悪役令嬢は最強になりたい

咲良

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第1章 原作が始まる数年前

小説の世界のキャラクターたち

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「お嬢様!大丈夫ですか?」
「「ローザ…」」
あれ?ここは、どこだっけ?
そうだ!小説の世界。私はとりあえず上半身だけを起こした。
それよりも、この人達、誰?私のことをすごく心配そうに見てるけど。とりあえず、答えよう。
「大丈夫です。少し目眩がしただけです。」
私は怪しまれないように、にっこりと笑った。
「よかったわ。できればこのままずっとローザと一緒にいたいんだけど、お母様とお父様は王様に呼ばれちゃったの。ごめんね。」
そうだ!ローザのお父さんとお母さんだ!確か原作では、一度も出てこなかったけど良い人そう。
「わかりました。弟の面倒は任せてください。」
確かローザには弟がいたはず!私はうざい兄しかいなかったから弟がどんなのか気になる!
「すまないな。お土産を買ってくるから、楽しみにして待ってくれ。」
「はい。」
皇室からのお土産って、何?
お母さんとお父さんは、私のおでこに軽いキスをした後、部屋から出ていった。
「お嬢様、アステル公子様方にお会いされますか?」
確か、アステル公子は、私の兄。
「いいえ、明日会います。今日はとりあえず一人にして下さい。あ!お母様とお父様と約束した通り、弟の面倒を見るので、1時間後に私の部屋に来てと伝えて下さい。」
「では、また1時間後、公子様をお連れします。」
サナはペコッとお辞儀をした後、部屋から出ていった。サナは私の専属侍女らしい。
よし。これで1時間は一人に慣れるから一旦整理しよう。
「ローズ」の内容を簡単に説明すると、ある日孤児院から逃げ出した女の子、ローゼは道端で神聖力を覚醒させてしまい、その反動で倒れてしまった。そんな彼女を保護したのがシュテルン公爵家。シュテルン公爵家で天使のように育ったローゼは、精霊や神獣で有名なアカデミーで4人のヒーローたちに溺愛される。って言うお話。いわゆる逆ハーレム系ファンタジー。そして、ローゼをいじめるのが、悪役令嬢、ローザ。つまり、私。
はあ、最悪。
そういえば、4人のヒーロー達についてもおさらいしなきゃ。
まず最初
この国の皇太子
ソレイユ リュミエール(現在10歳)
この国の第一皇太子。太陽のような金髪にオレンジ色の瞳。見た目は完全に王子様だが、少しサイコパス。母から竜の力を一切授からなかった。後々火の精霊と契約した。ローゼを殺そうとした罪でローザを処刑した。
二人目
ロアール リュミエール (現在8歳)
この国の第二皇子。夜の空みたいな青色の髪に、金色の瞳。病弱で、大人しい性格。兄のようにいかれた所はない。しかし、母から竜の力を授かりすぎて、力が暴走するため、「怪物」と呼ばれている。後々月の竜を従えさせる。
3人目
アステール シュテルン (現在10歳)
シュテルン公爵家の長男。ローゼの義理の兄。シュテルン家特有の白い髪と、青い瞳。ローゼの前では猫を被っているが、本当は暴言を吐きまくるやばい奴。
4人目
エアル
花の精霊王。ローゼのことをずっと見守っていて、温厚な性格。ピンク色の髪に緑色の瞳。ローゼに花の加護を与えた。もういわゆるストーカー。
だよね。
そして、ヒロイン、ローゼ。現在、9歳。
金髪に金色の瞳。優しい性格で、魔法が得意。しかも、神の使いと言われている竜達と契約する。一言で表すと、「天使」。
よし。後は全員モブキャラだから。でも、サブヒーローに私の弟と兄がいるよね。
はあ、どうしよう。でもこの中では、ロアールが一番安全かな?確か、ローザの婚約者になるのは、ソレイユだよね。
「ソレイユと婚約かあ。」
私は大きなため息をついた。
え、ソレイユ?あんなサイコパスと婚約するの?私?
絶対に嫌だ。うーん。どうしよう。
私はベッドに横になった。
「お嬢様、セターレ公子様をお呼びしました。」
え!もうそんな時間!?
私はベッドから思いっきり起き上がった。
「入って!」
確か物心ついてから私と会うのは初めてのはず…
「お、お姉様、失礼します。」
扉を開けて私の部屋に入ってきたのは、ビクビク震えてる可愛い天使くんだった。
え?こんなに可愛いの?
「こんにちは。セターレ。こっちおいで。」
私はニヤケを隠してにっこり笑った。
「あ、あの、僕のことを殴りませんか?」
ビクビク震えてる私の弟は、驚く発言をした。
「なんで殴ると思ったの?」
「だ、だってお兄様が殴るから。」
「え!?」
あのバカ兄… 後で神様にもらった最強の力で殴ってやる…
「お、怒ってるんですか?」
セターレは子犬のように震えていた。
はっ!つい大声を出してしまった。
「怒ってるわけじゃないの。とりあえずこっちにおいで。殴らないから。」
私はもう一回にっこり笑った。
「ほ、本当に?」
「本当に。」
セターレは安心したのか、私のベッドの上に座った。
か、可愛い。
銀色の髪、銀色の目、小説に出てきた通りね。
「ね、セターレ、もしまたお兄様にそう言うことされたら教えてね。お姉ちゃんがなんとかしてあげる。」
「あ、ありがとうございます。」
セターレの顔、少し赤くない?
大丈夫かな?
「セターレ、顔が少し赤いよ?大丈夫?」
「だ、大丈夫、で、す。」
セターレは横にぱたりと倒れた。  

