悪役令嬢は最強になりたい

咲良

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第1章 原作が始まる数年前

ウェルカムトゥーファミリー!

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皇太子殺人未遂事件から二ヶ月が経ち、ロアは剣術の稽古をしながらうちで療養していた。
私はローゼに言葉の発し方を一から教えた。
その甲斐があって、ローゼはちょっとした文なら喋れるようになった。
「おねえ、さま。」
「そうよ!私がお姉ちゃん!二人とも、お姉様は硬すぎるから、私のことはお姉ちゃんか、姉さんって呼んで!」
「お姉様、それは」
「お姉ちゃん。」
「おねえさ、」
「お姉ちゃん。」
「…お姉ちゃん。」
「良い子ね。セターレ。」
よし。これでセターレは私のことをお姉様と呼ぶことは一生ないだろう。
なんかすごい悪いことやってる気がする…
「お、ねえ、ちゃま。」
え、待って、ローゼ可愛すぎる!
今噛んだよね?お姉ちゃまって。
照れてるのも可愛すぎる!
「ローザ、セターレ、ローゼ!良いニュースを持ってきたぞ!」 
私がデレデレしていると、お父様が部屋の中へ入ってきた。
「なにですか?」
セターレだけが反応した。
「ローゼの養子縁組が明日行われることになった!」
「え、」
「「「ええええっ!?」」」
驚きすぎて、みんな一瞬固まった。
私はローゼの手を握り、ぴょんぴょんジャンプした。
「やった!やった!これでやっとローゼと家族になれた!」
「か、ぞく?」
ローゼが首を傾げて聞いた。
「そう!家族!私達は家族になるの!」
私が説明すると、ローゼの顔がパッと明るくなった。
「ずっと、いっしょ?」
「そう。一緒。」
「家族、一緒。」
ローゼはカタコトで小さな口で言うと、急に泣き出した。
「ローゼ!?大丈夫?」
「ローゼ?どうしたの?」
セターレも寄ってきて、私はローゼの肩を持った。
「家族、嬉しい。ずっと、一緒。」
「ローゼは、嬉しくて泣いているんだ。」
お父様が話した。
ローゼはお父様の説明に頷いた。
「ローゼ…」
私はローゼのことをそっと抱きしめた。
「ごめんね。辛かったよね。」
なんかセターレに似てる。
でも、この子の方が辛い過去を背負ってる。
全部は知らないけど、私はローゼを絶対にいじめないと誓った。一生、守ってあげると。

次の日、私達は皇宮へ向かった。
馬車の中はいつもよりかは賑やかだった。
やっと。やっと、あの裏表激しい野郎からローゼを引き離したぞ!
なんだかんだでサイコと私も結婚しなくて済んだし。
「お姉ちゃん、い、きましょ!」
「早く!」
「あ、うん!」
ぼーっとしてたらついたみたい。
私はローゼとセターレに手を引っ張られ、馬車から降りた。
「ローザ、僕のことを置いていかないでください。」
「ごめん、ロア。」
なんか弟が増えたみたい。
私達はお父様とお母様の後を急いで追って、また違う儀式の祭壇がある場所へ向かった。
この国には、儀式をやる教会がないため、全部皇宮でやっている。
でも、教皇とかはいるんだよね。何故か。
養子縁組の紙を真ん中に置いて、お父様が右、ローゼが左に立った。
紙の隣にあるナイフで指を少しだけ切り、二人が血を紙に垂らすと、養子縁組の紙の色が代わり、成立した。
ここまでは原作の養子縁組儀式と同じね。
「ローゼ、おいで。」
「お姉ちゃん!」
私は儀式が終わってすぐにローゼのことを呼んだ。
「お姉ちゃん、怖かった。切るのが怖かったけど、お姉ちゃんと家族になれるから、怖くなかった。」
あれ?ローゼ、ちゃんと喋ってる!
「ローゼ、喋れるようになったんだね!良かったー!」
私はローゼのことをギュッと抱きしめた。
「多分、紙の力!お姉ちゃんと家族になれて良かった!」
もっと喋れるようになったローゼも、めっちゃ可愛い!
声がもう、天使。癒し。
「ローゼ、私達のことはお母様とお父様でいいからね。」
「ありがとうございます!これからよろしくお願いします!」
ローゼは元気よくペコリとお辞儀した。
「ふふっ。可愛い。」
やっぱり可愛い子が好きなのはお母様譲りなのね。私。
「養子縁組が終わったことだし、帰ろう。」
お父様が優しく笑った。
「「「「はい!」」」」
ロアも一緒に頷いた。
馬車の中で私はローゼとセターレの間に座り、二人は疲れたのか、私の肩に頭を乗せて寝ていた。
か、可愛すぎる。
これが天国か…
とりあえず、大変なことは全て終わったし、後は平和に…って、あああっ!
作家さんの娘さんが言ってた誘拐事件!
確かまとうの主だっけ。
完全に忘れてた。
「ローザ、顔が赤いよ?大丈夫?」
ロアが心配そうにこっちをみてくる。
「う、うん。大丈夫だよ。ただの心配事。」
「何か手伝えることがあったら言ってね。」
「ありがとう。」
この世界の人たち優しすぎる。
この世界に生まれて良かった。

数十分後、家に着いたけど、セターレとローゼが起きなかったから、ロアがセターレのことをおんぶし、私がローゼのことをおんぶした。
お父様達は仕事のため、すぐに書籍へ戻らなければいけなかった。
「ロア、ごめんね。うちの弟が。」
「大丈夫だよ。可愛いから。」
「そうだよね!セターレとローゼ可愛すぎる!もう天使!」
「ねえ、ローザ。」
「何?」
「僕と婚約して良かったの?」
ロアは暗い顔で少し微笑んだ。
「なんで?」
「だって、兄上の方が顔もいいし、」
「あのね、ロア。」
私は強めに言ってみた。
「私は確かに面食いだけど、性格が一番大事だと思ってるの。後、ロアはかっこいいよ!」
私がロアに教えてあげると、ロアは下を向いた。
「あ、ありがとう…」
やっぱり強く言いすぎたかな?

顔が真っ赤になっているロアだった。
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