悪役令嬢は最強になりたい

咲良

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第1章 原作が始まる数年前

服屋「ポウェット」

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「四人にお茶会への招待状が届いたよ。」
朝食を食べてる最中にお父様が私たちに告げた。
まさかこんなに早く大っ嫌いな社交界へ出ることになったとは…
でも、四人なら大丈夫かも。ロアいるし。
「わかりました。」
「お茶会はいつですか。」
ロアが口を拭きながら聞いた。
「明日だよ。」
「え、」
私達四人は同じタイミングで目を見開きながらお父様を見た。
「「「「えええええっ!?」」」」
え、明日!?えっ!?
じゃあ今からすぐにドレスを買いに行かなければ!
「サナ」
「何でしょう、お嬢様。」
「今すぐ馬車を用意して。今すぐ!」
「わかりました。」
サナはシュバっと現れて、すぐに消えた。
「お父様、お母様、ちょっと三人で明日用の服を買ってきます!行くよ!」
私は食べ終わった三人の手を引っ張り、サナが馬車を止めている場所へ向かった。
「お姉ちゃん、何でそんなに急いでるの?」
馬車に乗ってすぐにローゼが不思議そうな顔で私の方を見た。
「そりゃあ、だって… みんな用の正装服がないから!」
「「「あ…」」」
よかった。みんな察してくれたみたい。
「これからもうすぐで王国一の服屋さんになる場所へ向かうわよ!」
ここが原作の世界なら、数年後にローゼが見つける福屋さんがあるはず!
「お嬢様、言われたところにつきました。」
馬車のおじさんが外から伝えてくれた。
「ありがとう。数時間で戻ってくるから。」
「わかりました!」
ここか。
服屋「ポウェット」
服を仕立てるスピードと丁寧さは世界一、しかし、誰も知らなかったため、売れなかった、隠し店。
「お姉ちゃん、ここで本当に合ってる?」
「うん。行こう。」
お店の中に入ると、誰もいなかった。
「すみませーん!」
大声で叫んでみると、慌てて一人の女性が奥から出てきた。
「こ、こんにちは!この店に誰かが来るとは思わなくて… 」
猫耳!
やっぱり獣人族で、服仕立ての天才、マリーだ!
「マリー、あなたの腕前は知ってるわ。今日中に、私達四人の服を仕立ててくれる?」
「あ、ありがとうございます。はい。できますよ。しかし、本当にこの店であっていますか?」
今の時代、獣人は差別されてるもんね。
「ええ。この店で作って欲しいの。できるでしょ?お礼に、この店を町有名店にしてあげる!」
「お礼なんて結構ですよ。わかりました。作ってみます。みんなー!お客さんよ!」
マリーさんが店の奥の方へ叫ぶと、ドドドドド、と、たくさんの足音が聞こえた。
「「「「「姉さん!どうしたの?って、お客さんだあ!こんにちは!」」」」」
か、可愛い。
足音の正体は、たくさんの幼い猫獣人だった。
「「「「こんにちは。」」」」
「じゃあ始めますね。お客様の採寸をお願いね。」
「「「「「はーい!」」」」」
す、すごい!早いけど、丁寧。
「お姉ちゃん、本当に今日中に服が仕立てられるのかな?」
セターレが心配そうに聞いてきた。
「大丈夫。ここの人達の腕は世界一だから!」
「わかった!」
採寸が終わった後、私たちはソファーに座り、マリーさんが持ってきてくれたカタログを読んだ。
ロアがセターレが着るのをついでに選び、私はローゼの服をついでに選んだ。
やっぱりローゼは白かな。でも、黄色もいいかも。
私はローゼとお揃いにしようかな。
「ローゼ、私とお揃いでいい?」
「お姉ちゃんと!?やったー!」
私はマリーさんの兄妹と遊んでいるローゼに聞いた。
思ったより喜んでくれた。よかった。
「僕もお揃いがいい!」
「じゃあ僕も。」
え!セターレとロアも?
「いいよ。じゃあ全員空色ね。」
「「「はーい!」」」
みんなでお揃いかあ。
結構面白いかも。
「マリーさん、決まったわ。」
「おお。これですか。わかりました。しかし、この材料が今なくて。」
「その材料の名前は?」
「はい?」
「その材料の名前は?」
「スカイ草です。」
「わかったわ。」
やってみるか。
初めて使う魔法だけど。
創造魔法メイクスカイ草】
呪文を唱えると、私の手の中には溢れ出るほどのスカイ草があった。
「え、ええええっ!?」
うん。そりゃあ驚くよね。
「とりあえず、これで作れる?」
「は、はい。すぐに作ります!」
ふう。誰にも見られてないはず。
セターレとローゼ、ロアも違う方向向いてたもんね。大丈夫。大丈夫。

(((お姉ちゃん(ローザ)、魔法使えたの!?)))
と、内心思ってるセターレ達だった。

「できました!」
数時間後、マリーさん達が奥の部屋から服を持って出てきた。
マネキンに着せられた服は、全部数時間でできたとは思えないくらい綺麗だった。
「お姉ちゃん、こんな店見つけられるなんて、すごいね!」
「やっぱりこのお店来てよかった。ありがとう。マリーさん。」
「そんな滅相もない!」
マリーさん照れてる。
「じゃあ、代金は、これで。」
私は金貨がたくさん入ってる袋を渡した。
「え!?こんなに金貨もらえません! って、いない!?」
私達は服を私のインベントリに急いで入れて、馬車へ戻った。
明日が楽しみだなあ!
私は心中そう思っていたのだった。
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