小話2 原作のセターレ

私はまた夢の中で前世の世界に戻っている。
今日は愛読友達のゆうちゃんの家に行くことになった。
「ゆうちゃん!」
「jkちゃん!入って!」
私はゆうちゃんに手を引っ張られ、ゆうちゃんの部屋の中へ入った。
「ゆうちゃん、また小説増えた?」
ゆうちゃんの本棚には口が塞がらないほどの本がずらりと並べてあった。しかもめっちゃ綺麗に。
「やっぱりわかる?」
アイドルのように可愛いゆうちゃんの笑顔は天使並み。
多分ゆうちゃんの笑顔を毎日見てたから可愛いものが大好きになったんだと思う。
「それで?話したいことって?」
私達はベッドの上に寝っ転がり、話し始めた。
「ゆうちゃんは私がローザに転生したこと知ってるでしょ?」
「うん。」
「今セターレの看病しててさ、」
「え、ええええっ!?」
ゆうちゃんの推しはセターレとロアール。理由は守ってあげたくなるからだって。
「ずーるーい!私の推しの看病なんて… 私がやってみたいのに!」
「セターレめっちゃ可愛いよ。」
「生の推し見てみたい!肉眼で見たい!」
ゆうちゃん、どんだけ興奮しても私とは変われないんよ。
「jkちゃん、もしかして自慢するためだけに来たの?」
「違う、違う!あのさ、セターレは原作でどんな感じだったのか聞きに来たの!忘れちゃったから。」
「あー。そう言うことね。良いよー!」
良かった~ 
ゆうちゃんの器が大きくて。
「あのね、原作のセターレは、大きくなったらむっちゃ強いイケメンになって、でも、ある日学校で倒れちゃうの。そして、ローゼが倒れている彼を見つけて、回復魔法で助けてあげるんだ~ そこがめっちゃキュンキュンして、でも、女性恐怖症のセターレはローゼを見て怯えるんだけど、ローゼのおかげでまた女性と一緒にいても大丈夫になって…」
この後もゆうちゃんの長い推し愛話が続いた。けど、流石に全部は覚えられなかった。
シンプルな内容はわかったけどね。
セターレは女性恐怖症になる、ということと、大きくなったらあの可愛さが消えちゃう。ってこと。
女性恐怖症にはならない。はずだから、あとはさっきゆうちゃんが言ってた倒れる。ってやつ。
「ゆうちゃん、セターレはいつ倒れるの?」
「えっとね、学校に入学して一年が経った頃ぐらい?」
「ありがとう!」
私はゆうちゃんに手を振って、小説の世界へ戻った。
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