち着いて来たから、ゆっくり目を開けてみた。
なんと、湖の水が真っ二つに割れている。
高さ三メートルくらいの水の壁が二枚出来ていた。
その間を土の道が続く。
「ディオ王様! すごいです!」
「ふぉふぉふぉ。ついて来い」
湖の淵からディオ王はゆっくりと、斜面に沿って降りて行った。
その後に僕も続く。
丁度、湖の真ん中あたりに来た。
地面に鉄の扉がある。
「開けるのじゃ」
「はい」
僕は素直に言うことを聞くことにした。
ハッキリ言って中に何があるのか分からない。
だけど、今はこの人を信頼するしかない。
中はタイマツで照らされていて、うっすらと明るい。
急な石の階段で下まで降りられるようになっていた。
「閉めるのじゃ」
「はい」
僕は内側から扉を閉めた。
すると、上の方でザザザザと水の流れる音がする。
恐らく、湖の水がこの鉄の扉を覆い隠しているのだろう。
「おおっ!」
僕は驚いた。
まさか親衛隊も湖の底に部屋があるなんて思いもしないだろう。
ディオ王曰く、元々ここは島の隅に追いやられた原住民たちの食糧貯蔵場所だったそうだ。
「ここの島の長とわしは旧知の仲でな。島流しにされたわしに色々と協力してくれるのじゃ」
ここは空の下に晒されていたが、島の長とディオ王とで湖の下に隠すことに決めたそうだ。
「まさに秘密基地じゃ」
原住民とディオ王が秘密の打ち合わせをする時に使う場所。
そこに今、僕は足を踏み入れた。
階段を降りると、そこは縦横10メートルほどの広場だった。
ディオ王は広場の真ん中まで行くと、立ち止まり振り返った。
「ケンタよ」
「はい」
「さっきの言葉。本当じゃな」
「はい」
僕は大きく頷いた。
復讐。
そして、マリナを救うこと。
それこそが僕の生きる希望だった。
「ではそなたに『ギフト』と『スキル』を与えよう」
子供の頃、マリナに教えてもらったことを思い出した。
この世界の人間は、天から何かしらの『ギフト』を与えられる。
ある者は健康な体だったり、
また、ある者は衰えることのない視力だったり、
また、ある者は魅力的な声だったりする。
それは人それぞれで選ぶことは出来ない。
『ギフト』が発現するパターンは二種類ある。
十代の頃、ある日突然目覚めるか、誰かに目覚めさせられるかのどちらかだ。
ちなみに、僕はまだ『ギフト』に目覚めていない。
「ん? ディオ王様。なんで僕が『ギフト』に目覚めていないことを知っているのですか?」
「わしは『ギフト』を目覚めさせるスキルを持っておる。だから、お主がまだ目覚めていないことが分かるのじゃ」
「なるほど」
僕が相槌をうっている間にディオ王はある物を手にしていた。
「こっ、これは!」
僕は生まれて初めて『ガチャ』を見たんだ。
つづく
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